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新愛ゆえに後伝SS「さらば愛しき人々」

  新愛ゆえに後伝SS「さらば愛しき人々」 夢織時代%歌謡ショウファイナル激バレ 2006/08/22 01:50:13
  本文(今夏歌謡ショウ激バレ) 夢織時代%誤字修正1 2006/08/22 01:51:00
   └あとがき(今夏ショウ激バレ) 夢織時代 2006/08/22 01:51:29
    ├ゲームより生まれし夢(バレあるかも) 銀次郎@桐島家 2006/08/22 11:31:10
    │└原点回帰 夢織時代%御返事もバレ含み 2006/08/24 00:44:02
    ├なにか一言(歌謡ショウ激バレ) とりなべ 2006/08/22 15:53:10
    │└―太正十五年十二月二十五日午前二時― 夢織時代%御返事もバレ含み 2006/08/25 01:27:18
    ├自分も同じ事を思いました(ファイナルバレ... 暁雷牙 2006/08/22 22:47:51
    │└唱和 夢織時代%御返事もバレ含み 2006/08/26 01:24:22
    ├それでも天国に憧れる(バレあるかも) 椿とお食事 2006/08/23 18:42:36
    │└私はモンスター、思いの外に醜いだろう 夢織時代%昨夏バレも含む 2006/08/26 22:01:52
    ├解釈つかまつる!(誤&建設中 フェル%歌謡ショウバレ 2006/08/23 22:26:13
    │└惨状つかまつりー 夢織時代%御返事もバレ含みます 2006/08/27 01:49:10
    ├いまだに シンコウ 2006/08/25 15:01:53
    │└早々に 夢織時代%御返事もバレ含みます 2006/08/29 01:10:29
    ├「まだ早い」婆ぁが返した六文銭 つづら%本文を微修正 2006/08/27 16:51:19
    │└黄泉比良坂で桃を投げ 夢織時代%御返事もバレ含みます 2006/08/30 01:32:26
    ├散るサクラ しうら@遅くなりましたがレス追加しました。 2006/08/28 00:06:28
    │└「金色の魔王」 夢織時代%9/15 01;00修正 2006/09/03 01:59:58
    ├ブロードバンド開通記念 紀州人 2006/09/12 19:25:43
    │└おめでとうございます。 夢織時代%御返事にもバレ含みます 2006/09/15 01:25:39
    ├削除 夢織時代 2006/09/15 01:24:13
    └今更ですが。(SS付き) 伊藤小百合 2007/03/04 12:03:32
     └お久しぶりです。 夢織時代 2007/03/06 01:29:22

新愛ゆえに後伝SS「さらば愛しき人々」 [返事を書く]
こんばんは、あるいは初めまして。
夢織時代と申します。
このツリーは、SSといわれる、いわゆる二次創作小説を発表するために立てさせていただきました。
かつて本家、SEGAサクラ大戦BBSでは、当時の管理人さんの許諾によりSSの発表が限定的に認められましたが、諸々の討議の結果、公式作品ではない二次創作作品を区別するために、ツリーに「SS」の文字を入れて発表するようにしようということになりました。
その伝統を踏襲させて頂きます。

そんなわけで、下記に私が書いた二次創作小説を発表させていただきます。
二次創作に興味の無い方は、以後は「SS」ツリーは無視して下さい。

今回のSSは、現在公演中の歌謡ショウファイナル「新・愛ゆえに」の直後を舞台にしております。
従って、ファイナル歌謡ショウの内容バレを思いっきり含みます。
未見で、かつこれから劇場やインターネット配信、DVDで見ようと考えていらっしゃる方がこの作品を読むと、「新愛ゆえに」の肝心要部分を先に知ってしまう「ネタバレ」となってしまいます。
ですので、出来れば本作は歌謡ショウファイナルを観劇後にお読み下さい。


ただし、ひねくれたものの見方をしているので、今回の歌謡ショウにひっかかりを覚えなかった方にはあまりお薦めできません。

ちょっと変わった見方をしてみようかと気が向かれた方は、よろしければしばしお時間を拝借。
夢織時代%歌謡ショウファイナル激バレ <hifxzshfjl> 2006/08/22 01:50:13 [ノートメニュー]
Re: 新愛ゆえに後伝SS「さらば愛しき人々」 [返事を書く]
本文(今夏歌謡ショウ激バレ)





 この世の終わりを見たような顔だった。
 蒸気電話を持つ手は微かに、だが否定しようがないほどに震えている。

「……間違いないのね、マリア」

 受話器の向こうへ尋ねるかえでの声は、かろうじて音になったという程度のかすれたものだった。

「……そう、わかったわ。
 このことは絶対に他言無用にしてちょうだい。
 帝国華撃団の中であっても、それに関わった花組の面々以外には決して知られないように。
 ……ええそう、夢組や月組であっても例外ではないわ。
 そうね、さくらは六破星降魔陣のときと同様に、トランス状態から生還したということにするの。
 いいわね、特にアイリスが何気なく口にしてしまうことを防いで」

 蒸気の噴き出し音とともに会話が終わった。

「かえでくん……」

 待ちきれなかったように尋ねる米田の声は、絶望に備えるように低く低く抑えられていた。

「米田さん、暗闇博士の人造人間を倒すにあたっては、一度モンスターに殺されたさくらが、アイリスを中心とする花組の霊力によって蘇ったそうです」
「……!!」

 これほどまでに驚愕した米田の顔を、かえでは見た覚えがなかった。
 六十年分もの後悔を一瞬にして積み重ねた絶望じみた、途方もない悔恨に彩られた驚愕だった。

「……そうか」

 九割九分までが溜息で占められた声を吐いた米田は、乾いた喉を少しでも湿らせようとして唾を飲み込んだ。

「先ほどの指示でいい。
 あとは、手遅れかも知れんが、打てるだけの手は打ってくれ、かえでくん」
「……はい」

 顔を上げた米田の顔は、楽隠居のそれではなく、元陸軍中将にして帝国華撃団司令のものだった。







 暗闇博士が生み出した人造人間たちの襲撃を退けた帝劇は、かつての傑作「愛ゆえに」のリバイバル公演「新・愛ゆえに」で満員御礼が続いていた。
 兄を失い、それでもなおオンドレとの愛を貫いて朗々と主題歌を歌い上げるクレモンティーヌが、まさか舞台の外で死んでいたなどと思う観客は一人もいないだろう。
 人質となった親子を助けるために武器を手放して、降魔細胞を有するモンスターが振るう剣の前に、さくらは一度確かに死んだ。
 しかし、愛ゆえに生まれて愛ゆえに生きるという今唱っている歌のとおり、さくらを失いたくないと願った花組全員の霊力により黄泉返って、今のさくらの命があるのだ。
 スポットライトを浴びて輝くさくらの顔に、死の影を見ることはできない。

 しかし、それを観客席の最後列、立ち見席から眺める大神の顔には、拭いきれない影があった。




「邪魔するぜ、大神」

 演目終了後に書庫で本を積み重ねていた大神に、意外な声が掛けられた。

「……司令」

 ではない。
 現在は大神自身が帝国華撃団の司令長官なのだ。
 だが、呼びかけた米田の声は、大神にとって紛うことなく帝国華撃団司令の声だった。

 しかし珍しいことだ。
 大神に支配人と司令の肩書きを譲ってから、米田自身が帝劇の客席に来ることはしばしばあったが、帝撃の施設内に入ってくることはごく稀になっていた。
 いつまでも自分が関わっていては大神のためにならないという判断である。
 だが今は違う。
 単に書庫に寄っただけで、これほどまでに威圧感を漂わせているはずがない。
 明確な要件を持って来たことは明白であった。

「何か御用でしょうか、司令」

 圧倒された大神は、米田を呼ぶのにかつての肩書きを使わずにはいられなかった。

「何を読んでいやがる、大神」

 その大神に、米田は容赦なく切り込んだ。
 大神が手にしている書物に、はっきりと見覚えがあったからだ。
 この書庫には帝劇の舞台の参考となる文学作品から、百科事典、紅茶の入れ方のような実用書まで実に雑多な本が揃っているが、その中には通常の書店で取り扱うはずのないものも含まれているのだ。
 例えば、天海が関ヶ原で脇侍を操ったことを示す古文書であったり、今大神が手にしている、魔法陣が表紙に金箔で押された魔術書であったりする。

「答えねえなら俺が言ってやる。
 おめえ、反魂の術を調べていやがったな」
「……はい」

 言い逃れが出来るなどとは最初から思っていなかった大神は、わずかの逡巡の後に米田の目を見据えて頷いた。

「馬鹿なことを調べるもんじゃねえ。
 おめえは京極慶吾にでもなろうってのか」
「違います、反魂の術をそのまま使うつもりはありません」
「同じことだ」
「いいえ、違います。
 反魂の術では魂が変質して術者の思い通りに操られる存在になってしまいますが、今度のさくらくんはそのようなことはありませんでした。
 でも、今回の蘇生は奇跡のようなものでした。
 奇跡では困るんです。
 次にまた同じことが必要になったとき、反魂の術の原理を調べて、その欠点を克服して、確実に蘇らせることができるようにするんです」
「ふっざけんなああっ!!」

 怒声が耳を貫いたときには、大神の身体は椅子ごと倒れ込んでいた。
 防御する暇もなく、米田の鉄拳が大神の顔面に叩き込まれたのだ。

「なんでおめえは、あのときの山崎と同じ目をしてやがるんだ!」

 大神の手から落ちた魔術書がぱらぱらとめくれ、裏表紙に書かれてあったかつての所有者の名が露わになった。

――太正五年九月四日、山崎真之介――

 その名が、かつて自分たちの前に立ちはだかった葵叉丹という男の真の名だということを、大神は思い出させられていた。

「あの馬鹿野郎がその本を入手して反魂の術を調べるときになんて言いやがったと思う。
 これがわかれば、対降魔部隊の誰かが死んでも俺が蘇らせてやることができるってほざいたんだよ。
 そのあげくがあの天海の復活だ。
 自分がどれほどふざけたことを言っているのか、ちったあわかったか、この大馬鹿野郎!」
「ふざけてなんかいません……!」

 頭がぐらついていたが、その叱咤を承服することが出来ず、大神は意地と根性で身体を動かして立ち上がった。

「俺は恐ろしいんです。
 いや、ずっとずっと恐ろしかった。
 上野公園で初めてみんなを指揮したあのときから、何か一つ間違えてしまったら、何か一歩遅れたら……、いつ彼女たちの誰かを失ってしまうかもわからない。
 そんな恐怖と、ずっと背中合わせに戦ってきたんです……!」

 賢人機関で常勝将軍とまで言われる当代に冠絶する英雄の、栄光の道の影にありつづけた苦悩が、怒りに似た衝動とともに吐露された。

「失敗を許さない組織は腐敗する。
 米田司令、あなたがそう仰った……!
 俺はいつか失敗する……そして現に俺は今回、失敗したんです。
 銀座に人造人間たちが現れていたんだから、花組の面々に単独行動は絶対に避けさせなければならなかった!
 さくらくんに、霊剣荒鷹の常時携帯も命ずることなく、一人で行動させてしまったあげくがあの失態です!
 俺は、永遠に取り返しのつかない失敗を犯してしまった……。
 だがそれを、取り返すことができたんです!」

 魔術書を拾い上げ、所有者の名前と一瞬向き合ってから、握りしめるように頁を閉じた。

「今回はよかった。
 だが次があったとき、必ず出来るとは限らない。
 だけど葵叉丹や京極慶吾は反魂の術を確実にこなしました。
 それがあれば俺はみんなを失わなくても済む。
 花組の隊長として戦っていく間、俺は彼らの力が欲しいと何度も思いました。
 でも反魂の術の危険性も教えられていたから諦めていました。
 しかし今、やっとそれを克服できる道が見えたんです。
 今度の花組のみんなのように、愛を以てすればみんなを喪わずに蘇らせることができる。
 俺はこの道を諦めたくはない。
 俺は、みんなを喪いたくない……!」

