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紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート

  紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート 如月紫水 2012/09/17 11:00:37
  一幕その1 如月紫水 2012/09/17 11:01:23
  一幕その2 如月紫水 2012/09/17 11:01:55
  幕間 如月紫水 2012/09/17 11:02:28
  二幕その1 如月紫水 2012/09/17 11:03:33
Re: 紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート [返事を書く]
二幕その1


さて、休憩も終わり二幕の始まり……思いっきりシアターでは重い空気のまま終わりましたが、二幕の始まりは再び街角。
フィンガースナップが響く中、幕が上がると舞台も回り、ダンディ団の三人が(ボスは白い帽子もかぶっています)

♪ダンディー

久しぶりにフルコーラス聞きました!女性ダンサー5人も加わって、大人な雰囲気。
武田も、ヘッドドレスは外して懐かしいストライプのスーツを羽織っています。

ですが、ボスが中央の木箱の上でポーズを決めて、西村が下手武田が上手で歌い終えると一緒に踊っていた女性たちの様子が一変。
ボスの「寄ってらっしゃい、見てらっしゃ〜い!ジャパニーズグッズだよ〜よ〜見てってよ〜〜」の声には耳を向けず、
武田にいたってはヘッドドレスをつけたら見ていた女性二人が同時に噴き出し、そのまま上手に去っていきました

武田「一緒に踊ったじゃん!
   あーー!暇だーー!!もう!!!」
西村「うるせぇ!」
武田「だって、ぜんっ――――――(溜めが長いため、ボスと西村がスローな動きをする)
   ―――っぜん!!売れないじゃないですか!!(そしてコケる二人)
   それ以前に客が寄りつきゃしねぇよ。あの気味悪い人形は片付けたってのになぁ」
ボス「お前がそんなみょうちくりんな恰好しているせいだろ」
武田「なっ…(エプロンの裾を掴んで)むしろ目立っていい客寄せになるじゃないですか!
   あ!あれだ、きっとアニキの顔が怖いからですよ!」
西村「はあぁ!?(ニカァと笑って)これのどこが怖いってんだよ!
   にんにんにん♪」

笑顔で足をくねらせる西村は、普通にかわいいと思ってしまったのですが(笑)
武田には不気味に映ったようで「きゃーーーー!!!!」と悲鳴を上げて、西村に追いかけられていました(笑)
ボスを挟んで追いかけっこが始まるかと思いきや、西村が上手で滑って武田が逃げ切るという珍しい事になりました(笑)
それを見て笑っていたボスですが、今度は武田が客が寄り付かない原因をボスにあると推理します。

武田「あ、わかった!客が寄り付かない訳が」
西村「何だ、言ってみろ」
武田「ボスが無駄に良い声だからですよ!」
ボス「……いらっしゃいませ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

さすがの息の長さ…!!!ずっと西村と武田が拍手をあおり、コントロールしてくれました(笑)
終わると一際大きな拍手が!

ボス「これのどこが無駄に良い声だんだよ!」
武田「いや、どっからどう聞いても、良い声です!」
武田・西村「無駄に」
ボス「西村!武田!」

二人をたしなめるように呼ぶ声も良い声で(笑)
ほらね、と示されていました。
と、ここで突如「ダンディー」のイントロが流れて来たので
ポーズをつけてスタンバイする三人ですが、それより早く上手から赤いリボンのついたポシェットを肩にかけた双葉さんが登場!!

双葉「♪タタタタ タタタタ タイガー
    タタタタ タタタタ タイガー」

突如替え歌で入ってきました!!今回、一幕にまったく姿が見えないのでどうされたのかと思ったら相変わらずのマイペースさで現れました。

双葉「♪タイガーそれは 大神の血筋
    タイガー タイガー タイガー
   いつも息子が、お世話になっています」

曲の最後で深々と頭を下げてる双葉さんが印象的です。と、ここで曲ジャックは終了。
武田が抗議に向うのですが

武田「ストップストップ!ちょっとちょっと!!勝手に変な替え歌しないでくださいよ!」
双葉「なんだ、リトルリップシアターの使いっパシリくんじゃないか〜
   またサボりか?」
武田「違いますよ!まったく…」

