[新しく発言をつくる] [EXIT] [サクラ大戦BBS]
紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート

  紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート 如月紫水 2012/09/17 11:00:37
  一幕その1 如月紫水 2012/09/17 11:01:23
  一幕その2 如月紫水 2012/09/17 11:01:55
Re: 紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート [返事を書く]
一幕その2


そこへ、上手からジェミニが戻ってきました。

ジェミニ「サニーさーん?新次郎〜!?
     どうしよう、サニーさん出かけちゃったのかなー?
     新次郎に相談しようと思ったら、新次郎もいないし……
     (人形に近づき、身を屈めて顔を覗き込むように)ねぇキミ、新次郎知らない?
     (つん、と人形の頭をつついて)なーんて、話すわけないか」

自己完結したジェミニが人形に背を向けて「なんちて〜」と呟いていると、下手からサジータがやってきて人形には気づかずジェミニに近づきます。

サジータ「よぉ」
ジェミニ「あ、サジータさん。新次郎見なかった?」
サジータ「いや、見てないけど。何かあったのかい?」
ジェミニ「うん。この人形が捨てられそうになってて、連れて帰って来たんだけど…」
サジータ「あいつを?!」

ジェミニが誰に相談したらよいものか、とサジータから目を外し反対側を見た所で、逆に人形をぎょっとした顔で見るサジータ。
その隙を、人形が見逃さず、じっとサジータの目を見つめて(照明も落ちて、二人にスポットが当たり、ジェミニも静止状態に)

人形「忘レテ、シマエ」

キーーン、と金属音が響き、サジータの首が一瞬がくりと落ち、首を上げた時には焦点の合わない目で遠くを見つめたままフリーズ
サジータの様子がおかしいことに気付き、ジェミニが近寄る間に、奥の影が一人動き、サジータの傍へ。

ジェミニ「サジータさん?(手を顔の前で振って)ねぇ、大丈夫?」
サジータ「(遠くを見つめたまま数歩前へ)…ああ」
ジェミニ「あのさ、新次郎を見かけたら、ボクが探してるって伝えて」
サジータ「はぁ?シンジロー?誰だそれ?
     そんな奴知らないね」
ジェミニ「え?知らない…?」

冷たく言い捨てるサジータに、一瞬戸惑うジェミニ。
それ以上言わず、踵を返したサジータを呼び止める。

ジェミニ「待って、どこ行くの?」
サジータ「(ため息をついて)あたしは忙しいんだ。これから依頼人との打ち合わせがあってね。
     すっぽかすわけにはいかないんだよ!……法律を裏切ったら、あたしには何も残らないんだから…!」

切羽詰まったような危うい雰囲気を纏ったサジータにやや気押されていたジェミニですが、それにもめげず
「どういう意味?ねぇ、サジータさん」と笑顔を浮かべて立ち去ろうとしたサジータの背後からぽんと両手を置くと
サジータは立ち止まったものの、忌々しげに舌打ちをして…

サジータ「うるさいんだよ!これ以上しつこくすると営業妨害で訴えるよ!!
     それでも言いたいことがあるってんなら…法廷で聞こうじゃないか」

ジェミニを振りはらい、まくしたてるとその勢いに押されたジェミニが後ずさり上手側へ追いやられます。

♪ダウンタウンハート(ロックアレンジ)

サジータの傍にいた影だけでなく、周りの影も並び、人形がニヤニヤと笑う中、歌い出すサジータ
(ジェミニには影は見えず、人形の様子にも気付かないよう。ただただ呆然とサジータを見つめる)

サジータ「♪自由なんて 言いなさんな そんなものは ありゃしないのさ
      出来ることをまずやること 靴を履いてさぁ起き上れ」

歌われたのはこのフレーズだけ。歌い終わると同時にジェミニの胸倉を掴んで睨みつけるサジータ。
そして、突き飛ばすように手を離すと尻もちをついたジェミニを助け起こすことなく下手へ去る(この時、影の一人がサジータについて一緒に下手へ)
自力で立ちあがったジェミニが「サジータさん!サジータさん!!」と呼びとめますが、今度は反応なし…
戸惑うジェミニでしたが、ドリンクバーにひょっこり姿を現したノコに気づき、ひとまずその傍へ

