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舞台奏組〜薫風のセレナーデ〜全8公演レポ

  舞台奏組〜薫風のセレナーデ〜全8公演レポ 如月紫水@連投失礼 2013/10/06 23:04:23
  第一幕その2 如月紫水 2013/10/06 23:05:24
  第一幕その3 如月紫水 2013/10/06 23:06:42
  第一幕その4 如月紫水 2013/10/06 23:07:44
  第二幕その1 如月紫水 2013/10/06 23:10:41
  第二幕その2 如月紫水 2013/10/06 23:12:22
Re: 舞台奏組〜薫風のセレナーデ〜全8公演レポ [返事を書く]
第二幕その2


音子「これ、わたしの手紙……紫さん……」

音子の脳裏には紫が語った「自分から目をそむけちゃダメよ。夢や希望は、俯いた視線の先には無いわ。だからしっかり、前を向いて!」
の言葉に励まされ、人形を指揮台に置き、手紙を手に真摯な瞳で前を見つめる。
そんな中、耳慣れないメロディーが…

「あなたにいつか会えると思い 汽車に乗ってここまで来た
 あなたといつか並んでみたい そんな夢を描いていた」

♪春よ来い春よ

噂の音子ちゃんソロ曲。これぞサクラ大戦の歌謡曲、そして帝都ヒロインの歌というイメージ。
でも、歌詞はストレートに音子の事を歌っており、去年からずっと待ってたキャラクターソングがいよいよお披露目、という印象でした。

この曲、初日は始まってすぐの手拍子につられて手拍子(リズムは花咲く乙女と同じ)だったのですが
二日目からはツイッターで公式側からサイリュームを振る許可をもらったファンの呼びかけで
黄色のサイリュームを振る形で落ち着きました。

ちなみに、サイリュームに落ち着いたのは去年の舞台で作曲家である田中公平先生のブログで
「音子のソロで黄色のサイリュームが見たいなぁ〜」といったニュアンスの記事があったので、それを見たファンが
公式側に一応確認をとって、徐々にやりだし、千穐楽に向けて増えて行った…という流れがあったからだと思います。
この公演でも、徐々に増えて行く黄色の光を見ているのはとても楽しかったです。

それはさておき、冒頭を歌い終えると音子一人だった舞台にかわるがわる奏組のメンバーが
1フレーズずつ交代で現れます。

「あなたはいつもわたしの希望 辛いときも前を向ける
 あなたといつか未来を語る 夜の月よ笑わないで」

まずはジオが下手上段で華麗にダンス。でも最後に音子の姿を見つめるまなざしが優しくていいなぁと思っていると
入れ違いに上手上段に源二が現れ、ぴょんぴょんと元気よく両手を振って笑っていたかと思いきや、男前に回し蹴りをしてからの胸に手を当て、その拳を音子に向けてニッと笑う無自覚男前でした。

「だけど 届かぬ夢よ それでもわたしは追いかけてく
 だから お願い 恋するように
 わたしの夢に 春よ来い」

歌いながら下手から上手へと移動する音子。
その後ろ、下手から源三郎が金平糖袋を手にやってきて、金平糖を掴んだ手を音子に差しだそうとするのですが、ためらいそのまま去ってしまう。
まだまだ素直になれない源三郎が去り、音子が歌い上げ間奏に入ると下手上段からルイスが現れ舞台中央までくると
音子が振りむき、目の前に駆け寄って行き…何も言わない音子を、微笑んで抱きしめるルイス。

頭をぽんぽんと撫で、その手でしっかりと音子の両手を包み、膝をついてその目を見つめる……
初日、これだけでもうわあああああああ!!!!となったのに、二日目には立ち上がり、さらに音子の頬を両手で包み見つめてて…
22日昼からは最後に頬を包んだまま親指でそっと音子の両眼に浮かぶ涙をぬぐってて…本当に、母さん……母さん…
今、間違いなく好感度一位で気力充実状態だろう…と思ってもいなかったすごい光景に思わず頭がサクラのゲームモードに入ってしまいましたが、