まぁ、武田だと言いくるめられるのが関の山ですよね(笑)
ということで、ボスが紳士的に近づくのですが…

ボス「そこの美しいお嬢さん、俺達の大事なテーマ曲を…」
双葉「お嬢さん!?お嬢さんってもしかして…私の事かしら〜?(ウィンクしたのを、反射的に帽子でガードするボス)
   (ニヤニヤ笑いながら足早にボスを無視して上手へ)
   いやぁ〜何年ぶりだろう〜〜…良い響きだな。お・じょ・うさーーん!」

双葉さん、そこテンション上げるところですか!?(笑)

ボス「いや、そこじゃなくて俺達のテーマ曲を替え歌にしてもらっちゃ困るって…」

と、ボスが改めて抗議しようとしたらまたも曲前奏が流れてきて、慌ててスタンバイするダンディ団三人ですが…今度は上手からトランクを手にしたラッシー先生が曲ジャック!!

ラッシー「♪ララララ ララララ ラッシー
      ララララ ララララ ラッシー」

まぁ、ラッシー先生はここだけなのですが最後のポーズは双葉さんを巻き込み、二人でセンターでポーズ(笑)

武田「あんたもか!」
ラッシー「楽しそうだったので、ノリでつい…」

ここで、西村が突然現れた二人について武田に尋ねます。

西村「武田、この人たちは?」
武田「えーとシアターの愉快な仲間たちというか…」
ボス「ずいぶん濃い仲間たちだなぁ」

ボスたちから見ても濃いのですかこの二人(笑)
ですが、これで黙ってる双葉さんではないです(笑)

双葉「いやいやいや、そんなスーツを着ている奴に言われたくないぞ」
ラッシー「ホントに派手なスーツで…」

お互いのスーツを見比べる二人。うん、ラッシー先生に言われたくないですよね(笑)

武田「お二人さんはハリウッドに出張中なんじゃなかったんですか?」

武田からさらりと出た地名に反応する西村とボス。
客席も反応しますよ。居ないと思ったら出張中だったのですか!

ボス「ハリウッド?」
ラッシー「ええ。ある映画からお声がかかりましてね」
西村「映画…あー、活動写真!」
ラッシー「はい。その活動写真の中のダンスシーンの振付を、ぜひ私に頼みたいと」
西村「すごいですね!」
双葉「(二人の間に割って入り)ホッホホホホ、いやたいしたことはない、たいしたことはない」
武田「双葉さんはラッシー先生にマネージャーが必要とかなんとか言って勝手について行っただけでしょ!」

ごーほごーほ!!と大きな咳払いで誤魔化す双葉さん(笑)
と、盛り上がる場ですが、ここでボスが改めてご挨拶を。

ボス「ご挨拶が遅くなりました。
   わたくし、は日本は帝都東京でダンディ団と名乗りギャング業を営んでおります、団耕助と申します。
   ダンディとお呼びください」
西村「同じく、西村ヤン太郎です」
武田「二人は、俺のボスとアニキで―――」
双葉「(武田を遮って)これはこれはご丁寧に。
   私は大河双葉。よろしくどうぞ」
ラッシー「私、ボブ・ラッシー。リトルリップシアターで振付師をしております」
武田「二人は、俺の仕事先の―――」

今度は武田の紹介が入るかと思ったのですが、ラッシー先生の経歴を聞いた西村とボスが食いついてまたまた遮られてしまいました(笑)

ボス「振付師……っということは、あのスターファイブさんのステージの振付を!?」
ラッシー「ええ」
西村「なるほど、そりゃあいろんな所からお声がかかるってもんですね」
ラッシー「映画もなかなか素敵でしたが、やはり私には舞台が性に合っています」
武田「おーーい!俺を無視してそっちだけで仲良くやらないでくださいよ!」
ボス「うるせぇ」

武田、散々な扱いです(笑)
少々悪態をつく武田ですが、気を取り直して双葉さんにとある質問を

武田「あ、双葉さ〜ん。お土産は?」
双葉「ああ、土産な〜……ない」
武田「は!?」
双葉「忙しくて忙しくてそれどころではなかった〜」
武田「んな訳ないでしょ!双葉さんは観光で行ったんですから」

ツッコミを入れる武田を無視して、露店を見渡した双葉さんは、ふと木箱の上にあったある物に目を止めて手を伸ばします。

双葉「ん?なんだこのチラシは」
ボス「ああ、三日ほど前に置かせてくれって頼まれまして」
双葉「(ラッシー先生と紙面をみて)『アナタのココロ、アヤツリます』天才催眠術師?面白そうじゃないか!」
武田「そんなもん、どうせインチキにきまってら」
双葉「どうかな?」