 嘆いたのか、それとも祈ったのか。
 米田に向かって告げるのではなく、自分に叩きつけるようになった言葉から敬語が消し飛んだ。

「忘れたとは言わせない……俺は忘れていない。
 あやめさんを喪ったあのときのことを!
 俺はもう、誰も喪いたくない!」

 その言葉は、拳を叩きつけるよりもなお米田を揺さぶった。
 忘れているはずがない。
 忘れようはずもない。
 忘れていいはずがない。

 だが、そんなことは、とうにわかりきっている。
 今の大神の叫びなど、言われなくてもわかっている。
 その叫びは、かつて幾度と無く米田自身の内から沸き上がったことのある叫びなのだから。

 激した大神を諭す時間をとるために、米田は大きく溜息をついてから、一転して静かな口調で話し始めた。

「……なあ、大神。
 さくらを呼び戻したのは、間違いなく愛なんだろう。
 アイリスが中心にして、花組みんなの愛がさくらを黄泉から呼び戻したんだろう」

 そのことはおそらく間違い有るまい。
 花組の面々は、自らの霊力、生命力を限界まで振り絞って奇跡を起こした。
 誰もが、少なくとも十年は寿命を縮めたことだろう。
 その行為を、自らの駒を揃えるために用いる反魂の術と同列に扱うのは酷かも知れない。
 
「……だがな」

 米田の瞳の奥に込められた深淵極まる色に、大神はひるんだ。

「答えろ、大神。
 俺が朝鮮で、満州で死なせたやつらには、あいつらを愛する者がいなかったのか」

 それは、奇妙な問いだった。
 日清日露の戦場で米田が活躍したことくらい、大神は帝撃着任前から知っている。
 その活躍として称えられる戦果の影で、それでも助けることが出来ずに多くの者を死なせたことを米田が悔やみ続けていることも。
 彼らの中には今の大神と同い年くらいの者もいただろう。
 もっと年上で、妻や子供を持った者もいただろう。
 当たり前だ、父母にせよ、兄弟姉妹にせよ、妻子にせよ、彼らを愛する者がいなかったはずはない。
 当たり前の答えしかないはずのその問いは、しかし、大神の胸に深く切り込んで、何故か、先ほどの叫びを後悔させた。

「一馬には、愛するものがなかったとでもいうのか」

 帝国陸軍対降魔部隊において米田と肩を並べて戦い、魔神器を使用して逝去した真宮寺一馬大佐。
 彼には母がいて、妻がいて、娘がいた。
 その娘が、どれほどまでに父を愛していたのか、大神は嫌と言うほど知っている。
 父が二度死んだときの、さくらの嘆きを決して忘れまい。

「ああそうだ、その通りだ。
 忘れたとは言わせねえ、大神。
 おめえも俺も、あやめくんを愛していなかったとでもいうのか!」

 大神は、打ちのめされた。
 それは途方もない悔恨だった。
 あの赤き月の夜に味わった絶望よりも深い、感じてはならない後悔だった。
 あのとき何かが違っていれば、あやめを失わずに済んだのにと思ったことは何度もある。
 それはもはや終わったことであり、取り返しが付かないことだけど、後悔せずにはいられなかった。
 だが今覚えたのは、そんなものとは訳が違う。

「そうだ、おめえの言っていることはそういうことだ。
 愛があれば蘇ることができるなど、そんなことがまかり通ってしまったら、
 死んでいった全ての奴らには、捧げる愛が足りなかったと言っているんだ。おめえ自身が!」

 愛していた、憧れていた、失いたくないと願っていた。
 どれほど思ったか、どれほど願ったか、どれほど悲しんだか。
 それなのに、自分にはあのときあやめを蘇らせることができなかった。
 それでは、
 あのとき打ちのめされて流した涙も、月に向かって叫んだ慟哭も、そんな思いなど、たかがしれたものだったのだと、自分が自分に突きつけていた。

「あ……あああ……!!」

 大神は眩暈を覚えてその場に膝を突いた。
 それはまるで、失ってきた者たちへの裏切りだ。
 貴方への愛が足りていませんでしたなどとどうして言えようか。
 それなのに、自分にとって貴方たちは、取るに足らない存在だったと言ってしまっていた。

 そしてその事実は、たくさんの人々を殺してきたと言う米田には、何千倍にも重くのしかかっているに違いなかった。
 途方もない冒涜だ。
 人が生き返ることができるとわかったときの、米田の絶望と悔恨がいかばかりか、大神の想像を絶していた。

 膝を突いた勢いのまま顔面から床に倒れそうになった大神は、米田に襟首を掴んで引き起こされた。

「そして、大神、おめえ自身にもだ」
「……俺、自身ですか?」
「ああ、ただひたすらに、失敗したら生き返らせることだけを考えていて、それで何ができる。
 失敗したときのことばかり考えて、死んだら何が何でも蘇らせる……、そんなものは努力じゃねえ。
 生きている奴は死にたくないから必死になって努力して戦うんだよ。
 それなのに、死んでも生き返るなんてことになってしまったら、そいつは命を諦めることと同じじゃねえか」

 そうか。
 わかっていたはずだった。
 みんなが死んでも生き返るならば、必死になって戦うこともない。
 命を失ってもまた戦えると思ってしまう。
 瀕死でも助けようとせず、生き残るために全力を尽くさない。
 死んでも構わないと思ってしまうことは、確かに命を諦めることに等しい。
 そんなものが、自分の命も大切に出来ないものが、人々を、帝都を守るなどお笑い種だ。
 そんなものは、舞台と部隊に命を賭ける帝国華撃団花組の隊員のあるべき姿ではない。
 ただの、駒ではないか。
 それでは、山崎を使い捨てた京極と、何一つ変わらない。

「取り返しがつかないから人間なんだ。
 取り返しがついたら、そいつが生きてきたこと、死ぬ覚悟をもってしたことを、そいつが選択し、そいつが生きてきたことを、全部間違いだったと否定してしまうんだよ!
 だから山崎の奴は、帝都の敵になっちまっても、一馬を蘇らせなかったんだと俺は信じる……」

 そうだ。
 葵叉丹は天海僧正を蘇らせた。
 それだけの力があるのなら、かつての戦友であった真宮寺一馬を蘇らせて自分の配下にすることは出来たはずだ。
 現に京極慶吾はそうしている。
 それでも葵叉丹は、いや、山崎真之介は、かつての戦友が命を賭けて戦ったその人生を否定できなかったのだ。

 自分がもう少しで、葵叉丹さえ踏み込まなかった世界に踏み込んでいたことを、大神はようやく理解した。
 命の誘惑に、抗いきれなくなるところだった……。

 そう、思い出した言葉がある。
 あのときは確か、隊長失格の烙印を押されたときだった。
 行動を悔いた自分に、あやめが言った言葉だ。

「何が正しいかなんて、きっと誰にもわからないこと……。
 大切なのは、それがどんな結果になったとしても後悔しないように、常に努力し続けること……」

 とうに、教えられていたことだった。
 もはや、後悔はすまい。
 前を向き、後悔しないように、常に努力し続けよう。

「長官、ありがとうございました」

 ふらついていた二本の脚をすっくと伸ばし、大神はもう大丈夫だと言う代わりに一礼した。
 米田は見定めるような視線のまま、大神の襟から手を離す。
 それから大神は、今一度深々と頭を下げた。

「帝国華撃団司令としてのこの失態、申し訳ございませんでした」

 それは、失敗してしまったことと、ありえてはならないことを起こしてしまったことへの謝罪だった。
 大神の瞳をもう一度睨み付けて、米田はフッと笑った。

「そうだ、その目でいい。
 忘れていたことを、思い出したようだな」

 全てを取り返そうと後ろを向いた目ではなく、粉骨砕身の覚悟でと前を向いて言い続けた男の目が戻ってきていた。
 それでなくては、帝国華撃団司令を任せた甲斐がない。
 ただ、これだけは言って置かねばなるまいと米田は思う。

「今回の件は無かったものと思え。
 外部に対してだけじゃねえ、帝撃の他の組に対してもだ」
「月組や夢組にもですか」
「ああ。
 こんなことがあったと知られれば、お偉いさんが、家族を蘇らせたくて花組を引っ張り出しかねん」

 確かにそうだ。
 大神は今さらながら、かえでからマリアに伝えられた指示の意味がわかった。
 花組を守るためだったのだ。
 花組に人を蘇らせることができるとわかれば、彼女たちの命を削ってでもそれを実行させようとする者が必ず現れるだろう。
 愛ゆえの奇跡であるということなど考慮せず、ただ、蘇らせることができたという事実に固執して。

 きっと、既にこの事実は賢人機関の知るところになっているだろう。
 帝撃はあくまで賢人機関の手のひらの上で動いていることを、大神はこの二年でよく思い知らされていた。
 その中には、DS社と組んだあの田沼のような者もいる。
 命の誘惑に取り憑かれた者が、帝撃に狙いを定めることになるかもしれない。
 そのときは、帝国華撃団司令として、花組を守るために彼らと戦うまでだ。

 大神のその覚悟を見て取った米田は、満足げに頷いた。

「あれは奇跡だった。
 それも、もう二度と起きない奇跡だ。
 いいな、おまえら」

 そう言うと米田は、いつの間に近づいていた廊下への扉を唐突に開けた。
 大神も今さらながらその気配に気付く。
 当然その向こうには、

「うわあああああっ」

 扉に張り付いていた花組の面々がいた。

「みんな、どのあたりから聞いていたのか……」
「え、えーっと、はい。
 上野公園で私たちの指揮をとってからというところから……」

 ばつが悪そうに白状するさくらの答えを聞いて、大神は顔から火がでるほど恥ずかしくなった。
 物凄くこっ恥ずかしい言葉を連発していたことに、今さらながら大変後悔する。
 その大神に、さくらが、そして皆が微笑んだ。

「大神さん、私はもう二度とあんな不覚はとりません。
 三途の川から帰ってくることよりも、行かずに済むことを考えましょう」
「そうそう、生き返る準備をするより、生きて帰るようにしようぜ隊長」
「まったくですわ、敗北の準備をするよりも美しく勝ってこそ花組でしょう」
「司令、私たちも、もう二度とあんな思いはしたくありませんよ」
「うん、アイリスもう二度とあんなに悲しいの嫌だよ」
「これが最後や。同じ失敗は二度やらん。それでええやろ」
「隊長……、隊長が命を弄ばないでくれて、よかった……」

 その並ぶ顔をみて、大神はつくづく自分が間違えていたと思う。
 失ってはならないどころではない。
 この笑顔を、曇らせることすらやってはいけなかったのだ。

「ああ、ありがとうみんな。
 帝国華撃団花組はもう負けない。
 二度と負けない。
 誰一人、もう二度と死なせないぞ!」
『はい!』

 輝かしく唱和する声の中、大神は、
 かつて失った憧れの人に、心の中で、今一度、最後の別れを告げた。


夢織時代%誤字修正1 <hifxzshfjl> 2006/08/22 01:51:00 [ノートメニュー]
Re: 本文(今夏歌謡ショウ激バレ) [返事を書く]
あとがき(今夏ショウ激バレ)

ファイナル歌謡ショウ、大変面白かったです。
いや、正直申し上げて感動しました。
降魔細胞を使用したモンスターは、根来幻夜斎ほどではありませんが太正時代に則した敵でしたし、
その敵との立体的な殺陣の見事なことといったら。
第二幕ラストでの合唱は聴いていて身体が震えましたし、田中公平先生の背中は格好良かったし、
ええ、二階席から檄!帝国華撃団を歌わせて頂きました。
さすが10年かけて仕上がった太正です。
つくづく、見に行った価値がありました。



ですが、ただ一点、SS中で語ったその一点については納得できませんでした。
これだけは見たくありませんでした。


……1の第十話と同じじゃないですか、これじゃあ。


あまりにも、この一点だけがあまりにももったいない。
そんなわけで、歌謡ショウのアフターストーリーを考えてみました。
実際には、今の大神なら米田の助けがなくてもこの結論に至るかもしれません。
ただ過程はともかく、以後今回のテクニックを踏襲してぽんぽん蘇る花組を見たくないという気持ちは、理解して頂けるのではないでしょうか。