ルイスは音子の肩を掴むと、上手の方へその身体を向けさせ、そこには大きくジャンプターンを決めてからの流れるように美しい姿勢で片膝をついて音子を見つめるジオが。
今回、ジオは本当にダンスを強調されていますね。
続いて、源二に手を引かれた源三郎が下手から登場し、階段中腹まで降りてきた音子の元に集う。
そこで、ようやく音子に金平糖を渡せた源三郎。
ここからは、四人に囲まれて歌う音子。

「だけど 届かぬ夢よ それでもわたしは追いかけてく
 だから お願い 恋するように
 わたしの夢に 春よ来い」

最後、四人は上段に一列に並び、シー・マエストロのポーズをして、舞台奥にはけると、サビの繰り返しで上手から一人ヒューゴが登場。
音子と目が合うものの、何も言わず通り過ぎようとするヒューゴに、音子は上手に移動しその背中を見つめながら歌う。

「だけど 届かぬ夢よ それでもわたしは追いかけてく
 だから お願い だから お願い
 恋するように 恋するように
 わたしの夢に 春よ来い」

いまだ音子に対して頑なな面が強いヒューゴですが、「恋するように」の繰り返し部分で一度振り返り音子と見つめ合う時間があったのは
すごい進歩だなと。ヒューゴが去ってからも、音子は再び前を見て歌い上げる。

「わたしの夢に 春よ来い 春よ」

伸びやかな歌声が響く中、曲の余韻を残して暗転。
この曲も、ぜひCD化してほしいです!(舞台キャストはもちろん、声優版音子ちゃんでも聞きたいです!)

拍手が止まらぬ中、照明が舞台に入ると、階段セットが再び上手、下手に分かれており舞台中央にはキッチンコンロが。
(台本には、かなで寮炊事場と書かれていました)
その前で、たすき掛けをして気合を入れる音子の姿が。

音子「よーし!昨日はいろいろあったけど…(大きな包丁を手に持ち)やるぞ!!
   美味しいご飯を作って、みんなを驚かせるんだ!まずは野菜を…とん!!」

おお、音子ちゃん素晴らしいバイタリティ…!!と思っていたのもつかの間…なぜか手にした大きなネギが切れない(笑)
「あれ?…とん!……とん!!!」とどんなにやっても切れない(笑)

音子「……野菜はとりあえず、そのまま食卓に並べよう〜」

音子ちゃぁぁん!!(笑)下手階段の所にネギを置き、気を取り直して次の作業へ移ろうとするのですが…

音子「次は、お米を炊かなくちゃ!まずはおかまを……」

コンロの横にある、お釜を持ち上げようとする音子ですが……これがうんともすんとも動かない(笑)
しばらく頑張っていた音子ですが、数歩下がり「…そうきたか〜」となぜか猪木風ボイスとファイティングポーズ(笑)
でもそれ以上、勝負を挑むことはせず、次のアイディアへ。

音子「よーし!今日はパンにしよう〜!(コンロの中からコッペパンのようなパンを取り出す)
   木村屋のあんパンみたいなやつ! あ、でもあんこが無いな……
   代わりに…焼き魚でいくか!
   お魚パンなんて、おっしゃれ〜〜!」

いや音子ちゃん!!ありか無しかで聞かれたら、限りなく無しの方向だから!!(笑…いや、でも美味しいパンもありますけどね?)
でも、本人の中でそのプランが固まってしまったので、再び猪木風の構えをして…

音子「よーし!じゃあ、この蒸気コンロを…点火!!」

勢いよく、コンロをひねると……ものすごい火柱が…!!(下から風を送り込み、布をたなびかせている所に赤い照明を当てる、という古典的ながら効果的な炎演出)
それに驚き、悲鳴を上げることしかできない音子。そんな最悪の現場に、上手上段から「ちょっとーー!!!」とうらずった声が響く。

源三郎「何してるの!!早く火を止めてーーっ!!!」

源三郎の言い回しがどうにもコミカルで…完全ギャグです(笑)
動揺した音子ちゃんがそう言われて動き出すのですが、なぜか金網で顔を守り?ながら包丁で火に挑む(笑)
あまりに埒があかないので「もういいよ!」と源三郎がコンロを止めて、事態は何とか終息へ。