バカにする武田に、双葉さんはニヤリと笑って自説を展開させます。

双葉「いいか、人間なんて案外モロいものだぞ?不満が多くても、満足しすぎていても、心に隙ができる。
   心に隙のある人間は……あ、そうだ」

おもむろに、バッグから五円玉に長い紐をつけたものを取り出し「はい、はい、はい、はい」と並んでいる四人の男性陣の前で揺らす双葉さん

双葉「あなたはだんだん眠くなーる…あなたはだんだん眠くなーる……」

そんなのにかかわるわけない…とバカにしていたのに、武田だけがコロッと引っかかり、爆睡(笑)
まぁ、即座にボスに踵落としで起こされてましたが。そして、場をきょろきょろせわしなく見て慌てる武田。

武田「あれ!?俺だけっすか!?」
双葉「はっはっは。いいか、こういうものはな意志が強い人間はかからないんだ。
   意志が強いということは、心が強いということだ。
   つまり、夢や目標を持ち、それを達するためにはどんな困難にも立ち向かう気力を持っている人間。
   はい!ミスターダンディ!夢は!?」
ボス「あっしの夢は、弱い者に手を差し伸べることができるギャング。
   そして、花組さんとスターファイブさんをずーーっと応援し続けること!」
双葉「ミスター西村!」
西村「俺は、そんなボスに一生ついて行くと、心に決めています。これは、絶対に曲げられない信念です」
双葉「はい、ラッシー先生!」
ラッシー「(中央の木箱の上に立ち)一人でも、多くのスタァを育て上げ、舞台の上で輝かせること。
     そして、たくさんのお客様に楽しんで頂ける舞台を創ること」
双葉「はいラスト、パシリくん!」
武田「いや、パシリくんって」
双葉「夢は!?」
武田「俺の夢は―――」
双葉「ほーーーーれ見てみろ、なーーーんも出てこない!」

武田だけ、言う前に遮られました!(笑…でも、台本でも言い淀んでいました)

双葉「そんなんだから、私の催眠に簡単にひっかかるんだ。いいか、夢を持て!目標を持て!
   そして、心を強く持て!心頭滅却すれば火もまた涼し。
   『武士道』だって、腕っ節だけではなく、その精神を鍛えることにあるからな。
   (油断してた武田に)てやーっ!どぶし!うりゃーっ!ずびし!」

舞台を左右に大きく動きながら、心持ちの大切さを語る双葉さん。
さすが、二人の英雄に多大な影響を与えたであろうお人、ぶれません。
そして一番心配な武田に活を入れる代わりに切る双葉さん(笑…武田はノリでちゃんと切られましたよ)
で、武田が双葉さんに反撃しようとするのですが、語りきった双葉さんの興味は武田から外れて、先程のボスの発言へ。
なので、もちろん武田の攻撃は総無視(笑)

双葉「あ、そうだ。先程花組とスターファイブの応援と言っていたが、もしやファンなのか?」
ボス「はい。彼女たちの舞台が大好きなんですよ…!」
西村「応援だけじゃなくて、ボスの歌と踊りもかなりのものなんですよ」
ラッシー「ほぉ、それは興味あります!ぜひ拝見したいものですね」
ボス「そんな、先生恐れ多い…!!」

謙遜するボスですが、西村に手を引かれ上手でひそひそ相談。

西村「ボス!ボス!これはもしかしたら、スターファイブさんと一緒に舞台に上がれるチャンスかもしれませんよ?」
ボス「(ハッとなって)そ、そうか……」

ボスと西村が相談している間に、ラッシー先生が双葉さんに催眠術師のチラシを渡し、それをにやりと笑ってポシェットにしまう双葉さん。
話がまとまったところで、再びボスがラッシー先生の前へ。

ボス「ははは…ここでお目にかかったのも何かの縁、よろしければ少し、お時間を頂けますか?」
ラッシー「ええ、喜んで!」
双葉「踊りなら私も自信があるぞ。審査してしんぜよう」
武田「双葉さんのは踊りじゃなくて、脅しでしょ」
双葉「なんだと!?」