ご感想、お叱り等、頂けましたら幸いです。











この後、十年前に恋人を失った男が命の誘惑に取り憑かれて黄泉平良坂をこじ開けようとする話に繋がったり繋がらなかったり。
夢織時代 <hifxzshfjl> 2006/08/22 01:51:29 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
ゲームより生まれし夢(バレあるかも)
ゲームより生まれし夢、10年の時を経て、再びゲームに返り、夢のつづきを紡ぎ出す。ということでおはようございます。夢織時代さん。
いまBB配信で公演一通り見ました。
ゲームから生まれし彼女たちは、10年間という長きに渡り私たちにこの世の夢を見せてくれました。そして、これからは、また再び、ゲームの世界で夢の続きを見せてくれるでしょう。
夢織時代さんが指摘されているあの一点に関しては個人的には、あれでよかったのではないかと思います。
あれでぽんぽんよみがえる花組と言うのはおそらくないでしょう、彼女たちも、今回の件である意味自分たちの命を削りましたし、1の10話のときはさくらの内なる力が目覚めたと個人的には解釈しています。今回のこととはまた別のものであると思います。
いずれにしてもすばらしい舞台ですね。
生で見れないのが残念ですが、
BB配信千秋楽公演も楽しみにしています
銀次郎@桐島家 <xvgoozswzx> 2006/08/22 11:31:10 [ノートメニュー]
Re: ゲームより生まれし夢(バレあるかも) [返事を書く]
原点回帰
こんばんは、銀次郎さん。夢織時代です。
お読み下さりありがとうございました。

銀次郎さんはBB配信でご覧になりましたか。
私もこのところBB配信派だったのですが、今年はファイナルということで
我慢できずにチケットを買ってしまいました。

思えば、10年前にショウをやると聞いたときにはとてもそこまで続くことになるとは
想像だに出来ませんでした。
関係者の皆さん、特に広井さんの尽力には頭の下がる重いです。
次に動きがあるとしたらやはりゲームでしょうかね。


さて本題ですが、
今回が最初で最後であるという条件下であれば、それなりにはわからなくもないのです。
どこかのわけのわからない存在に引っ張られて蘇ってきたのではなく、
花組の面々が自らの意志で自らの命を削って行ったわけですから、まだ比較的には納得できなくはない、というところではありますが。
演出上はあまり語られていませんでしたが、
花組の面々が人造人間たしに圧倒されていたのに、
復活したさくらが彼らを一蹴できたのは、やはり花組の面々が命を削ったからだ、
と解釈することもできるかなと思います。
……復活直後にあれだけ動けるのはちょっと違和感がありますが、まあ、格好いいですし。

ただ、これが二度三度と続いてはならないことは、ファンとしてどうしても言っておきたかったのです。
かつて、既に一度、行われてしまったことだけに。
10周年での原点回帰はいいけど、悪いところまで原点回帰しないで欲しかったなと思うのですよ。
感動させるための死と復活など、これ以上見せられては作品に愛想が尽きそうです。


まあでも、舞台自体が取るに足らないものならばここまで気に障ることもなかったでしょう。
総合的に見て、本当に素晴らしい舞台だったと思うからこそ、
なおさら、これだけはやって欲しくなかったと思うところであります。

私も時間をつくって千秋楽BB配信を見ておこうと思います。
もしかしたら、どこか劇中でフォロー入っていないかなあ、と微かな期待もこめて。
ただそれ以上に、10年間に亘るサクラ大戦歌謡ショウへの感謝をこめて。

それでは、また。
夢織でした。
夢織時代%御返事もバレ含み <hifxzshfjl> 2006/08/24 00:44:02 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
なにか一言(歌謡ショウ激バレ)

「・・・ああっ?!さくらの中に・・感じるよ!」
「死んじゃいねぇ!さくらはまだ死んじゃあいねぇんだ!」
「今ならまだ間に合う!アイリス!みんな!」
「そうね!」
「よっしゃあ!」
「わかりましたわ!」

・・・みたいなセリフがあれば、ぜんぜん違ったんですがねぇ・・・。

 SS、拝見しました。
 確かにあれは「禁術」であろう反魂の術と一体どこがどう違うのか、と思わされるものがありました。
 サクラ世界では「魂」を死後の世界から呼び戻す描写が出てきますが、だからと言ってそれには社会的なルールや能力的な限界が設定されていなければ、死という概念がなくなってしまいます。
 不死は決して尊いものとしては扱われません。むしろ忌みであったり、悪であったり、呪いであったりする訳です。
 限りがある事で生まれる命の尊さを無効にしてしまう概念だからです。
 
 1の十話。
 ヒロイン以外が全滅してゆくストーリーの事ですね。
 あれも、お前ら死んでるくせに能天気に大神取り合うなよ、とラストシーンで思わせるトンデモ展開であり、反魂と復活はいったいどう違うのか、という疑問を強く持つものでした。
 サクラ2では「なかった事にされた色々」のうちの一つですね。

(サクラ2のシナリオが良いのは、この手のトンデモの数々を歴史の闇の彼方に葬り去ってあり、「命を大切に」という主題が明確だから、というのも非常に大きいと思います)

 物語の実際上、それが可能ならば死者による霊力者軍団を作ればいいようなものですが、それをせずに降魔を作る方が簡単なくらいですから、難度が高く条件があり、そんなに頻繁に行える術じゃあないのだ、と思います。
 たまたま「霊子甲冑に乗れるくらい性質が似ていて強い」霊力者が集まっていたという、通常では考えられない要因が重なって成功しただけ、だと思います。心停止直後でしょうから本当に死んでいたのかも微妙なタイミングですね。
 
 とか、解釈上はまだ逃げられる余地があると思いますが・・・

 それにしても、サクラ2は忘れられているな、と、こんな所で思ったりします。 

 
 さて。私があのシーンを見て思った事なんですが・・・




太正が続く理由って、コレなんじゃなかろうか?




 もしも、花組以外に使われるとしたら、コレでしょう。米田でも、大神でも逆らえないでしょうし。
 たぶん、そのせいで術者や贄の一人や二人は死んだり再起不能になったりするような術でしょうけど、それでも生命力が補填できるなら、使う事が想定される相手はただ一人なんじゃないか、と。

 ちょっちブラックな太正の裏舞台。夏向きの話になりそうだな。そんな事を思いました。

 ではでは、そんな所で。
とりなべ <nzmcvjfgzr> 2006/08/22 15:53:10 [ノートメニュー]
Re: なにか一言(歌謡ショウ激バレ) [返事を書く]
―太正十五年十二月二十五日午前二時―

 隊長大神が巴里より帰還し、久方ぶりに全員が揃った帝国華撃団花組は、奇跡の鐘公演を終えた後の身体に鞭打って、神奈川県の三浦半島へと向かっていた。
 それも、以前仙台に急行した時以来の、翔鯨丸による最大船速で。
 普段ならば甲板にいることが無い米田の険しい顔が、事態の深刻さを如実に物語っていた。

「長官、何事が起こったのですか」
「宮城からの依頼だ。おめえらに、この太正時代を守って欲しい」

 それで事態が理解できたのはマリアと大神の二人だけだった。
 この二人は、帝国華撃団の隊長として放神記書伝を読んだことがある。
 降魔について語られたその書物は本来帝都で最も尊き方が持っているはずのものであり、帝撃が、帝都で最も尊き方と強い繋がりを持っていることを示している書物でもある。

「降魔戦争から十年、俺たちはあの御方にあまりにも頼り過ぎていた。
 帝劇が出来てからも、公演が止まっている間に帝都に蓄積したものは、全てあの御方が一身に背負われていたんだ」
「まさか、その御方って……」

 さくらとすみれはどうやら思い至ったらしい。

「なるほど、だからなのですね。
 先ほど公演を終えたばかりなのに、帝都の霊的防御が激震しているのは」

 さすがは元欧州星組の隊長だけあって、ラチェットは別のところから事態に気付いたようだ。

「だとしたら確かに急がなければなりません。
 帝都東京の霊的防御の柱が消えては、世界の霊的安定にも大きな障害となるでしょう」
「ついたぜ!」

 舵を握っていたカンナが、直下の地上を映した映像を確認して声を上げた。
 限界ぎりぎりまで高度を下げ、そこからはロープを伝って地上に降りる。
 目の前には、近衛兵に守られた館があった。





……ってこれ以上はやばくて書けません。
この書き込みはフィクションです。太正時代とだけ関係がありますけど実在の人物、団体、事件等とは一切関係がありませんったらありません!


こんばんは、とりなべさん。夢織時代です。
お読み下さりありがとうございました。

うーむ、やられました。これは考えなかった。
こちらの世界とサクラ大戦世界とを分ける分水嶺はあれこれありますが、あの御方がご存命だというのはそれら歴史の分水嶺からは影響しずらい要素なんですよね。
しかし、太正時代が続く為には必ずそうしなければなりません。
霊的防御という点では、花組や帝劇以上に帝都の根幹であることでしょうし。
本来の取り巻きの皆さん方が総出でかかっても支えることができないとなれば、帝都に存在する最大の霊的勢力として花組に白羽の矢が立つことは十分ありえそうなことです。


むう、とっても納得してしまいました。困ったな。

まあ、それはさておきまして。
なんでわざわざ殺すかなあと。
多分、不死身の体を持つモンスターが降魔ベースで望まれない命でありながら幾度も復活することとの対比なんでしょうけど、
これだと本来否定しようとする、それらが同じものではないか、という疑念がますます濃くなってしまうように感じてしまいました。
愛による命は違うということでしたが、でも暗闇博士もまた、モンスターに対してだけは愛があったようにも思えてしまいますし。
復活、不死、は理由にかかわらず花組が「命を賭けて」戦ってきたことを冒涜すると思えておりました。


で、そうですよねえ。
サクラ大戦2の第八話で、さくらが魔神器を手に涙したことさえ、
復活できるとなったら、
「よしさくらくん魔神器を使うんだ。
 終わったら俺たちが君を蘇らせてやる!」
……こんな大神嫌です。
確かに、君、死にたもうことなかれで語ったことが忘れられているように思えてなりません。


まあ、アイリスが一人でやったらアイリスが死んでいただろうというものを
花組全員がかりでやったため、
辛うじて復活を行ったみんなも助かったという演出になっていたので、
花組の寿命を削るくらいのことはあっただろうと思います。
霊力だけでなんとかなった、でなく、
奇跡同然のことが起こった、となっているのは、今後に置ける復活の大安売りには
繋がらないでくれるかな、と期待したいところです。
……いやまあ、今年で帝都歌謡ショウ終わりですけどね。
帝都に限らず今後のサクラ大戦でも安易な復活はしないで欲しいです。

……大丈夫かな、サクラ大戦MMO。


ではでは、そんなところで。
夢織時代%御返事もバレ含み <hifxzshfjl> 2006/08/25 01:27:18 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
自分も同じ事を思いました(ファイナルバレありです)

それには訳があるそうで、
その答えもいずれ見えてくるでしょう。
個人的に”命をあげよう”
の詩がずっと納得がいなかったかりしてましたが
やはり2が忘れられてるという点ですね。全キャラ分クリアしてる
くらい思い入れがある分どうしてもという感じです。


最後に余談ですが楽では自分も2階席から歌ってました☆
暁雷牙 <emnikohrcp> 2006/08/22 22:47:51 [ノートメニュー]
Re: 自分も同じ事を思いました(ファイナルバレ... [返事を書く]
唱和
お久しぶりです、暁雷牙さん、夢織時代です。
お読み下さりありがとうございました。

実のところ、製作サイドもある程度は考えていたとは思います。
怨念によって生じた命と愛によって生じた命との違いを描こうとしたのではないかと思います。

ただ、比較対象としては適切でなかったように思います。
モンスターが怨念によるとはいえ、生み出された命であるのに
対するさくらは愛によるとはいえ、呼び戻された命であるのなら、
……世界から外れているのは果たしてどちらかと。

この問題について明確に対比しようとすると、花組メンバーだけでは無理だったのだとと思います。
歌謡ショウでやる以上、どうしようもない限界だったのかもしれませんが、
不可能ではなかったはず。

本当の意味で、暗闇博士とモンスターとの対象になりうるのは、
愛によって生み出された命でなければならないはず。

すなわち、

花組の少女たちを生んだ親たちによる愛を示すか。
これは可能だったはずです。
かつて一度、真宮寺一馬がゲスト出演したことがありましたから。
武蔵内部でさくらをかばって散った一馬の愛を忘れてはなりません。



