[サクラ大戦BBS]

MAKING APPEND NOTE
伊藤小百合 への返事
今更ですが。(SS付き)

BS2で「新・愛ゆえに」が放映されるこの機会に、ぶら下がらせていただきます。


「新・愛ゆえに」観劇後。
あの生き返りが、どうしても受け入れられなくて。
他の方は、一体どう思っているのか、ネットを散々さまよったりしました。
本当に、なんで殺さなくてはならなかったのか。
なので、生き返りに疑問をもっている方が少なからずいて、少し溜飲が下がりました。


>  銀座に人造人間たちが現れていたんだから、花組の面々に単独行動は絶対に避けさせなければならなかった!

一幕ラストで、モンスター倒す描写の方が良かったと思うんです。倒したと思っていたのに不死身だった、と、印象強くなりますし。
それなら、緊張感の無い花組でも、それほど気にならなかったでしょうし。


>  さくらくんに、霊剣荒鷹の常時携帯も命ずることなく、一人で行動させてしまったあげくがあの失態です!

一人ではなかったと思います。
カンナの「お参りすんだか〜?」は、お参り前まで、さくらと一緒に行動してたと想像できます。

カンナはさくらの近くにいたのに戦いに気付かず、助ける事ができなかったんです。

「さくらを殺す」
ならば、何故、そこにカンナを立ち会わせなければならなかったのか。
それが、どれだけカンナを傷つけるか。

カンナのおかげで、なんとか一命をとりとめた、と言う展開であれば、その後の「生き返り」も無くなって、一石二鳥だったのに。

そんな想いをSSにしました。






新・愛ゆえに 異聞



 帝劇はこんなに遠かったか?
 なんで、もっと速く走れないんだ!
 さくらを抱えているとは言え、なんでこんなに苦しいんだ。

 なんで、こんな事に。

 ついさっきまで、さくらは笑っていたのに。


「あの・・・。
 この近くに神社があるんですって」
 団子を先に食い終えて、手持ち無沙汰のさくらが言う。
「ああ。お参りに行きたいんだな?」
 さくらはお参りが好きだ。神社を見かければ必ず寄っていく。
「行って来いよ。あたいはもうちょっと食ってくからさ」
「じゃあ、お先に失礼します」


 腹八分って言うしな、と、そこそこで切り上げて、さくらが向かった神社を探す。
 路地からちょっと奥まった竹やぶから、赤い鳥居が垣間見える。
「さくら、待ってるかな」
 中々戻ってこないのは、神社で落ち合うつもりだったのかもと、歩を早める。
「おーい、さくらぁ〜?」


 なんで、こんな事に。
 なんで、気付かなかった。


 止血の心得はあっても、傷が深すぎて手におえない。血のぬめりで さくらが滑り落ちそうになるのを支えて、それでも常人の速度をはるかに超えて疾走する。
 血まみれで走る女優に驚きをみせる通行人も、しかし、あまりの非日常な光景に、芝居かしらと囁くのみ。


「さくら! 今、こいつで生き返らせてやるからな!」
 医療ポッドのスイッチを入れても、さくらはピクリともしない。
 おい、なんでだよ?
「あかん。医療ポッドは、死んだ人間を生き返らせることはできへんのや・・・!」
 死んだ?
 脳裏に親父の最後の姿が蘇り、さらに胸を苦しめる。
「なんでだよ。どうしてだよ、紅蘭!? じゃあ、今すぐ改良しろよ」
「あかん! できへん!! 人間を不死身にすることはできん。できへんのや!!」
 冗談だろ?
 だって、いつも紅蘭は、あたいたちを助けてくれたじゃないか。なのに、こんな時に、それはないだろ?
「だったら、何の為の科学なんだよ!?」
「今そんなこと紅蘭に言うなよ!」
 ソンナコト。
 今、何を言った?
「ホンマ情けないわ。堪忍な。ウチ、なんて役立たずなんや」
 違う。
 役立たずはあたいだ。
 あんなに近くに居たのに、気付かずに呑気に団子を食ってたんだ。




 満月を背に、さくらが立っている。
「よかった」
 それは本心だったのに、なんでこんなに苦しいんだ。

 日に日にさくらの顔を見るのが辛くなる。
「どうしたんですか?」
「・・・ごめん」
「はい?」
「さくらを助けられなかった」
「そんな。
 カンナさんも命を分けてくれたじゃないですか」
「それは、アイリスの力だ」
 そうだ。
 あたいは何もできなかった。
「あたいは、帝都を、みんなを守るウナイ神になれると思ってた。
 一杯鍛えて、強くなって。もう誰も失わないように。
 はは。うぬぼれもいいところさ。」
「カンナさん」
「夢を見るんだ。
 戦いで何も出来ずに、みんなが死んでいくのを、ただ見ているだけの。
 怖いんだ。こんな気持ちで、もうあたいは戦えない。
 ・・・花組失格さ」

 涙を流しながら自嘲するカンナにかける言葉が見つからず、さくらは後姿を見送るのみ。
 カンナが帝劇から姿を消したのを皆が知るのは、その翌日。








多分、誰かがカンナを引き止める展開にもできるんでしょう。
けれど。
『サクラ大戦・歌謡ショウファイナル公演「新・愛ゆえに」』を、ハッピーエンドで許す気にはなれませんでした。

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