武田、一言多い!(笑)
一睨みされた武田ですが、今回は素早く逃げてラッシー先生の号令のもとダンスを始めたボスと西村と共に流れてくる音楽(紐育のBGM)
この後ろで舞台が周り、紗幕がさがり、色とりどりの照明がダンディ団たちを照らします。
懸命に踊る三人に「合ってない!」と振りの指示を出すラッシー先生。
それに合わせて三人は踊るのですが、下手にいる双葉さんはマイペースに盆踊りの振付(笑)
でも、最後だけ合わせる、という技を見せました(笑)
最後は双葉さんを先頭に西村、ボス、武田、ラッシー先生とステップを踏みながら(と言っても、某お笑いの横歩きのようなステップなのですが)
下手へ順番にはけるメンバー

ここで、場面は代わり、音楽も楽しい物から重く暗い物に。
ほの暗い照明の中、紗幕の向こうに青い照明が入り、ぼんやりと姿を照らされるのは、行方不明となっているはずの新次郎。

大河「ここは、どこなんだろう……?暗くて、冷たい……
   みんなは?…ジェミニ!…サジータさん!
   リカ!…ダイアナさん!…昴さん!
   ……誰も、いない…みんな、ぼくについてきてくれるって言ったのに…
   あの人形が言った通り、ぼくは必要ないのかな………
   !?…ぼく、いま……
   そうか…ぼくはみんなを信じてるって言いながら
   そのつもりになっていただけなのかもしれない……
   一人きり……寂しい…怖い……でも、もういいか…
   忘れよう。すべて…諦めよう。なにもかも……
   そうすれば、きっと……楽になる……」

…思いっきり人形の言葉に、思考回路が支配されてます……!!
肩を落とし、暗い表情で背を向け、暗闇の方へ向おうとする新次郎の姿をフェードアウトさせるように暗転。
舞台の上部からリトルリップシアターの看板が下がってきて、場面転換。
下手からサニーサイドが「しかし、デスクワークは疲れるねぇ〜!」と伸びをしながらやってきて、その後ろにはまだ心配顔の杏里とプラム、そしてお目付け役のラチェットが続きます。

杏里「あの…サニーサイド様。ちょっとかわいそうじゃありませんか?」
サニー「何が?」
杏里「星組のみなさん!なんていうか、その……」
   (とりあわず、舞台中央の奥へ伸びをしながら向うサニー。それを通り越して上手側に向ったラチェット)
   ラチェットさんも心配ですよね?」
ラチェット「ええ……でも、私はサニーの判断に賛成よ」
サニー「おお、ラチェット!!」

両手を広げて、テンション高くサニーが振り向いた途端、いつもの口説き音楽が流れ、ノリでプラムと杏里がサニーさんをたたえるようにセンター割りして道を作ります(笑)

サニー「この日をどんなに待ちわびていたか!!やっとキミがボクの愛に気づいてくれた!キミが―――」

ですが、スルー能力の高いラチェットさん。そんなサニーはお構いなしに両手で空を掴み音楽を強制終了(笑)

サニー「あ、あら?」
ラチェット「だから!ミスター・サニーサイド。
      そろそろ………面倒くさいわ」
サニー「面倒くさい!?」

そしてバッサリ言いきった!(笑)
この発言を受けて、咳払いで空気を改めてプラムと杏里に意図を説明するべく口を開くサニーさん。

サニー「杏里くん、確かに少々荒療治なのは認めよう。
    だけどね、ボクは大河くんや星組のみんなを信じているからこそ、試練を与えるんだ」
プラム「どうしてそんな事が必要なの?」
杏里「そうですよ。最近は訓練の結果も上々で、皆さんの絆も深まってきたところなのに」
サニー「……知りたい?」
プラム・杏里「知りたい!」(サニーと距離を詰める二人)
サニー「…本当に知りたい?」
プラム・杏里「本当に知りたい!」(さらに距離を詰める)
サニー「(二人を交互に指さし)本当に本当に本当に本当に知りたい!?」
プラム・杏里「(ふっと顔をそむけ距離をとる)そろそろ面倒くさい……」