…………そしてもう一つの手は、ある意味ではサクラ大戦において復活以上の禁断の領域です。




……花組の少女たちが母となるときを示すか、です。


これはいわば帝都編の本当に最後の最後、終止符となる物語です。
ただ、これはおそらく歌謡ショウでは演じることができません。
ヒロインを選ぶゲームと違い、歌謡ショウで誰か一人を選ぶことは認められますまい。


そんなわけで、若干の無理があったのかな、とは思います。


まあしかしそれを差し引いても、素晴らしい舞台であったことは間違い有りませんでした。
舞台と客席との間に距離が感じられなかった、とはサクラ大戦の基本ですが、
まさしくあれこそ相応しい。
私は、「檄!帝国華撃団」とは、花組が歌う歌ではなく、
戦いに赴く花組たちへ、帝都の市民たちが思いを一つにして歌い上げるべき歌ではないかと思っております。
歌詞がそもそも、そうですから。

そんなわけで、あのとき花組へ向かって歌うのは感動ものでございました。
暁雷牙さんも二階席からでしたか。
同じく二階席だと、多分一階からは見づらいであろう公平先生の格好いい背中がばっちり見えたり、
舞台全景がいい感じで見下ろせたのではないでしょうか。
私はなんだか、二階席で得したような心境でございました。

それでは、また。
夢織でした。
夢織時代%御返事もバレ含み <hifxzshfjl> 2006/08/26 01:24:22 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
それでも天国に憧れる(バレあるかも)

こんばんは夢織時代さん。
帝都に住みながら、歌謡ショウにはとうとう1度も縁が無かった男ですが
まあショウの筋は分からなくても大丈夫だろうと思いつつ読ませて頂きました。

とりなべさんが上で仰っているように、7つの龍玉でかなえたい願いNo.1の座を
宗教が生まれた時からぶっちぎりで守り続けているであろう『不老不死』の切なる願いは
それと同じくらい昔から、耐え難い代償を伴うもの、忌避すべきもの、悲劇の種として
詩歌文学に謳われてきました。

 もしかしたら、根源的なところで、不死という言葉、蘇生という言葉が『生誕』『新生』の
対義語だからなのかもしれませんが。死なないのなら子を成す、血を残すという行為は不要ですし、
そうならアダム以外にヒトという種は必要ない訳で、それは不死を願う本人自身の存在否定です。

 が、それでも、ヒトの復活を謳う宗教は世界最大の支持を受けています。
 なにより、かく言う私自身、不老不死蘇生がかなうならば叶えて欲しいと思いますし、
そうあれかしと願う人間でもあります。

 死して尚、地獄の業火に焼かれる世界を創造してでさえも、対となる永遠の生の世界、天国に
憧れるのは人間のサガなのかもしれません。

 で、サクラ大戦の話に戻ってくる訳ですが(寄り道し過ぎ)、『サクラ大戦4』において
自分の作った子のことは後の世代に任せろというメッセージをユーザーに発信してる訳です。
それは即ち生誕を祝し、新生することを願うことが『サクラ大戦』の目指す道だと語っている訳です、
反魂や蘇生や奇跡が容易に存在する世界において、なお。

 遡れば、サクラ3。パリシィの意思に反しても……つまり旧世界の意思の『蘇り』を妨害してでも、
今を生きる子々孫々の世界を守り、育むことを決めた世界。

 限りある人生の選択を後悔するな、と語ったあやめさんや一馬が反魂され、妖化して不老不死を
体現し、決して死ぬなと語ったかえでさん以降が新生による継続を謳うのは考えてみれば皮肉です(苦笑)。

 しかし……それでも、それでも、大事なものと引き換えにして良いと願えるほど、禁断の果実は
あまりに蟲惑的で、魅力的で。
 同じく、『絶対に降魔を倒せる』魔神器の魅力が裏御三家誕生以来、太正まで千年以上もの間、
時の権力者を捕らえて離さなかったように。

 魔神器を破棄してまでさくらを守った大神の、仲間の命に対する執着は、ある意味それ以上という
ことが言えるでしょう。今の大神といえども、いいえ今の大神だからこそより強く、その魅力に一人で
抗うのは無理っぽい気がします。
たとえばもしも、サクラ4で、椿ちゃんの乗った翔鯨丸が長安inミカサに
撃ち落とされるなんて展開で三人娘と別れろなんてシナリオだったならば
本人が「いい夢見せてもらいました」なんて言おうがなんと言おうが
うちの大神はオーラロードを開いてバイストンウェルと世界を繋げてでも連れて帰って来る
ぐらいには暴れていたと思います。

 さくらくんが結局生きているからこそ我を取り戻した大神ですが、もし進行形で「死んでいる」
さくらくんを前にして反魂の魅力に取りつかれた大神だったら……。

 それを止められるのは、1度は山崎を止められなかった、1度は一馬を、部下達を死なせた、
米田をおいては、他にないような気がします。


 なんだか感想というより駄々喋りになってしまいました。まとまりがなくて申し訳ないのですが、
このSSを読んで思ったことをつらつらと書かせて頂きました。
この話に込められた意思とメッセージを踏まえつつ、もう一つの第十話も期待しt(略)。

椿とお食事 <irttpumuqk> 2006/08/23 18:42:36 [ノートメニュー]
Re: それでも天国に憧れる(バレあるかも) [返事を書く]
私はモンスター、思いの外に醜いだろう

こんばんは、お食事さん。夢織時代です。
正直申し上げて、もったいないかと。
いや、私の過去をご存じだけにほとんど説明も不要でしょうが、
かつてあれほど歌謡ショウを徹底的に嫌っていた私でございましたが、
ここ数回のサクラ大戦歌謡ショウの充実ぶりはかつての嫌悪感を吹き飛ばすに十分な内容です。
特に去年など、天海様の意志を受け継いで根来忍軍を率いて、怨霊と化した男が敵役でしたから、
ヤクザ屋さんなどのせせこましい敵と戦っていたころとは大違いです。
今回は前回ほど徹底してサクラ大戦である敵キャラとは言い難いですが、
それでも最低限、サクラ大戦世界の敵で花組でなければならない敵でありました。

お時間がよろしければ、ブロードバンド配信でご覧になるのもよろしいかと。
今回のSSで指摘したこと以外は大変よいショウでございました。


さてさて。
仰る通り、不老不死と並んで人類の禁忌であり、すなわち願望でもあった蘇生です。
生まれてくるものがあれば、死んでいくものがある。
滅ぶことのない世界に新たなものは生まれてくるのか。
滅びないことがわかっていれば、人間は何もしなくなる。

ゆえに天国は不変であるのではないかとも思いますが。

私は某銀河鉄道の洗礼を浴びて不老不死を忌避するようになってしまった人間ですが、
サクラ大戦という作品においては蘇生というものが、常に敵陣の業として存在してきておりました。

天海、山崎真之介、真宮寺一馬、パリシィの怪人たち、織田信長。
亡霊である大久保長安も近い存在であるといえましょう。
天海に至っては、彼自身ではなく、時代そのものについて徳川幕藩体制の「復活」を目的とするものでした。
過去に生き、既に死んでしまった者たちとの戦いは、今を生きる者たちが今を守るための戦いでありました。

そしてまた、男と女の関係の行き着く先には、新たに生まれてくる者があります。
新生と今ある時代を認めて、過去の亡霊が消えていくサクラ大戦4のラストは、帝都編の締めくくりとしてもとても象徴的だったと思います。

なるほど、言われてみると、魔神器という「命を武器にするもの」の存在が面々と続いてきたのは
命を蘇らせる手段の存在と表裏一体だったのかもしれません。
どちらも、命を扱えるものだとするということが。

サクラ大戦2でその魅力に抗い、戦って未来と命を勝ち取ることを選択した大神には、
是非とも蘇生の誘惑にも抗って欲しいものだと思います。
ネタバレになりますが、今回の蘇生時には大神は直接関与していないんですよ。
花組の少女たちが、大神不在のまま決断したことでした。
仰る通り、進行形で死んでいるさくらくんを前にして、大神がどんな決断をするか。
見てみたかったようにも思います。
おそらくそれだけでまた舞台が長くなるくらい、壮絶な葛藤となるでしょうが。


私自身、こうして欲しいという思いはありますが、
「正解」と呼べるものは無いのでしょう。
拙作を通じてそのことを考えて頂けたようなので、それで満足です。

>この話に込められた意思とメッセージを踏まえつつ、もう一つの第十話も期待しt(略)。

ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ。

まあ、仰る通り、あれを否定するところから私のサクラファン活動は始まってますので、
今回の内容は確かに原点回帰でした。
復活ではなく、命の限り戦って戦い抜いて、生きたまま葵叉丹の元へたどり着きたいものです。
そこで戦うのは、300年の昔に死んでしまった者たちでもあるのですから。

ではでは、また。
夢織でした。
夢織時代%昨夏バレも含む <hifxzshfjl> 2006/08/26 22:01:52 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
解釈つかまつる!(誤&建設中

 と言うわけで。
 ここに書くのも久しぶりなら、夢織さんのSSにレスを書くのも久しぶり。
 ちと気恥ずかしいと言うか、立つ瀬が無いように思いつつも、ひょっこりやってまいりました。


 なかなか普段、文を書く暇がないなぁとか言う思いで、足が遠ざかっていたのですが、ここに来て、

「ああそうか、『続きは明晩』ってな感じのスタイルで行けばいいんじゃないか!」

 って事にやっとこ気がつきまして、ちょっとづつでも書き進めさせていただこうかと思います。ただし、諸般の事情により毎晩更新はたぶん出来ませんのでご安心を。(笑)


 そんなわけで、第2回目ですが。
 ここからやっと、タイトルの解釈つかまつりー!につながって行くところだったりします。

 前回「凶刃に倒れたのがさくら以外だったら助からなかった」と書きました。
 さくらだからこそ、助かった理由があるわけですね。


 何故か。<s>坊やだからさ。</s>


 結論から言ってしまうと、何らかの形で「破邪の血統」の力が作用したのではないかと。

 人柱になる宿命からは開放されこそすれ、受け継ぐ血の力までは失われていないわけで、ゲーム中でも
能力が最大限に引き出された時の桜花放神は常軌を逸したレベルになるのはご周知のとおり。

 「えー、じゃあ破邪の血統は不死かよ?」と言われそうですがさにあらず。
 あの場面で、万が一モンスターと相打ちだったら復活は無かっただろうと考えます。その時点で帝都に
再び平和が戻ってくるわけで、魔を封じると言う役目を終えて命の灯は消えていたんじゃないかと。
 ・・・まだ後継ぎいないですけどね。(^^;)

 モンスターと言う帝都を脅かす力、ましてや降魔の細胞を取り入れた相手が帝都を闊歩蹂躙しているうち
は、死ねないと言う事は無くとも、死ににくい体質になるんじゃないでしょうか。仮死状態になって、回復
を図るとか、そんな感じで。


 余談ですが、降魔と戦い始めた頃には光武もありませんでしたから、高い治癒能力を持つ仲間の存在と言う
のが必要不可欠だったと思われるんですね。
 ズバリそれは「藤に連なる者(の一部)」の役目だったんじゃないでしょうか。
 元々、奇跡にも近い高い治癒力を誇る「不死に近しき者」と呼ばれていたものを、その力を悪用される事を
恐れて「不死、不死身」を「藤」と読み替えて隠した、あるいは元より存在する「藤に連なる者」の傍系として
その存在を隠蔽される事になったとか。(ぇー

 ゲーム中でも、実はそんな描写がみられており、サクラ1で、あやめさんが大神さんの指を瞬く間に治療し
てしまいますよね?(笑)


 閑話休題。
 ともかく、そんな形で仮死状態から復帰できれば良かっただけのところに加えて、花組7人の霊力を上乗せ
して復活したわけですから、強くないわけが無いですね。あれだけの下っ端を蹴散らし、荒鷹の力を持って
モンスターを封印する事も朝飯前ならぬ、神田竹むらのあんみつ前という訳です。

 なんかノリノリで(爆)ほとんど書いてしまったような気がします。
 続く・・・・のか?(ぉ
===========================================
 そんなわけで第1回。
 携帯からたまたまチェックしてみたら折良くSSがアップされているのを発見。
 うちに帰ってから読もうかと思ってたのですが、我慢できずに開いてしまいました。