今回の公演、遊び要素が少ないの中で、ここは数少ない居られるポイントということで、ここはちょいちょいアドリブが
入るようになっていきました。
21日昼では源三郎もすこし長めに音子ちゃんと同じ動きをしたり火を収めるために布を「熱っ!あっち…!くさっ…!」と言いながら恐る恐る触ったり
23日昼はその部分で「あっティ〜…!」と源三郎もついに言いだしました(笑)

音子「源三郎くん……」
源三郎「ホンットあんたはダメだね!!火事になったらどう責任取るつもり!?」
音子「ご、ごめんなさい…!」

コンロの上に網を置きながらひたすら謝ることしかできない音子に「まったく…」と悪態をつきながらも
調理台の上にあった紐を手に取り「あんたは野菜でも洗ってて」と音子同様たすき掛けをする源三郎。おお、割烹着に代わりに…!

音子「え?」
源三郎「言っとくけど、これはあんたのためとかじゃ毛頭ないから。
    僕は、誰かの為に動くようなイイ子じゃない。不味い朝ご飯、食べたくないだけだよ」

パンを掴み、それを音子に渡すと、聞きおぼえがあるようななような…なコミカルな音楽が流れ

源三郎「♪まずは具材 まずは具材 まずは具材だ」

♪料理は手際が大事(バカは嫌いだ別Ver)

マジか源三郎ーーー!!!!!(大笑)
いや、実はずっと残るは源三郎のソロ曲だけど、この後の展開でどうやって「バカは嫌い」って歌んだろう…と思ったら
まさかの!まさかのシーンに合わせたアレンジとは!!え、ちょ…これもCDください(笑)
もう、初日大爆笑でした。

ということで、ここから曲に合わせた二人の3分間クッキング〜(笑)
パンを置き、調理台の下から材料の入った笊を持ちだし、大きなレンコンも首にかけた音子ちゃんがそれを調理台に置くと
包丁を手にした源三郎がそれに次々と刃を入れて行く。
この時に源三郎が「ほらいくよ」と音子ちゃんに声をかけたりしてる日もありました。
「こんにゃく。人参。鶏肉?」と次々に具材を準備し、音子が持っていた空笊に入れて行く源三郎。

源三郎「♪これキノコ、必要? お味噌汁に
     でも気分いいから いれてもいいよ
     あれ?しいたけと レンコンも 鍋に入れると少し
     味噌汁が遠ざかる」

あかん、かわいすぎる…(笑)
そして3分間クッキングのお約束、音子ちゃんが包丁を入れた具材の乗った笊を調理台の下に置くと入れ違いで出てくる刻まれた材料(笑)
「あんびりーばぼー」と大げさに棒読みでおどろく源三郎のあざと可愛さと言ったら……!そして、それらを音子ちゃんが用意した鍋に次々と入れて行く。

源三郎「ここに、人参とこんにゃく、鶏肉とごぼうを加えれば筑前煮の完成」
音子「筑前煮?」
源三郎「いい?料理で肝心なのは、て・ぎ・わ。なんだ」(笊をくるくるとまわし、得意気にポーズ)
音子「手際…」

何も言えない音子が鍋をその場でぐるぐる回しているとそれを奪い取り、コンロで火にかける源三郎。
一瞬怯える音子ちゃんですがもちろん、火柱は立ちません(笑)

源三郎「♪誰でもコトコト弱火で煮込めば 美味しい料理が出来てる
     (調理台の下から桶を取り出し)おしんこは ぬか床が重要」

コトコト弱火で、のときに音子ちゃんが後ろでひたすらファイティングポーズでうろうろしているところから
根本的に音子ちゃん料理で何をするかをわかってないんだなと思いました(笑)
そして、調理台の下から今度は桶を取り出し、少しにおいをかいで顔をしかめた源三郎はそれを音子に渡す。
ぬかはにおいが独特ですかねー…音子ちゃんも同じような表情をしているのが可愛いです。
その隙に、源三郎は「みりん」と書かれた一升瓶を取り出し、ダンス。

源三郎「♪ソイソース 醤油をとって(ぬか床を置いた音子が「せうゆ」と書かれた一升瓶を取り出す)
     みりん (さっと筑前煮にかけ入れる) それと塩を
     魚にまぶし 焼き上げてく」