さすわワンペア、息ぴったり(笑)
ちょっと悪ノリがすぎたサニーさん。もう一度改めて続きを

サニー「彼らは今、満足している。自分たちの力に。絆に。
    そこに何が生まれると思う?」
プラム「…余裕?」
サニー「そう、余裕だね。では、その余裕からはなにが生まれる?」
プラム「余裕があれば…自信が生まれるんじゃない?
    (前に進みながら)あー、でもありすぎると、傲慢になったり、慢心したりするかもね」
杏里「私だったら、余裕がありすぎると色々、油断しちゃうかも…」
ラチェット「そうね、心に隙が生まれる。
      でも、余裕があるということは決して悪い事じゃないの。
      自分次第で、今まで見えていなかったことを見る力や
      自分を客観的に見る力を持つこともできるのよ」
プラム「人として、さらなる成長につながるってわけね」
サニー「ザッツ・ライト!」
杏里「ええと、ようは、いま星組の皆さんは「油断」しているから、試練が必要だってことですか?」
プラム「油断大敵でしょ」
サニー「その通り!油断大敵、火がボーボー!」

せっかくカッコ良く、大人な指令と副司令としての意図をプラムと杏里が理解したにも関わらず、
大事な所がちゃんと伝わった事に安心したサニーがふざけだすと、女性陣は目を見合わせて呆れたように何も言わず揃って上手へ

サニー「ボクの心も火がボーボー!オー、ラチェット…(振り返るも、誰もいない)
    …ってやっぱりか。油断してしまったな。
    なんでボクは二のまんま終わらないんだろうな〜なんて
    って、暗転早っ!!」

二のまま、というのは二枚目のまま、という意味ですね。念の為。
しかし、サニーさんはやっぱり掴みどころのないお人ですね。
そして、ここの台詞は日替わりでした(笑)

1日昼
サニー「よしちょっと、花占いでもしてみようか(懐から白ガーベラの造花を取り出す)
    ラチェットはボクのことが好き、嫌い、好き、嫌い……って暗転早っ!」

1日夜
サニー「ま、いっか…そういえば、ダンディ団の噂を耳にしたな
    ササササ ササササ サニー〜♪
    ササササ サニー〜〜♪
    女にもてるのが男〜〜……良い歌詞だよね、これ!!
    あ、やっぱり消された!」

暗転後、場面は代わり、今度はリトルリップシアターの楽屋に。
大きな鏡を背に、赤い丸椅子やソファにうなだれる四人の中央に、ちょこんとジェミニが座っています。
四人の傍には、人形から派生した影がとりついています(ジェミニにとりつくはずだった影は、ジェミニから離れた場所で膝を抱えてじっとしている)

ジェミニ「みんなで、新次郎のことを話したかったけど……(皆の様子を見る)
     ねぇ、じゃあボクが話すから聞いてくれる?ボクと新次郎との思い出を。
     ボクさ、師匠の遺言どおりにテキサスから紐育に出てきて、リトルリップシアターに来て
     みんなと出会って、楽しい事もたっくさんあった。
     でも、どうしても上手くいかないことや、悩み事もあってさ……
     ある時、新次郎に「もうテキサスに帰りたい」ってうち明けたことがあったんだ。
     そしたら新次郎がね「ジェミニはどうして紐育に来たの?」ってそれで…」

立ちあがり、ジェミニが思い出を語り出すと、他のメンバーは時折頭を動かしてジェミニを見ているのですが、何も言わず、動かないまま再びうなだれるを繰り返す。
すると、鏡の向こう、紗幕の向こうにはっきりと新次郎の姿が。
ジェミニにもスポットが当たり、二人の思い出の時間へ(BGMのように「ボクノユメ」のメロディーが流れる)

大河「ジェミニ……」
ジェミニ「新次郎に言われて、考えたんだ。
     師匠は何のために、ボクを紐育に行かせたのか。
     きっと、師匠はわかってたんだと思う。ハッピーに…幸せになるってね」
大河「ハッピー?」
ジェミニ「師匠がアメリカに来て、最初に覚えた言葉はね「ハッピー」なんだって。
     (声真似をして)ハッピー…幸せなら、なんだってできる。幸せが、ワシの仕事だ
     (地声に戻って、笑う)って言ってた。
     ねぇ、新次郎はハッピー?」
大河「え?」
ジェミニ「ハッピーだよね!ボクがハッピーにしてあげる!
     み〜〜んなをハッピーにするのが、師匠から受け継いだボクの仕事だもん!」
大河「……うん!」