「なるほど、こう言う切り口で来たか」

 と読み進めていき、読了後にまず思ったのは、やはり夢織さんは対降魔部隊属性が強いなぁと言う事でした。
 某まじょのにーさま風に言うと『この対降魔部隊スキーちゃんめ!』ってな感じで。<コラ
 夢織さんもあとがきで言及されてますが、この段階の大神さん(と言うか、オレ的大神さんになっちゃうかもですが)なら、これは考えなかったかな、とも思います。それを言ったら作劇出来なくなっちゃうだろと言う話もありますが。(^^;)
 が、大神の心情としては、やっぱり「花組は俺が守る!」であり、今度の事は本当に本当のイレギュラーとして、今後は更に『守る』事に重点を置くべく、自らに更に厳しい修練を課したかなと。
 もっとも、夢織さんの指摘通り帯剣させずに外へ出したのは明らかにミスでしたが。


 で、今回の事は本当にイレギュラーだったし、次に同じ事は起こらないだろうな、と思ってます。また、今回万が一、凶刃に倒れたのがさくら以外だったら、奇跡は起きなかったんじゃないかなーと、うすぼんやり考えてます。
 まぁ、ワタシの考えなので穴はありまくりだと思うんですが、それは何かと言うと・・・・それは次回と言う事で。(ぇー
フェル%歌謡ショウバレ <zfnjwboxvs> 2006/08/23 22:26:13 [ノートメニュー]
Re: 解釈つかまつる!(誤&建設中 [返事を書く]
惨状つかまつりー
……何か違う。

こんばんは、フェルさん。夢織時代です。
いつもながら、お読み下さりありがとうございました。
フェルさんにチェック頂くのも久しぶりです。
昔と同じようにミスぶっかましているので、まったく進歩していないんじゃないかという気もしますが……
まあ、それはそれ、これはこれということで。


でも、帝都でフェルさんにお会いしていなければ、SSを書くだけの情熱は燃え上がらなかったかもしれません。
このところサクラ大戦ファンとしての情熱が下火になっていたところで、
一年に一作がやっとの状態が続いておりましたが、
生で観劇して、それからお話させていただいて自分の想いが形になったことがやはり大きかったです。

もちろん、ショウ自体が大変面白かったからというのもあります。
やはり同人は原作が面白くてなんぼのもので、
しっかりと感動させてもらえた歌謡ショウファイナルだからこそ黙っていられなくなりました。
実は内容自体は第三幕を見ながら考えていたんですよ。
ただ、誰に誰を突っ込ませるかというところで悩みました。

拙作ではぼかしていますが、さくらが生き返った現場には大神がいなかったんですよね。
このため、大神に責任を負わせるのが難しい。
かといって花組の面々を揃って叱責できるか、というと誰にさせるんだという問題が出てきます。
花小路にマリア……やるとは思えない。
神崎忠義にすみれ……これも変です。

あれこれ悩んで、結局非難できる人物のあてが無くなってきました。
そうすると、生き返る場にいなかったとしても、そのことを肯定的に捉えているなら
大神に対して叱責のしようはある、ということに行き着きました。
今回のことについて本気で反逆しようとすると、モンスターにさくらが殺されるところから
エンディングまでのストーリーをまるごとひっくり返さないといけませんが、
今後について釘を刺すなら短くまとめられると思いました。
生き返ることにあまり疑問を感じていないところを突いておくことにします。
そうなると叱責するのはもちろん米田です。

……結果、いつも通りの対降魔部隊SSになってしまいました……とほほ、ワンパターンだ……。
あやめさんのあの台詞なんて、短編SSで使うのが三度目だったりします。

実は大神対米田でガチンコの殴り合いを書いてみたかったのですが、
どうしても大神がそこまで反抗的に動いてくれませんでした。
大神なら、きっとそれが間違っていることに心の奥で気付いているだろうと
思ってしまったのかもしれません。


さくらだからこそ助かった……これはとても納得できます。
六破星降魔陣のときのトランス状態にしてもそうですが、
さくらはやはり他の面々とは別格で、都というものと直結しているといいますから、
システムとしての日本の霊的防衛に、悲しいまでに囚われているように思います。

それは劇中においても語られていましたが、
私は劇中でさくらが結婚することを否定するように捉えていたのがいささかショックでした。
サクラ大戦4のエンディングが否定されてしまったように思えたのです。
「男と女に恋が生まれて〜」で歌われる、君よ花よの心はどこへ行った。
まあ、歌謡ショウ世界自体がサクラの正史から外れているのは今に始まったことではありませんが、
一応あの戦いの後に位置づけされているらしい「時」の物語としては
ちょっと切ないものがありました。

……逆の考え方もできますけどね。
後継ぎがいないままとするということは、
自身の破邪の血統を自分で終わりにしようとしているのかもしれない……と。
結婚して子供が生まれれば、その子供は必ず破邪の血統に囚われることになる。
システムとしての霊的防衛に反逆するために、独身で舞台に立ち続けるとしたら……
うわああ、書いていて別の意味で悲しくなってきました。
かつてさくらくんファンだった者としてこの結論はかなりキツイです。


ともあれ、裏御三家の正統を残す最後の一族である真宮寺さくらには、
少なくとも数百年に亘って帝都のみならず日本を守ってきた者たちの
霊的な加護があることはまずもって間違いないと思われます。
魔が活動しているときならば、真宮寺の者は死ぬことはないのだとしたら……
そういえば真宮寺一馬も降魔封印のときではなく、それが完了した数ヶ月後に亡くなりました。

だとしたらそれは、愛によって蘇ることよりもなお、非道いことなのではないかと思えてなりません。
魔神器を破壊してもなお、さくらが解放されていないということなのですから。

ただ、復活したさくらは確かに強かったです。
彷彿とさせるのはやはり六破星降魔陣のとき。
あのとき、七千体の脇侍の全てではないにしても、花組全員が追いつめられたと思った脇侍の超大軍を、
覚醒したさくらは一撃の下に滅ぼして見せました。
真宮寺家の血が発動して、帝都や日本を守る霊的な力が一時的にさくらに宿っていたとしか
思えないほどの強さです。
今回も実は同様のことが起こっていたと論ずる状況証拠と言えますね。


しかしまさか、あの指チュパが壮大な伏線であったとは!
藤枝家が藤堂家の傍流なのは知られていますが、「不死に繋がる者」ものだとすると
彼女たちもまた命をもって何かを為しえることを強いられていたのですね。
ならばきっとあそこで大神に不死の力が宿っていたために、その後刹那の攻撃を受けても生き残ることが出来たのですね!
……って、ええええええ。

なにやらすごい話になってきました。

では今日のところはひとまずこれにて。
夢織でした。
夢織時代%御返事もバレ含みます <hifxzshfjl> 2006/08/27 01:49:10 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
いまだに

帝都滞在中でのんべだらりと生活してるシンコウです。
ギーゴにでもいまから行こうかしら?とかかなりいい加減ぷりなんですが。

感想を少し書かせてもらいます。
「命の尊さ」とか主題で舞台をやったらこんな感じになった
正直(穴があって)すまんかった。だけど後悔していない。
みたいな感じなんでしょうね。
舞台で表現すりゃあの位やりゃ詰め込みすぎですしね。

しかも色々作品出ていて実際その時書く人によって色々な解釈。

10年もやれば舞台に出演出来なくなったりしちゃうのが現実。
出たくても出れないのか、そうじゃないのかも本当には本人にしか分からないのでしょうが。

自分はまったく他の作品と比べるほど色々な作品を見てないからなんでしょうが
1で終わろうとして作った1。
2以降は続けられると思って作った2以降の作品。
という感覚で見ているのでフォロー出来る範囲で援護射撃する程度。
というスタンスで気軽に見てしまいます。
だからこういう話で「どうよ?」言われてから
気が付く事も多くて色々な楽しみ方があるなぁと思って拝見させてもらいました。

だから命を分けようと歌いながら
実際はすみれの霊力や命は分けても減らないと考えてますし
他のキャラも本編で予定されている寿命は問題無いのかと。

あかほりさん他が書いた話で穴だらけだからこそ楽しめる
喜びを今後も味わえればと思います。
他の話を知りませんがこんなに楽しめたのですからきっと
今後もと期待しちゃいますよ?ええ(苦笑)

という感じで感想というより色々思いついた事を酒飲みながら
適当に書きなぐった感じが良く出ているかな。

なにか感想をとか思って今一度書こうと思って書くなら、
米田大神の思いを感じ取って熱くこみ上げてきてるのは
酒の飲みすぎでのアレでは無いのですよ>聞いてない

と思いつつこれだけ書ければ自分的には上出来と自分に対する感想だったりしてわけわからん文章ですがこの辺で。
ではまた。
シンコウ <onhcgfsyfv> 2006/08/25 15:01:53 [ノートメニュー]
Re: いまだに [返事を書く]
早々に

帝都から退去することになった夢織時代です。
帝都には一泊で、行き帰りは夜行だったものでしたから
上方に帰ったらそのままぶっ倒れました。
さすがにもう少し日程に余力を持たせておくべきだったかも知れません。
それでも、最低限回るべきところは回ったかなと思っております。

さて。
お読み下さりありがとうございました。

仰る通り、舞台としてはそれなりによく詰め込んだというべきでしょう。
気になるこの点を除けば、内容はほぼ全般に渡って大変素晴らしいものでした。
あれだけの歌と舞台とアクションとを詰め込んで、さらに哲学的要素まで
百点満点を要求するという方が捻くれているのかもしれません。
実際のところ、上演時間は今までより長くなっているくらいなんですよね。


ただ、それでもやっぱり気になりました。

「命の尊さ」というのは、1で一度盛大に投げ捨ててしまった命題であり、
2でその汚点を取り返すべく主題に据えられた大命題だったと思うのです。
サクラ大戦十周年の今年に、原点回帰のようにそれに取り組んでくれたのはいいんですが、
命を分ける、すみれも実は霊力残ってました、
大儀式の後でみんな普通に戦闘……
うーん、なんだか命が軽く思えてなりません。

そんなわけで拙作を考えてみました。
元々サクラ大戦は設定がかなりしっかりしている割には
かなり重要なところをあえて欠落させていて、
それがファンによる様々な解釈の余地を生み出していたと思っております。
かくいう私が、今やサクラ大戦のキャラクター以上に世界に惚れ込んでしまっていますし。
サクラ大戦にはまりこんだ初期の頃に色々SSを読んでいなければ果たしてここまでのめりこんだかどうか。

足りないと思った分はこちらで妄想して補ってやる!
とまあ、そんなわけで久々に書きました。

今回の歌謡ショウについてあれこれと考えられる端緒となれば幸いですが、
どうやら楽しんで頂けたようで何よりです。
ありがとうございました。

それでは、また。
夢織でした。
夢織時代%御返事もバレ含みます <hifxzshfjl> 2006/08/29 01:10:29 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
「まだ早い」婆ぁが返した六文銭

夢織時代さんこんにちは。
その節はありがとうございました。

このようにSSにレスをつけるというコトも幾久しく、ホントにご無沙汰のつづらであります。ココまで控えていたのは、実は自分の記憶がブレていなかったか、如月さんのレポ待ちだったという(^^)


○死者蘇生

医療ポッドの前で紅蘭が「死者には効かない」と慟哭するまで、全然死んだと思って見ていませんでした。

STATUS=UNCONSIOUSぐらいなんじゃない? って感じ。ところが「死」という言葉を口にしてしまった。

こりゃ、てぇへんです。

サクラでは長らく「死者の現世への未練、執着」というモノについて、言葉は違えど語られてきたはずなんです。敵役の殆どは、この現世への未練を糧として現れました。対する華撃団は生者側の語り手として、手段を問わずというと言いすぎでしょうが、それぞれに対して鎮魂・成仏を説いて回っていたのではなかったでしょうか。アタシはそのように捉えていました。

ところがさくらが生き返った。
生き返って「しまった」と言うべきでしょうか。


○辻褄

世界各地に華撃団構想が結実しつつある最中にも、アイリスの力の成長は留まる事を知らず、遂には死者蘇生を行使するまでに至ったのだ、と考えるとそれなりに辻褄を合わせることはできそうです。特別に必要な知識を持ち出さずに説明することもできますし、(敢えて言及しますが)既存のTRPGで再現することも十分に可能です。