音子ちゃんが思いっきり力を入れて「んん〜〜…ぽんっ!」と醤油瓶のふたを外し、同じように味付けをしている間に
源三郎はみりんを置いて塩の入ったツボと大きな魚(たぶん、鮭)を取り出し、塩をふりかける。

源三郎「♪だから! アジはうまい
     鮭もうまい(魚を担いだら、ばたばたばたっと暴れられ、そのまま音子へパス)
     (音子が魚と格闘している間に、前に出てステップ)この手料理に添えるたくあんを
     ナスとカブの間に盛りつけて あとはお茶だけ」

たくあん、ということで調理台の下からたくあんを取り出した音子ちゃんが包丁で刻むのですが…切りきれず、一本のまま(笑)
それを見た源三郎がすかさず音子を軽く突き飛ばし、自分で刻みだす。

源三郎「♪グズは嫌い バカは嫌い
   (下手階段からネギを持ってきた音子に驚き)なんだよこれ!!
    ♪ネギは嫌いだ!」

すぱぁん!と思いっきりネギを真っ二つにした源三郎。そのネギを角のように持ってる音子ちゃんもかわいいですが、
他の具材を素早く片付けてる間に、源三郎は仕上げ、と綺麗にお膳に盛りつけされた朝食を手に「はい」とキメ!(笑)
ご飯に鮭の切り身の塩焼き、そして筑前煮とおしんこ……完璧な朝食です!!(笑)

音子「で、できた……」

目を丸くして、美味しそうな朝食を見つめる音子に「じゃあ、後は頑張って」とそのお膳を渡す源三郎。

音子「え?」
源三郎「(たすき掛けをはずしながら)僕、朝風呂入ってくるから」
音子「げ、源三郎くん!……ありがとう」
源三郎「……面倒くさいから、僕が作ったこと言わないでよね。
    隊 長 …すん(さん)!」

すんって(笑)崩すにしてもすん、は予想外でした(笑…でも普通に「隊長さん」だった日もありました。21日夜、22日夜、23日昼とか)
上手へ去って行く源三郎の後姿、そして朝食へと視線を落とした音子は「隊長…」と言葉を繰り返す。
それと入れ違いに、下手からルイスが登場

ルイス「おや?朝早くから良い匂いがすると思ったら」
音子「ルイスさん…」
ルイス「美味しそうな朝食ですね。音子さんが…隊長自らが作ってくれたと知ったらきっとみんな大喜びですよ」

楽しそうに声を弾ませたルイスが調理台に回り込み、筑前煮を覗きこむのですが、その際にちゃんと髪を押えているところに品を感じます。
でも、そんなルイスに音子は笑うでもなく、深刻な表情のまま言葉を発する。

音子「あの…」
ルイス「はい?」
音子「…わたしは奏組の隊長として、本当に必要な存在なのでしょうか…」
ルイス「……どうされたのですか?」

悩んでいる音子の様子に、ルイスも声のトーンを真剣なものにして、先を促す。
振り向いた音子は、朝食のお膳を調理台の上に置き、たすきがけも外してルイスを真直ぐに見つめる。

音子「わたし……もっと知りたいんです。皆さんの事…」
ルイス「……ヒューゴの事ですね」
音子「ルイスさんはご存じなんですよね?ヒューゴさんがどうしてわたしを拒絶するのか…」

皆さん、と言いつつも一番聞きたい事をすぐに見抜くルイス。
それを否定せず、質問を重ねる音子に、ルイスはわずかに思案するよう瞳を伏せると、音子を通り過ぎ下手に歩を進める。

ルイス「隊長が隊員の事を知っておくというのは、至極当然の事です。
    だから、あなたには知る権利がある。
    …ですが、それは同時に、あなたが隊長としての責務を全うしなければならないという事です」
音子「責務……」
ルイス「―――ありますか?あなたに…ヒューゴの過去を背負える自信が」

これ以上、踏み込むのならばそれ相応の覚悟がなければならない、と暗に伝えるルイス。
そんなルイスの問いかけに、音子は正直に今の気持ちで答える。

音子「自信は…………正直、ありません。
   …平和な出雲から帝都に来て、はじめて降魔や戦いを目にして…
   皆さんと会って…隊長は、どういうことをすればいいのか、まったく見当もつかなくて…!
   でも……わたしは奏組(ここ)にいて、皆さんが、わたしを仲間だと言ってくれるなら…
   わたしも、仲間の為に出来ることをしたい!…そう思うんです」