笑顔を交わしあう二人。♪ボクノユメ

ラスサビのみですが、この歌にはジェミニの悩みも、希望も、全てがつまっていますよね。
ここで紗幕の向こうの新次郎のスポットが消え、回想終了。

ジェミニ「新次郎ってさ、力強く引っ張ってくれるわけじゃないけど
     いつも自然な、優しい明りでボクの歩き道を照らしてくれるんだ。
     みんなも、同じ気持ちでしょ?」

四人を順番に見るジェミニ。けれど、同意してくれる人も、ましてや反応を返してくれる人もいない。
たまらず、声を荒げるジェミニ。

ジェミニ「ねぇ…本当に忘れちゃったの!?
     新次郎を……新次郎との、大切な思い出を……」

その切なる声に、リカがハッとなって立ちあがるのですが……それだけで、また俯いて椅子にもたれかかってしまいます。
けれど、その後ろ…サジータがゆっくりと顔をあげて影から離れて前へ。ここで舞台には五つのレシピのメロディーが流れてきて

サジータ「……あの頃のあたしは、法律を振りかざしながら
     自分自身が法律に使われていた…その結果、大切な場所を
     そこに住む家族同然の仲間たちを失いそうになってたんだ。
     でもそれを止めてくれた人がいた…
     他人を断罪するためじゃなく、大切な人を守るため。
     それがあたしの法律だって。気付かせてくれたのは……誰?
     (記憶と合わせて、紗幕の向こうの新次郎がおぼろげに見え始める)
     ♪朝目覚めて 重い体を起こし 熱いコーヒーを飲む
      ふやけた頭で 君を思う」

歌い終わると、記憶の中(紗幕の向こう)の新次郎の姿がはっきりと見え二人の思い出がよみがえる。

大河「良かったですね、ハーレムに戻れて」
サジータ「お前のおかげだよ。あたしが帰ってくれたのは…
     お前がいなかったら、みんなの気持ちもわからなかった。
     あたしなんかのために、必死になってくれて……」
大河「サジータさん…」
サジータ「ありがとう。もう二度と、ハーレムを手放したりしないよ」
大河「……はい」

記憶と共に、サジータの顔つきが優しいものになる。
椅子に戻ったその顔は晴れやかで、傍にいたはずの影は離れて小さく蹲っている。
それに続いて、リカも影を置いて、ぎゅうっと拳を握り涙ぐみながら前へ。

リカ「リカが失敗すると、大切な人がいなくなる……
   パパは、リカが失敗したからいなくなっちゃったんだ…!
   でも、リカ、すぐ失敗しちゃう。
   だからね、リカはみんなと一緒に居ない方がいいの!
   だってリカがいるとみんないなくなっちゃうから…
   だけど、リカの隣にずっといてくれた人がいた。
   「それでも、リカの事大好きだよ」って……
   あれ?誰だ…リカの隣にいてくれたの……誰?
   (記憶と合わせて、紗幕の向こうの新次郎がおぼろげに見え始める)
   ♪思い出せばいつも一緒に ごはん 食べてくれた君
    わがままばかりで ごめんなさい」

歌い終わると、記憶の中(紗幕の向こう)の新次郎の姿がはっきりと見えて二人の思い出がよみがえる。

リカ「リカは……!」
大河「うん、わかってる……だから、もういいんだよ」
リカ「う……うわぁぁぁん!!リカ、好き!みんな大好き!!
   リカ、もう一人はヤダ!みんなと一緒がいい!!」
大河「大丈夫。みんなもリカのことが大好きなんだから。
   さぁ、シアターに帰ろう。何かおいしいものを作ってあげるよ」
リカ「へへっ……うんっ!!」

最後に、とびきりの笑顔を浮かべたリカ。
離れた影は、サジータから離れた影の傍で小さく蹲る。
今度は、ソファにもたれていたダイアナがゆっくりと頭を上げて、前に出る。(リカはその間に椅子へ戻る)

ダイアナ「強すぎる霊力……弱っていく身体……
     残された、たった一年という短い命……
     なにもかも諦めていた。運命は変わらないのに…
     死ぬのが分かっている小鳥を無理に治して、余計に苦しめるなんて
     あなたは本当にひどい人。
     …でも、そんなあなたのおかげで、わたしは今ここにいるのね。
     ……わたしの命の火をともしてくれた、あなたは誰?
     (記憶と合わせて、紗幕の向こうの新次郎がおぼろげに見え始める)
     ♪耳に残るわたしを思う言葉 気付かなかった夜
      君の優しさに 甘えていた」