しかし、果たしてそれで収まるのでしょうか。
今回見せたアイリスの能力は、何らかの形で今後も残っていくことでしょう。パリでもニューヨークでも、そしてまだ見ぬ都市においても。

今回、アイリスは自身の霊力を分け与えるコトをまず思い立ちます。
ソレは「命を削る」という理由でマリアに止められました。
それなら、と花組の面々がアイリスに霊力の一部を供与することで負担を分かち合うことになった・・・

パッと見は美談です。
しかし、どうも釈然としません。

アイリスには、小鳥の息を吹き返させることができます。
恐らく小鳥には別段霊力が備わっているワケではないでしょう。
小鳥を蘇生するために費やす霊力も多寡が知れているのかも知れません。
そして舞台上では、金魚の蘇生を事も無げにやっています。

また今回のコトを顧みれば、アイリスは能力の発動に対して、自身の霊力を消費する代わりに「代用者から補填する」方法を取りました。

・・・考えさせてくれますですねぇ^^

代用者、というモノは有限であるはずです。
個々の放つ霊力それぞれには、適性や相性というモノがあるでしょうから、どんなに霊力を豊富に持っている人がいたとしても、アイリスと適合しなければ使い物にならない、という限定条件をつけるコトで歯止めが効きます。

これは血液型のようなものが霊力にも存在する、という仮定です。

ところが中立・中性に近い力であるならば、霊力の変圧器などがあれば、その装置を用いてアイリスに適合させる、言い換えればアイリスが使いやすい霊力として加工することができそうです。
或いは、アイリスの放つ霊力をドナーにとって受け入れやすくするように加工するようなことも。

中立の力。
言わずもがな、都市エネルギーです。

天海様の遺した除去不可能な霊的な力
ソレを制御するための装置。
無尽蔵と言うべき都市エネルギーを御し続けている天海様の術。

かつての最新鋭霊子甲冑は人体に明らかな悪影響を及ぼしましたが、反面、未だ作中で天海様の霊的な力が都市や住民に悪影響を及ぼしたという表現がなされていない・・・・・・はずです^^

もしこの装置が実現されれば、「アイリスは装置の一部と見なす」ことを考える人物、組織、機関が現れて然るべきでしょう。

あれ?
どっかの大預言者の末裔にそこはかとなく被ってるような^^;



とりなべさんの説に交わりますが。
もしアイリスの術が上記の方法を以ってあのお方に対して施されたとすれば、恐らくは肉体が朽ち果てても霊的防御機関の一部として活動し続けることは容易いでしょう。
我が国には即身成仏を願った僧侶の遺骸を本尊として祀る寺社が実在することを考えれば、また歴代の御霊を祈る習慣がかの一族にあるコトを考えれば、より一層。

葵と菊の二重防御を施した都市。

美濃部博士が提唱するであろうサクラ世界でのナントカ機関説、というワケです^^


以上、ざっくばらんながらも反応させて戴きました。
ありがとうございました。


○雑想

暗闇博士の理念て、降魔兵器の実用化?
だとすれば木喰の教え子だったのかしら。

暗闇博士のモチーフが腐乱変死体博士というコトに至るには容易く、そのモチーフの重厚さに負けてしまっているような。
(原作において、怪物は「愛」を自覚するんです)
見かけは『ドク』ことエメットブラウン博士(バック トゥ ザ フューチャー)を彷彿。

黒線4本の白衣。
下っ端の研究員は赤線一本の白衣から始まるのか?<学校によって違いますから


ファイナル。
ということは、
コレ以上大幅な設定改変は行われない
ってコトですよね? わ〜い♪<バカ
つづら%本文を微修正 <elpzledcmn> 2006/08/27 16:51:19 [ノートメニュー]
Re: 「まだ早い」婆ぁが返した六文銭 [返事を書く]
黄泉比良坂で桃を投げ
こんばんは、つづらさん。夢織時代です。
帝都では本当にありがとうございました。
こうしてSSをネタにお話させていただくのも久しぶりですね。

まあ、最近書くのをさぼっていたってえことなんですが。


★死者蘇生
私は当初、原点回帰ということで六破星降魔陣のときと同様の事態になるんじゃないかと
思っておりました。
あのさくらのトランス状態で天海様の居場所を教えた真宮寺家の血の謎とか、
最後の裏御三家の謎とかあれこれ出てくるのかなあ……なんて考えていたら、
甘かったです。

仰る通り、サクラ大戦において黄泉から帰ってきた者は多々いるのですが、
その全てが敵役なんですよね。
反魂で新たな命を得た者然り、亡霊として帝都を祟ろうとした者然り。
降魔自体が300年前に無念のうちに死んだ人々の怨念ですから、
サクラ大戦という物語は生者と死者との戦いが根幹にあると言っても過言ではありません。

それが、帝国華撃団の筆頭ともいうべき裏御三家のさくらが黄泉返ってしまった。
これではたして黄泉返ろうとする者を止められるか。
止める資格があるのか。


ともあれ、この復活はアイリスの霊力抜きにしては考えられないことでした。
拙作ではこの辺、追求が甘かったです。
おそらく世界中の華撃団すべてを見渡しても最強ランクでしょう。この霊力の桁は。
元々一歳の時に地震を起こすくらいですし、
五百年に亘って平穏だった巴里の霊的防御をひっくり返すわの騒ぎですから、
普段現れているテレポートやテレキネシスなんて、力の片鱗に過ぎないわけですよね。
自身の霊力で病気になってしまったダイアナよりもさらに高いはずです。

……こういう言い方はアイリスファンの方に失礼かもしれませんが
アイリスは「よく人間でいられる」と言えるほどの力があると思います。
小動物の蘇生を容易に成し遂げてしまうその力は、もはや神に近いです。

そのアイリスの力を以てしても、復活は命を削るほどのことだった。
これは認めたくないところですが、それでもまだ一つのストッパーだったということですね。
霊力の適合は、私はあまり考えていませんでしたが、
霊力と妖力との属性違いは間違いなく影響するでしょう。
さすがに魔の力を取り込んだらアイリスが反転しそうです。

しかし、都市エネルギーであればアイリスは自分の霊力と合わせて使ったことがありますね。
天武はそれを受け止め切れませんでしたが、
その逆流する霊力を全て消費しきればいい、と見ることも出来ます。
蒸気併用霊子機関三型を通じて、都市エネルギーを集めれば……
いや、もっと直接的なものがありました。
霊子核機関……いや、霊子櫓とアイリスが組めばほとんど無敵です。

他から霊力を補給して奇跡を行うことができるのならば、
……あー、「彼」と同じことを考える者は絶対出てきますねえ、これでは。


歌謡ショウの話に戻りますが、アイリスが成長してもなお結婚することなく
帝国華撃団という組織を守り続けることに一生を捧げることとなったら、
その最期につづらさんの仰るような状態に昇華することはありえるかもしれません。
最愛の人と、最愛の友と過ごした都を守り続ける神霊として。
機関は機関でも霊的実行機関ではそれ自体が信仰の対象になりますね。

……私は、彼女たちには人間の世界で幸せになって欲しいと思います。



★感想の反応
あ。しまった。
確かにサクラ大戦の系譜上、あの研究を行えるのは木喰の関係者である可能性が
極めて高いですね。
考察し損ねた……!
これ、やり方次第では太正維新軍の残党話とくっつけられるナイスなポジションではないですか。

降魔の細胞というのも実は妙な話で、
降魔の本体は怨念ですから、思念体であるはずなんですよね。
ただ、現世で活動するに当たっては頭部が本体となって、犠牲になった人間の身体が
変質しているんですよね。
細胞、というのはこの変質した身体のものなのか、
それとも頭部なのか。
いずれにせよ、細胞の一つ一つに降魔の怨念が刻み込まれているということになりまして。
一種の癌化した細胞なのかもしれません。

このあたりをつきつめれば、単なるマッドな科学者ではなく、
元ネタ通りのフランケンシュタイン博士に近いネクロマンサーとしての立場が
明確になったかもしれません。
……歌謡ショウがマッドになりすぎますが。


まあ、歌謡ショウも最初の四年くらいは本当に毛嫌いしておりました。
歌謡ショウ世界から変なフィードバックが続いたのも悪印象でしたし。
しかし去年の根来幻夜斎といい、今回のモンスターと言い、
終盤に来て実にサクラ大戦らしい舞台となってくれました。
よくなってくれて終わっただけに、いささか寂しいところもありますが、
織姫やすみれの問題など、確かにこれ以上続けるのも難しいところにきていたと言えるでしょう。
その意味では、かすかな安心も覚えてしまっていることを否定できません。

ただ、今回の歌謡ショウが素晴らしかったことは確かだと思います。
でなくばここまで考察する気になりません。

濃い考察が交わせて実に楽しかったです。
ありがとうございました。
それではまた。
夢織でした。
夢織時代%御返事もバレ含みます <hifxzshfjl> 2006/08/30 01:32:26 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
散るサクラ
  あってこそのサクラ大戦
 それでは 散らぬさくらがあったのなら、それは……

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(0910PM10:30 追加)
こんばんわ、夢織時代さん。
お返事大変遅くなってしまい、申し訳ありません。

大見得きって、このレスをつけた自分ですが、
ふと、「はて、反魂の術で黄泉返れるのは一度だけ で良かったよな??」と疑問にかられまして、
手元にある某データ(苦笑)をチェックしておりました……。
が、反魂の術の項目がなくて、焦りました。
確か自分の記憶では、山崎の魂が消えてしまった、という事実を認めたくない、と思ったことがあったかと思うのですが(^^;;;
ここに来て、未確認情報でSS書いちゃったかな、と反省しております。
まぁ、自分のところにあるデータは現在使用しているPCに以降した後のものなので、不完全なのですけどね(謎会話)

という訳で、再掲載は勿論喜んで承諾致しますが、いまひとつすっきりしていない自分がおります。

アイリスに関しては、夢織時代さんの仰られる通り、彼女が幼いままでいることが相変わらず私の中でも引っかかっております。
魔王一直線……否定できない言葉です。
仰る通り、知識は充分にあっても、経験や感情という面で発展途上なレニはアイリス同様、まだまだ情操的な面での教育を必要としていると思います。
せっかく、周囲にお姉さんが沢山いる状況だというのに、その誰もがアイリスの無邪気な幼児性を放置している。
それは恐ろしい状況だと思います。

今回の歌謡ショウで個人的にツボだったのは、薔薇組のお2人が語っていた「帝都に帝都タワーを作る」というくだりでした。
帝都タワーを作る六ヶ所がどこどこか、という点を想像するとわくわくします。
六ヶ所と言うと、六破星降魔陣ですが、六破星降魔陣は魔界の力を呼び出すためのものでした。
一方で、都市エネルギーを制するというと八鬼門封魔陣が挙げられますが、
果たして帝都のお偉いさん方は滅せられた人々の怨念を「利用」することなく、都市エネルギーを効率よく制するために帝都タワーを建設することにしたのでしょうかねぇ。
非常に気になる情報でした。
  でもって、余談ですが某ゲーム「ライドウ」では帝都の
  五箇所に電波塔が作られて、それにより帝都市民の精神を
  操ろうと陸軍が動いておりました。
  どこの陸軍も考えることは似ているものです。(<おい)

結局、BBで千秋楽公演は見ず終いだった私ですが、今回の公演も前回同様、原点であるゲームの内容を色々な意味で
振り返ることができて、良い内容だったと思います。
個人的にいただけない部分も多々ありましたけれど。


そんな感じで本日はこれで失礼致します。

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(以下、原文)


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                  カタッ

人の気配に大神は振り向く。
散らかってしまった書庫の整理は明日に回しても良かったのだが、
先ほど米田に殴られた頬は未だ疼いている。
抱いてしまった苦い思いを心に刻み込むためにも、
身体を動かしていたかったのだ。

もう深夜と言っても良い時間。
米田はとっくに自宅へと帰ったし、
花組の面々も自室へと引き上げていったと思っていた。

果たして、扉から顔を覗かせていたのは………

「さくら君……
まだ起きていたのかい?」
先ほどまでの話題の中心人物、真宮寺さくら その人だった。

さくらは、普段着のままで寝巻きにも着替えていない。
その姿に大神はわずかな不安を覚える。

「大神さん、ちょっとお話しても良いですか?」

いつもと同じ、はにかんだ笑顔をさくらは浮かべている。
「もちろんだよ さくら君
        どうしたんだい?」
「ありがとうございますっ
あっ お片づけ手伝いますね」