迷って、立ち止まりそうになっても、それでも出来ることをと前を向く音子に、ルイスはしばしの沈黙ののち
「音子さんは、欧州大戦をご存じですか?」と口を開く。

音子「は、はい。前にちょっとだけジオさんが教えてくれました」
ルイス「ヒューゴは当時、イタリアでその大戦に巻き込まれ…彼の母と姉が、ヒューゴを守って亡くなりました」
音子「えっ……?」

けたたましい銃音が響き、音子は重々しい事実に言葉が出ない。

ルイス「あの言葉も態度も全て……あなたを同じ目に合わせないようにするためです」

続くルイスの言葉にも何も言えないでいると、上手上段から負傷した腕を押えながらヒューゴが現れる。

音子「ヒューゴさん……」

それに気づいたルイスは何も言わず舞台奥へと歩を進め、背を向けたまま様子を見る。
ヒューゴは一瞬音子に視線をやるが、何も言わずそのまま前を通り過ぎようとしたため、音子が慌てて声をかける。

音子「…っそんな身体で、どこに行く気ですか?」
ヒューゴ「君には関係ない」
音子「(負傷していない腕を掴み)見回りならわたしが行きます!だからっ」
ヒューゴ「(音子の手を振り払い)邪魔をするな。どけ」
音子「ダメです!!…た、隊長命令ですよ!」

頑ななヒューゴに必死に訴えかける音子。走って先回りし、下手階段の前で両手を広げてヒューゴの行く手を阻もうとしますが、ヒューゴも譲らず、声を荒げる。

ヒューゴ「俺は君を隊長と認めた訳じゃない!どけ」
音子「嫌です!!…(ぐっと拳に力を入れる)
   …わたしは…隊長だからあなたを止めているんじゃありません!
   わたしは……雅音子は…あなたが心配なんです」

一歩ヒューゴに近づき、声を震わせながらもハッキリとそう告げた音子に、ヒューゴは何も言えなくなり、視線を反らす。
ルイスも思わず振り返り「音子さん……」と驚きを滲ませて呟く。
(21日公演あたりから、音子が「あなたが心配なんです」と言う際に、ヒューゴの腰あたりを控えめながらもしっかりとつかみ訴えかける動きになっていました)
互いの思いが交錯する中、場の空気を動かしたのはジオの切迫した声でした。

ジオ「大変だ!源二がやられた」
音子「えっ」
ヒューゴ「何っ!?」

ルイスも緊張を走らせ、下手上段から現れたジオと源二に駆け寄る。
その声を聞いた源三郎が「兄さん!?」と慌てて上手から走ってくる中、当の源二は
ジオに支えられ「いててて…」と声は上げているものの、意識ははっきりしてます。

音子「源二くん!!」
源二「大丈夫だよ。俺はかすり傷だ。それより……」

ふらふらながらも、自力で立つ源二の表情が曇り、上段下手を見やると、全員の視線が注がれる中
加集が呆然とした表情のまま、幼馴染の女性を抱えて現れ……

ヒューゴ「加集!」
ルイス「その子は?」
加集「……俺、昨夜の公演が終わったら一緒にご飯に行こうって約束してたの忘れてて……それで…」
源三郎「まさかデノンマンサーに?!」

源三郎の言葉に誰かが答えるより早く、幼馴染の女性が弱々しい声を発する。

女性「丈治くん…」
加集「!…どうした?」
女性「そんなに自分を責めないで……丈治くんは忘れずに来てくれたわ…
   わたしを……約束を、まもってくれた…わたし……嬉しかっ…た……」

それだけ伝えると、再び気を失う女性。動転して「おい!しっかりしろ!!おい!!」と呼びかけるしかできない丈治に
ジオが素早く近づき「早く、奥で手当てを!」と促し、加集たちを連れて上段上手へ。