歌い終わると、記憶の中(紗幕の向こう)の新次郎の姿がはっきりと見え二人の思い出がよみがえる。

ダイアナ「わたし…運命だと諦めて、今まで何もしなかった…」
大河「ダイアナさん……」
ダイアナ「でも、あなたの心の声が聞こえてきたから……
     あなたは、苦しんででも生きろというのですね」
大河「わかって、くれたんですね」
ダイアナ「本当にひどい人(申し訳なさそうに俯く大河に、笑顔を向ける)
     …わたし、戦います。
     どこまでできるかわかりませんが、あなたの想いに応えたいんです!」
大河「……はい!」

希望を見つけ、自分の足で真直ぐに前を見つめるダイアナ。
影は遠ざかり、同じように小さく蹲る。
最後に、昴が前に出て自分の感情を口にし始める。

昴「昴は昴。それ以外のなにものでもない。
  だから決して揺らがない。迷わない。そう、思っていた。
  だが、彼が来てから九条昴の根幹が揺らぎ始めた。迷いが生じてきた。
  ……僕は苛立った。認めたくなかった。
  たった一人の人間によって変えられてしまう自分を……
  彼は誰だ?昴をこんなにも惑わせることのできる人間は…」
 (記憶と合わせて、紗幕の向こうの新次郎がおぼろげに見え始める)
  ♪辛い時に君の明るい笑顔 みんなを救う風
   とても爽やかな 気持ちになる

歌い終わると、記憶の中(紗幕の向こう)の新次郎の姿がはっきりと見え二人の思い出がよみがえる。

大河「昴さん…強い敵でしたけど、なんとか倒せましたね。
   今回は、ダメかと思いましたよ」
昴「僕は安心していたよ。
  …言っただろう?君を信じている、と……
  君は僕たちのポーラースター…指針となる北極星なんだ。
  北極星は、常に天空に輝いて……道に迷う旅人たちを守っている。
  そう…今の君のように」

導くものを思い出した昴の顔は穏やかで、それぞれの心に蘇った記憶が
忘れていた大切な人の姿をハッキリと映し出す。

大河「♪昔の写真を眺めながら 素敵な出会いをぼくは歌い出す」

サジータ、リカ、ダイアナ、昴が口ぐちにその名を呼び、ジェミニも声を詰まらせつつも「新次郎!」と呼ぶと紗幕が上がり全員で歌うパートを、心を揃えて歌う星組たち。

ジェミニ「♪大好きさ 大好きさ 君が好きなんだ」

最後にジェミニの歌声が響くと、新次郎が乗っていたセリ上がった部分が下がる。(その後ろに俯き、佇む人形の姿が)
舞台と並行になるとゆっくりと前に進み、鏡の枠を超えて現実に戻ってきた新次郎に、記憶を無くしていた四人が一斉に近付く。
その光景に上手で見守っていたジェミニが涙を浮かべながら声をかける。

ジェミニ「おかえり、みんな…っ…おかえり、新次郎…!」
リカ「ジェミニ〜〜!!」
ダイアナ「ありがとう、ジェミニさん…!」

真っ先にリカがジェミニのもとへ走り、ダイアナも笑顔でお礼を言う中
サジータは無言で近付き、ジェミニをぎゅうっと抱きしめる。抱きしめられながら、ジェミニは安堵の声を零す

ジェミニ「ボクは、何もしてないよ…」
昴「(後ろからジェミニの肩に手を置き)…ありがとう」
大河「ジェミニ!(しっかりとジェミニと目を合わせて)…ありがとう!」

絆を取り戻した星組たち。
が、その後ろを苦しげに彷徨っていた人形が希望に溢れるこの場に耐えきれず叫ぶ。
(小さくなっていた影たちは、すでにその姿を消している)
如月紫水 <rxqkycrwxn> 2012/09/17 11:03:33 [ノートメニュー]
  二幕その2 如月紫水 2012/09/17 11:04:16
  二幕その3 如月紫水 2012/09/17 11:04:55
  千穐楽ダイジェスト 如月紫水 2012/09/17 11:05:32
   └終わりに 如月紫水 2012/09/17 11:08:00
    └読み終わりました(+10/14_00:15) 夢織時代 2012/09/19 00:26:49
     └ゆっくりお読みください(10/16追記) 如月紫水 2012/09/25 22:32:45

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