トトトッ と
大神の側へと寄ってきたさくらは、大神とともに
本の整理を始め、一向に話を始める気配がない。
その姿を少し訝しがりながらも、大神も本の整理を再開する。


           しばらくして唐突にさくらは口を開く。


「大神さん
 あたし小さい頃、何で自分は普通の女の子と違っているんだろう、
 って 思っていた時期があったんです
 もちろん、それはあたしが真宮寺家の娘で、霊力があったからで、
 今ならそれが分かるんですけど、それでもやっぱり普通の……
 女学校の級友たちのことを羨ましく思っていたんですね」

それは、裏御三家の一つ真宮寺家に生まれたさくらだけが
抱いた思いではないであろうことは 大神にも想像がつく。
花組に属する娘たちが大なり小なり抱いたことがあるであろう 思いだ。
だから、何故さくらが突然そんな話を始めたのか、大神は分からなかった。

次の言葉を聞くまでは。

「花組に入って、花組の皆さんと出会えて、
           大神さんと出会えて、
 あたしはあたしであって良かった と今では心から思ってるんです
 お父様の娘で、お母様の娘の真宮寺さくら
 生まれ変わってもまた、真宮寺さくらでありたい と」

その言葉は静かに大神の心に染みていく。

 (生まれ変わってもまた……)

そして、今日二度目の衝撃を大神は味わう。

『反魂の術によって黄泉返った者は、その術が解ける時、魂ごと消滅を迎える』

散々読んだ、山崎真之介の著書の片隅に記してあった言葉だ。
失念していたという言葉では済まされない。
重い重い言葉だ。
反魂の術で黄泉返った者は、再び死を迎える時、
その魂は永劫に消滅してしまう。
つまりは、輪廻の輪からも外れてしまうと言うのだ。
     
   ただの無

  反魂の術に二度目はない。
 無いものを黄泉返らせることも、無いものが転生することも有り得はしないのだ。

もちろん 今日幾度も大神自身が語ったように、
アイリスが今回発揮したのは、反魂の術とは異なる力だ。
花組の愛によって蘇ったさくらは、
反魂の術で黄泉返った者たちとは異質の存在として、
ここにあるのかも知れない。
元より反魂の術で黄泉返った魂が 再び死を迎える時、
消滅を迎えるという説自体が間違っているのかも知れない。
それでも大神は何も言葉が出なかった。
何を語っても、それは不確実なことであり、真実を知ることはできないのだから。
それは、さくらにとって ただの気休めに過ぎない。

俯いたまま、さくらは言葉を続ける。
その姿に大神は数年前、魔神器を手にし悲壮な決意を
述べたさくらの姿を思い出す。

「仙台に帰って、
   真宮寺の菩提をお参りしても、
     お父様が入寂した霊廟を見ても………
         ここに、お父様はいるんだろうか
  お父様は、本当に今は安らかに眠っておられるんだろうか
               って不安になるんです
 こんなこと、お母様やお婆様には言えません
 あたしだって、確認したわけではないことですけれどっ
 それでもっっ」

俯いたまま  堰を切ったように言葉を紡ぐさくら。
いたたまれず、大神はあのときのようにさくらを抱きしめる。

「もちろん、皆さんがあたしを呼び戻してくださったことは、
 とてもとても感謝しています
 あたしも もっともっと生きていたいですし、
 皆さんや大神さんと共にありたいですから
 それでも、あたしが再び死んだ時に遺していく方々に、
 こんな気持ちを味わわせてしまうのかと思うと……」
 
少し いつもよりも搾り出すような声でさくらは続ける。
大神は言葉なく、たださくらを抱きしめる。

 強く
    強く
 ただ さくらを
この場所に己が許に繋ぎ留めようとするかのように。


                        Fin

=======================================================

そんなこんなで、こんばんわ、夢織時代さん。
昨夜やっとBB配信を観ました市浦です。
色々不義理続いておりますが、いてもたってもいられずやってきました。

(気を取り直して)
このツリーはBB配信を観た直後に開きました (^^;;;
反逆SSを執筆されているとお聞きした時から、
このネタであろう、と思っていましたが、
やはりアイリス反魂の術ネタでしたか。(<だから違うって)

私は観劇前にネタバレをあえて踏みまくったので、事前に
この展開は知っていたわけですが……。
それでも、実際PCの前で紅蘭の慟哭でぐっと来た後のあの展開には、
思いっきりやり切れなさを感じてしまいました。
実際、知らずに劇場でこの展開をご覧になった方々のお気持ちはどうだったのか、
他の方々のレスで幾分か推し量れるわけですが………。
私自身としては、あれはやってはいけないだろう、と思っております。
上のSS(もどき)で記した理由もありますが、
いい加減アイリスの力まかせの展開はやめて欲しかったという
気持ちが大きいです。
記憶操作ができて、今度は死んだ者も蘇らせることができる、
なんて、どこまでアイリスの力を大きくすればいいんだろう、と。

そして、その伏線であったであろう「金魚を復活させるシーン」。
あれも観たくはなかったシーンでした。
限りある命の大切さをしっかりと教える、それは大人としての
義務です。
元気になって良かったな、という言葉もですが、寿命という概念も
あの場で花組の方々がアイリスに教えて欲しかったです。

まあ、「2」の時点でアイリスに漢字を教えているのが大神だけ、
という花組ですから、それは望めないことなんだな、とは思いますけど(辛口)

---------------------------------------------------------------

色々あった今回の歌謡ショウですが、
私としては去年同様悪役にはまってしまったので、一応観て良かったと思います。
モンスター格好良すぎです。
ただ、花組に人殺しをさせないためか、モンスターの非情さを示すためか、
暗闇博士を殺してしまう展開はちょっとショックでしたけれども。
それにより、愛という概念でモンスターを救うという展開が
無くなってしまいましたから。

花組は一人足りない状態でしたけれども、
やっぱり最後の「花咲く乙女」や
役者さんたちの挨拶には涙ぐんでしまいました。

歌謡ショウの最後であって、帝都花組が無くなるわけではない
と分かっていても、やはり感動してしまいました。
    ……それにしても私、結局歌謡ショウは一回しか観劇していないんですよね。

それでは、本日はこれで失礼致します。
久々のSS拝読、本当に楽しかったです (^^)
10周年記念SSも楽しみにしております(<プレッシャー)

色々と書き連ねたので、まとまらない所が多々ありますね。
(あらためて読み返して、読みにくさに愕然として追加してます)
乱文、本当に失礼致しました。


でわでわ

                         市浦まお

(0831 本文他微修正致しました)
しうら@遅くなりましたがレス追加しました。 <wgqqgruyhs> 2006/08/28 00:06:28 [ノートメニュー]
Re: 散るサクラ [返事を書く]
「金色の魔王」

……というタイトルのSSを考えようとしたのですが、
おそらくここにアップできないくらいダークな内容になると思うので
書くのは当分保留です。

というわけでこんばんは、しうらさん。夢織時代です。
いや、今考えているSSと繋がるところがあるので、それでついつい暴走してしまったのですが。
さあて、あと十日で書き上がるかなあ……うーむ。

それはさておきまして、アイリスの傍にいるレニ自身が、とても大人とはいえない、
むしろ情操面ではレニこそがアイリスよりも子供のような存在ですから、
今の状況が長らく続いているのは、本気で危ないことだと、考えれば考えるほど
事態の深刻さがのしかかってきます。
嫌いな人の記憶を消し飛ばし、いて欲しい人には不老不死を与える存在となれば、
人はそれを神と呼ぶのでしょうか。

人々が神と崇めるアイリスを、最後まで友だちと呼ぼうとするレニ。
人生を教えられなかったことを死ぬほど悔やむ大神。
……あ、ヤバイ、やめときます。


反魂の術ですが、資料をひっくり返して見てみましたところ、
帝撃グラフの記述によれば下記のようになるそうです。
1,生前より強い力で復活する。
2,意識や自我は低くなる。
特に2の要件を突き詰めれば、結果として魂そのものが摩耗して消滅するということに繋がると思われます。



六ヶ所の帝都タワーネタは私も聞いていてわくわくさせられました。
まったく、終盤にきてちゃんとサクラ大戦なんですもの。
六大ボイラーとも通じるものがあるのでしょうが、
上野が入っているところを見ると、六破星降魔陣の位置とは違うようですね。
むしろそれを打ち消すような陣形を二重三重に重ねているようにも思えます。

しかし、別世界の陸軍も考えることが同じですか(笑)
公報戦略上、電波発信地を押さえることはものすごく意味があると聞きますが、
霊的、魔術的なものがある世界では、それこそ人心を左右できてしまいますからねえ。


色々思うところはありましたが、その欠点も含めて
初代サクラ大戦の持っていた雰囲気を呼び起こさせてくれる公演だったと思います。
まさしく十周年に相応しい。

……そうか、アレを書こうと思い至ってからもう十年も過ぎてるのかあああああ(七転八倒)


それでは、また。
夢織でした。



以下原文
************************
返り、無限なき夢幻

御返事が遅くなって済みません、市浦さん。夢織時代です。

嗚呼。

心に染み入る締めをありがとうございました。
忘れておりました、反魂の術があり、復活が当たり前のようにある世界で、
しかし、二度復活した者はいないということを。
奇跡も邪法も代償が無いはずはなく、だとしたら山崎真之介の研究結果は
十二分にありえることでしょう。

死後はわからないものです。
黄泉返ってきた者たちも、死後の世界には口を閉ざしていました。

皮肉なもので、あの太正十五年の正月に父一馬の墓に参った直後に、
一馬が反魂していたことを知ったのでしたね。
黄泉返ってきた父を知っているからこそ、
同じように黄泉返ってくることになったさくらの心境はいかばかりか。
翻って、残された者の悲しみも、黄泉返らせてくれた者たちの思いもわかるだけに、
彼女にとっては有り難くも苦しいことになるでしょう……

これもまた、反魂の裏であると思われます。

嗚呼。

えーと、よろしければ、ですが、
……今作をページに再録するときに一緒に掲載させて頂けませんか?



しかしまあ、やはりこのネタか、と思われるのは、
嬉しいやら、ワンパターンが恥ずかしいやら(汗

あの紅蘭の慟哭は私もぐっと来ました。
機械は壊れたら直すことが出来る。
人の命は直すことが出来ない。
……血潮の悪夢第六話で間違った方向に突っ込んだ紅蘭が
ようやく戻ってきてくれたかと思わされたものです。
悲しいはずのシーンなのに、紅蘭の言葉自体は嬉しかったのですよ。

その直後にあれです。
紅蘭の慟哭を思いっきり否定してどうするよ、と。


私はアイリスの力は「魔王になりうる」ほど強いと思っているので、
ある程度強いということは認めていいかなと思うのですが、
記憶操作に反魂と、ある意味で魔王になる道一直線なのは
なかなか笑えない事態であると思います。
アイリスが子供の心のままであることも原因の一つ、あるいは結果の一つだと思います。
アイリスは浅草の事件以降、自分の霊力の恐ろしさについて
誰かにちゃんと教えを受けているのでしょうか?
一時期はシャトーブリアン夫妻と約束したあやめさんがやっていたと思われますが、
かえでさんがアイリスを教育していたシーンってありましたっけ?
現在アイリスの師と呼べるのはレニくらいかもしれません。
そのレニも、確かに知識は豊富ですが、人としての感情を取り戻してから
まだ数年しか経っていないことを思うと、アイリスの心の師として
果たして十分だと言えるだろうかと思えてしまいます。

その意味では、「つい」金魚を復活させてしまうシーンは
大変現実的なシーンであったと言えるのかもしれません。
自分の力があれば不可能は無いと思えている今のアイリスならば。

……などと考えつつ次のSSを考えているわけですが。
はて、間に合うかな。


悪役の格好良さではある意味前回以上でしたねえ。
モンスターではなく上級降魔と呼んでも差し支えないのではないかと思うくらい
威風堂々たる戦い方でした。
持っている刀が長い分、アクションがめちゃくちゃ映えていましたし。
ただ、降魔細胞を使っているとはいえ、彼は作り出されたものではなく、
ベースは本当に博士の子供だったのではないかと思える部分があります。
降魔は元々犠牲者となった人間の肉体をよりしろにしますから、
ベースがあるはずなんですよね。