ジオ「源二も」
源二「え?いや、俺はホントにかすり傷なんだって―――痛っ!」
源三郎「(むりやり源二の腕を肩に回し支える)いいから、言う事聞いて」

有無を言わさず連れて行くところ、そして「大丈夫?」と小声ながらも気遣う源三郎に
源二も「おう」素直に従うところが兄弟らしいな、と思っているうちに二人は上手へ。
なるほど、あの後デノンマンサー達は丈治の幼馴染の女性をターゲットにしたところに丈治が現れ、
そして見回り続行していた源二とジオが助け船を出し、間一髪のところで助かった…というところでしょうか。

再び舞台上は三人に戻り、ルイスが冷静に状況を口にする。

ルイス「…敵は神出鬼没…どこを見回ればよいのか、見当もつきませんね…」
音子「……わたしに…わたしに任せてください」
ルイス「え?」

ヒューゴもこれと言った手立てが思いつかず、黙っているところに音子が動きだす。
その意図が二人ともつかめずにいると、音子は指揮台の上においてあった風呂敷包みを抱える。

音子「敵は…正之助さんは、紫さんを必ず迎えに来ます。
   ―――必ず」
ルイス「音子さん……」
音子「(紫を抱えたままヒューゴを見つめる)…ヒューゴさん。
   わたし…あなたに認めてもらえるように頑張りますから!
   この人なら大丈夫だって、仲間に頼ってもらえるような
   そんな……隊長に!」

必死に、前だけを見つめて進もうとする音子が紫の人形を抱えたまま下手へ駆けだして行くのを見つめるヒューゴの
表情はとても複雑で……事態を見守っていたルイスが促すように声をかけます。

ルイス「ヒューゴ……あなたはまだ、音子さんの事を認められないのですか?」
ヒューゴ「…………認めていないわけではない。
     ミヤビは……霊力も高い。霊音を見る事の出来る特別な力を持っている…
     彼女が隊長ならば、きっと戦いやすくもなるだろう。
     (ルイスを振り返り、憂いを露わにする)だが…彼女はただの少女だ。
     俺達とは、生きてきた世界が違う。
     ミヤビには……傷ついてほしくない」

ルイスが音子に伝えた通りの心情を吐露するヒューゴ。
背を向け自分が負傷した所に手を当てて、押し黙るヒューゴに、ルイスは小さく首を振り言葉を選びながら口を開く。
(23日昼からは、怪我の場所ではなく、形見のペンダントを握りしめる動きになりました)

ルイス「ヒューゴ……我々の隊長は、あなたが思うほど弱くはありません。
    あなたの気持ちはよくわかりますが、どうか冷静に」

それだけ忠告をすると、ルイスは音子を追いかけるように下手へとはける。

ヒューゴ「……俺はいつでも、冷静だ」

どこか憔悴した声音でそれだけ呟き、ヒューゴも下手へはける。
うん……冷静なように見えて、一番実は感情に振り回されやすいですからね、ヒューゴさん。

暗転し、再び照明が入ると、微かに紫の歌声が響く中、闇にまぎれて音も無く疾走する醤のメンバーが舞台を横切る。
彼が通り過ぎると舞台中央奥から、風呂敷からはずされた紫の人形を抱え、フルートを反対の手に持った音子とルイスが登場。
街灯がまたあることから外に出てきたことはすぐにわかるのですが、台本によると場所は上野公園とのこと。
あたりを見渡し、音子が表情を曇らせ階段を下りる。

ルイス「どうされたのですか?」
音子「おかしい……いつもは賑やかな街が静まり返ってる……
   音が何も見えない。音が……消えた…」
ルイス「音が?」

音子だけが感じ取っている感覚をルイスが言葉だけ繰り返したところで小さく鈴の音が響き、それにつられて振り向くと
上段上手に紫の姿が。

音子「紫さん!」
紫「音子ちゃん……早くここから逃げて」
音子「どうして?」
ルイス「紫さんが、いるのですか?」
音子「はい…!」
ルイス「しかし…紫さんは、源三郎くんの矢で消えたはずでは?」

紫の姿も見えず、言葉も聞こえないルイスは音子の視線をたどり大体の距離や位置を測り、そこを気にして近づくのですが
やはり見えていない、ということで紫とすれ違うように立ち位置が変わる。

紫「私は…私はデノンマンサーとバカな誓いを結んでしまったの」
音子「誓い…?」(音子の視線の位置が変わっていることから、ルイスも見えないながら隣を気にする)
紫「私は正之助様が望みさえすれば、いくらでも蘇ることができる。
  その代り……この先一生永遠に、デノンマンサーの手足となり働かなくてはならない…」
音子「この先一生…永遠に…!?」
紫「今思えば、考えなしの安請け合いしてしまったと後悔しているわ。
  (歩みを進め、音子の隣に立つ紫)
  …私もあなたと同じように、自分を不幸だと思い込んでいたのよ」
音子「え……?」
紫「(自嘲的に小さく笑い)愛する人と一緒になることができない
  この世で一番不幸な女だと俯いていた。
  そして最後に……その愛する人も不幸にしてしまった…!!」

涙ながらに訴える紫に、音子が何も言えずにいると「何を言うんだ、紫」と下手から正之助が現れる。

音子「正之助さん……」
正之助「紫を!…返してもらおうか」

正之助の姿を見て、ルイスは足早に正之助と音子の間に入り、音子を守るため後ろに下げようとしますが
その手を音子が制し、一瞬ルイスと視線を合わせた後、正之助の前に立つ。

音子「紫さん…紫さんはもう………」
紫「音子ちゃん、私がこうして蘇ったということは、緋独楽様が―――
  あのデノンマンサーが近付いてる証拠よ!」
音子「デノンマンサー!?」

音子の言葉に、一瞬にして緊張感を走らせたルイスは、正之助を警戒しつつも、さらなる脅威に備えるため
上着に隠されたホルスターに手を伸ばしいつでも戦輪を出せる体制をとる。

紫「私は!人が生みだす悪しき情念を養分として生きているの!
  特に、若い娘の抱く恐怖の念は最高の養分となる、だから…!!」
正之助「紫……紫っ!」
紫「!正之助様っ」

音子が紫の話に気をとられている間に、正之助は音子の声の位置を頼りに背後から近づき、触れたと思ったら
強引にその手にあった紫の人形を取り戻す。
その反動で音子は下手へと突き飛ばされてしまい、ルイスが近づこうとするのを正之助が杖を振りまわして阻む。

紫「逃げて音子ちゃん!早く!!」
音子「いいえ!……わたしはもう、逃げません」
紫「音子ちゃん……」
音子「正之助さん…紫さんはもう、この世の方ではありません」

切々と語る音子は、時折ルイスの方を見ながら階段の中腹に移動する。

正之助「黙れ!!」
音子「紫さんは…あなたのさびしい心が呼び寄せた降魔です。
   そして、それを操っているのは―――」
正之助「黙れと言っているのがわからんのか!!」

現実をつきつけられ、耐えきれず暴れる正之助。
それを必死で止める紫と、音子を守るため正之助と距離をとらせるルイス。

音子「正之助さん!わたしは!!紫さんを救いたいんです!
   そして…(ルイスの手を離れ、再び前に出る)…あなたも……」
正之助「私を…?」

音子の言葉に、戸惑う正之助。そんな正之助と音子を交互に見た紫は縋る思いで音子を見つめる。

紫「出来るの、音子ちゃん?あなたに……」
音子「……信じてください」

思い一つで真直ぐに紫を見つめる音子。
如月紫水 <rxqkycrwxn> 2013/10/06 23:12:22 [ノートメニュー]
  第二幕その3 如月紫水 2013/10/06 23:14:05
  第二幕その4(バウ) 如月紫水 2013/10/06 23:14:31
  │├21日アフタートーク 如月紫水 2013/10/06 23:15:23
  │├22日アフタートーク 如月紫水 2013/10/06 23:16:12
  │└ハプニング&千穐楽集 如月紫水 2013/10/06 23:18:28
  読了しました&気づいた事 とりなべ 2013/10/12 12:53:47
  │└ありがとうございます!! 如月紫水 2013/10/15 22:42:18
  追記:薫風のセレナーデDVD発売記念イベ... 如月紫水 2014/03/18 21:04:39
   └「トークショウ、君に」参加記録その2 如月紫水 2014/03/18 21:05:14

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