まあ、この辺を突き詰めるとえらくブラックになります……。

SSのような問題点があるとはいえ、見て良かったと思える歌謡ショウでした。
10年お疲れ様でしたと申し上げたいところです。

それでは、また。
夢織でした。
夢織時代%9/15 01;00修正 <hifxzshfjl> 2006/09/03 01:59:58 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
ブロードバンド開通記念

……引っ越すと毎回これでねえ。<知らんがな

ということで歌謡ショウからずいぶんと日が経ってしまいましたが、
やっと長い文章開ける気になれましたもので(笑)。

で、歌謡ショウ。面白かったですよね! で、やっぱりサクラ的に
ココに疑問を感じるのも至極当然な気もします。というかサクラで
なくても昨今問題だったりしませんでしたっけ? 「登場人物が生き返る」
という展開が生命軽視にも繋がる、みたいな。

ただ、まだまだこういうのが「分かりやすい」んでしょうねえ、とも思います。
書物のように自由に読み返せるものでなく、OVAの如く何度も手軽に見返せる
ものでもなく。ゲームは…言うまでもなく。スピード展開で、老若男女問わず
分かりやすく。歌謡ショウというスタイル上、深く考えるよりも分かりやすく
燃える、という展開がやりやすくもあるのでしょう。などと少し思いました。

ただ、サクラ的に望ましい展開かというと絶対そうではありませんよね。
登場人物が年を取っていく=永遠は無いというサクラ(太正は続くと言えど
いつかは終わる…)であれば、なおの事かと。

でもきっと、次はありません。「ファイナル」ですし。<お後がよろしいようで?
紀州人 <pmkzkhgdps> 2006/09/12 19:25:43 [ノートメニュー]
Re: ブロードバンド開通記念 [返事を書く]
おめでとうございます。

こんばんは、紀州人さん。夢織時代です。
自宅に光を引いてしまった者としては、引越は出来るだけ考えたくないところです。
先日、線路長4.6kmという素敵な場所に住んでいる友人が光を引こうとしたら、
電線を無茶な引き方しているので、建物を傷つけずに光を入れられないとかで
泣いておりました。
さりとて既に世の中のサイトはブロードバンド前提。
そこら中にアニメーションを見るようになり、重くなりました。
とりあえずここは、余計なもののないKYのまま進めていきたいと思います。


振り返って如月紫水さんのレポートを読んでいても思ったのですが、
今年の歌謡ショウは確かに面白かったですよねえ。
評価すべきところが多々あって、さすがファイナルと銘打つだけのことはあると
感心させられたものです。

で、十年たってこの問題点に回帰したのか、とも思うといささかやるせないのですが。
そりゃサクラ大戦はライフゲージがゼロになっても戦闘離脱で済んでしまいますから
そこの意識がどうしても希薄になるのかもしれませんけど、
あまりにも戦闘部隊としてふざけているのではないかと思ってしまいますねえ。

手法としては古く、
そういえばお約束の集合体がサクラ大戦だ、などという格言もありましたっけ。
その意味ではこういったあからさまにあざとい泣かせる演出というのは
サクラ大戦らしいといえばらしいのかもしれません。
ただ、やはり作品理念として掲げていたであろうものと
相反するものをああも平然とされてしまうとさすがに堪えるものがありました。

いくらDVDで出ると言っても、やはり舞台はその一瞬が全てということはありますね。
OVAとは見せ方が基本から異なっていると思えば、
あのような演出を選ぶことになったのも、確かにわからなくはないです。


もう一つ、サクラ大戦として積み上げてきたものと相反するところがあったのが気になったのです。
さくらたち帝劇の面々が、結婚することを放棄しているように見えることです。

サクラ大戦4の存在が鬼子のような扱いになっていますが、
それでも行き着く幸せの形として本編で描ききったことを無かったかのように否定するのは
サクラ大戦という作品としてどうなのかと。
永遠はなく、彼女たちもいつかは老いて戦えなくなるときが来るのなら、
次に続く者たちを育てあげなければならないのですが、
ファンとしては彼女たち以外の存在が考えられないという縛られた状態なんですよね。
ファイナルとは、それに仮の終止符を打つためのものなのかもしれません。

いずれにせよ、当分帝都編の動きは無いでしょう。
その間にあれこれ考えることとします<あれ?


ご感想ありがとうございました。
それでは、また。
夢織時代%御返事にもバレ含みます <hifxzshfjl> 2006/09/15 01:25:39 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
削除

ミスってノートを作ってしまいました。
再利用するかも。
夢織時代 <hifxzshfjl> 2006/09/15 01:24:13 [ノートメニュー]
Re: あとがき(今夏ショウ激バレ) [返事を書く]
今更ですが。(SS付き)

BS2で「新・愛ゆえに」が放映されるこの機会に、ぶら下がらせていただきます。


「新・愛ゆえに」観劇後。
あの生き返りが、どうしても受け入れられなくて。
他の方は、一体どう思っているのか、ネットを散々さまよったりしました。
本当に、なんで殺さなくてはならなかったのか。
なので、生き返りに疑問をもっている方が少なからずいて、少し溜飲が下がりました。


>  銀座に人造人間たちが現れていたんだから、花組の面々に単独行動は絶対に避けさせなければならなかった!

一幕ラストで、モンスター倒す描写の方が良かったと思うんです。倒したと思っていたのに不死身だった、と、印象強くなりますし。
それなら、緊張感の無い花組でも、それほど気にならなかったでしょうし。


>  さくらくんに、霊剣荒鷹の常時携帯も命ずることなく、一人で行動させてしまったあげくがあの失態です!

一人ではなかったと思います。
カンナの「お参りすんだか〜?」は、お参り前まで、さくらと一緒に行動してたと想像できます。

カンナはさくらの近くにいたのに戦いに気付かず、助ける事ができなかったんです。

「さくらを殺す」
ならば、何故、そこにカンナを立ち会わせなければならなかったのか。
それが、どれだけカンナを傷つけるか。

カンナのおかげで、なんとか一命をとりとめた、と言う展開であれば、その後の「生き返り」も無くなって、一石二鳥だったのに。

そんな想いをSSにしました。






新・愛ゆえに 異聞



 帝劇はこんなに遠かったか?
 なんで、もっと速く走れないんだ!
 さくらを抱えているとは言え、なんでこんなに苦しいんだ。

 なんで、こんな事に。

 ついさっきまで、さくらは笑っていたのに。


「あの・・・。
 この近くに神社があるんですって」
 団子を先に食い終えて、手持ち無沙汰のさくらが言う。
「ああ。お参りに行きたいんだな?」
 さくらはお参りが好きだ。神社を見かければ必ず寄っていく。
「行って来いよ。あたいはもうちょっと食ってくからさ」
「じゃあ、お先に失礼します」


 腹八分って言うしな、と、そこそこで切り上げて、さくらが向かった神社を探す。
 路地からちょっと奥まった竹やぶから、赤い鳥居が垣間見える。
「さくら、待ってるかな」
 中々戻ってこないのは、神社で落ち合うつもりだったのかもと、歩を早める。
「おーい、さくらぁ〜?」


 なんで、こんな事に。
 なんで、気付かなかった。


 止血の心得はあっても、傷が深すぎて手におえない。血のぬめりで さくらが滑り落ちそうになるのを支えて、それでも常人の速度をはるかに超えて疾走する。
 血まみれで走る女優に驚きをみせる通行人も、しかし、あまりの非日常な光景に、芝居かしらと囁くのみ。


「さくら! 今、こいつで生き返らせてやるからな!」
 医療ポッドのスイッチを入れても、さくらはピクリともしない。
 おい、なんでだよ?
「あかん。医療ポッドは、死んだ人間を生き返らせることはできへんのや・・・!」
 死んだ?
 脳裏に親父の最後の姿が蘇り、さらに胸を苦しめる。
「なんでだよ。どうしてだよ、紅蘭!? じゃあ、今すぐ改良しろよ」
「あかん! できへん!! 人間を不死身にすることはできん。できへんのや!!」
 冗談だろ?
 だって、いつも紅蘭は、あたいたちを助けてくれたじゃないか。なのに、こんな時に、それはないだろ?
「だったら、何の為の科学なんだよ!?」
「今そんなこと紅蘭に言うなよ!」
 ソンナコト。
 今、何を言った?
「ホンマ情けないわ。堪忍な。ウチ、なんて役立たずなんや」
 違う。
 役立たずはあたいだ。
 あんなに近くに居たのに、気付かずに呑気に団子を食ってたんだ。




 満月を背に、さくらが立っている。
「よかった」
 それは本心だったのに、なんでこんなに苦しいんだ。

 日に日にさくらの顔を見るのが辛くなる。
「どうしたんですか?」
「・・・ごめん」
「はい?」
「さくらを助けられなかった」
「そんな。
 カンナさんも命を分けてくれたじゃないですか」
「それは、アイリスの力だ」
 そうだ。
 あたいは何もできなかった。
「あたいは、帝都を、みんなを守るウナイ神になれると思ってた。
 一杯鍛えて、強くなって。もう誰も失わないように。
 はは。うぬぼれもいいところさ。」
「カンナさん」
「夢を見るんだ。
 戦いで何も出来ずに、みんなが死んでいくのを、ただ見ているだけの。
 怖いんだ。こんな気持ちで、もうあたいは戦えない。
 ・・・花組失格さ」

 涙を流しながら自嘲するカンナにかける言葉が見つからず、さくらは後姿を見送るのみ。
 カンナが帝劇から姿を消したのを皆が知るのは、その翌日。








多分、誰かがカンナを引き止める展開にもできるんでしょう。
けれど。
『サクラ大戦・歌謡ショウファイナル公演「新・愛ゆえに」』を、ハッピーエンドで許す気にはなれませんでした。
伊藤小百合 <xjuielhztm> 2007/03/04 12:03:32 [ノートメニュー]
Re: 今更ですが。(SS付き) [返事を書く]
お久しぶりです。

お久しぶりです、伊藤小百合さん。夢織時代です。
ひょっとしたらと思ったら、感想を戴いてびっくりです。

ご指摘ありがとうございました。
当時は怒りにまかせて書いたので、その辺を頭からすっ飛ばしてしまっておりました。
ご指摘頂いて思い出
してみると、確かに同行しているとしか思えないセリフでしたね。
うぅぅ、反省……。

それはそれとしまして、
同じ思いを抱いていらっしゃる方がここにもいらっしゃることを改めて知り、
嬉しく思います。
ファイナルと銘打った歌謡ショウならばこそ、
ここまで積み重ねてきた彼女たちの思いを踏みにじらないで欲しかった……。
仰る通り、同行していたからこそ、なおのことカンナが心に負った傷はどうにも癒えようがないものになってしまいましたね……。

>一幕ラストで、モンスター倒す描写の方が良かったと思うんです。
賛成です。
死から黄泉返ってくるのは、サクラ大戦においては悪役の専売特許であってほしかったです。
これは推測ですが、昨夏→昨新春で根来幻夜斎が不死身の存在として黄泉返る恐怖感を既に使ってしまったため、
ネタの再利用を避けたのではないか……と思ってしまいました。



SSも読ませて頂きました。

……ああ。

私は歌謡ショウにおける自己中心的に過ぎるカンナが最後まで好きになれませんでした。
カンナが本来持っている深い優しさがまるで感じられなかったので。
昨夏の記憶もおぼろげですが、やっぱり納得出来ないところがあったのです。
ただ、あの言葉の裏にこれだけの悔恨があったら、
確かにそれはカンナだろうと思いました。
父を亡くしたときのことを語るカンナのことを思えば、
どれほどまでに自分を責めることか。
今にして思えば、さくらが刺された状況は、サクラ大戦前夜において
カンナの父が殺されたときの状況と妙に一致するのですね。

「新愛ゆえに」を笑顔で終わらせようとするのならば、
あの舞台の後に、多くの人々の悔恨を乗り越えなければならなかったのだと
改めて思いました。

ありがとうございました。


それでは、また。

夢織でした。
夢織時代 <hifxzshfjl> 2007/03/06 01:29:22 [ノートメニュー]

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