ジェミニ「あれ?ノコどうしたのこんなところで(カウンターの中に入り、足元をうろつくノコを目で追う)
     お、お?かくれんぼ?」
リカ「(上手からぴょんぴょん跳ねるように軽快に)ノ〜コ〜?あれ?どこいったんだー?ノ〜〜コ〜〜?
   (人形に気づき、じぃっと見つめる)お?なんだこれー?」

ジェミニがノコに気を取られている間に、人形がポンチョを羽織ったリカと目を合わせてサジータと同じように暗示にかけます

人形「忘レテ、シマエ」

金属音と共に、リカの首ががくりと落ちて雰囲気が一変。一体の影がリカに近づく。

ジェミニ「ほらノコ、リカが迎えにきたよ(きゅっきゅう!と嫌がる鳴き声のノコ)
     どうしたの?急に嫌がって……」

ジェミニが足元にいるノコに手を伸ばして捕まえようとするのですが、それよりも早くリカが金の銃を抜いてジェミニの頭部付近を狙い発砲。
けれど弾ははずれ、ドリンクバーの棚におさめられたグラスに当たり粉々に砕け散る

ジェミニ「ひゃっ!!」
リカ「お前だな!ゴハンかくしたの!!リカのゴハン返せ!!」
ジェミニ「(戸惑いながらリカを見て)ゴハンって…ノコの事?」
リカ「そうだぞ!!それリカの非常食。いま、リカお腹ペッコペコ!ひじょうじたーーい!!
   (地団駄を踏み)だから非常食食べる!返せ!!」
ジェミニ「だ、ダメだよ。ノコはリカの大事な友達でしょ?」
リカ「かえせ!!」
ジェミニ「……(両手を広げて)ダメ!」
リカ「むーーーー!!ゴハンとるヤツ悪いヤツ!とりあえず撃っとく!!」

銃口をジェミニに向け、撃鉄を落とすリカ。その容赦もためらいも無い様子に、ジェミニは恐る恐る広げた両手を上げて尋ねます
ここで、曲の前奏が流れだします

ジェミニ「ジョークだよね…リカ……」
リカ「リカ本気だぞ!一人で生きて行くのは…焼肉定食!」
ジェミニ「弱肉強食!」

♪バウンティーハンター・リカ(マイナー調アレンジ)

ジェミニのツッコミは、銃声にかきけされましたが曲調こそそれほどかわならいけれどリカの低い声に明らかにいつもと様子が違う事がわかるようになっています。
影とリカが歌い踊る中、人形はまたも笑顔でそれを見つめるのですが、ジェミニはそれには気づかず、ノコを庇うように胸に抱えてリカの目に入らないようして素早く上手に向い、ノコを避難させます。

リカ「♪ごはんの為に銃を撃つ どんな標的も打ち抜くぞ
    ばっきゅーん とりあえず撃っとく ばきゅーん 銃の腕はすごい
    ゆけゆけリカ 撃て撃てリカ 野生に生きる」

1フレーズ歌い終わると、ノコを逃がし終えて上手に戻ってきたジェミニが見つめていると、改めて銃口を向けるリカ。

ジェミニ「と、とりあえず落ち着こうよ、リカ…あとで、新次郎やみんなと一緒に、美味しいホットケーキ食べよう?ね?」
リカ「しんじろー?だれだそれ?リカそんな奴知らない!」
ジェミニ「え…?」

そのまま一歩迫るリカでしたが、それと同時にぐぅぅと腹の虫が鳴いてお腹を押えて疼くりまる。

リカ「あぁ〜〜腹減ったぁ〜…(がばっと身を起こし、銃口を天井に向ける)
   リカのゴハンーーー!!」(そのまま、二発撃ちぬいて下手へ走る)
ジェミニ「あっちょっと待って!リカ!リカ待ってー!!」

リカの撃った天井を気にしながらもジェミニも後を追って下手へ。(影も一人、素早くそれに音もなくついて行く)
それから一拍後、入れ違いに本を読みながら下手からダイアナがやってきて人形に気づかず、ぶつかってしまいます。

ダイアナ「きゃっ…ご、ごめんなさい」

ダイアナが人形に謝ると同時に、人形が顔を上げサジータやリカと同様目を合わせて

人形「忘レテ、シマエ」

金属音が響くとともに、ダイアナの顔から精気が抜けて、遠くを見る。

ダイアナ「わからないけれど、心に大きな穴があいたような…
     (ピアノの鍵盤を叩きつけるように大きなBGMが鳴り、取り乱して本を落とす)
     怖い…!…心が、黒い雲に覆われたよう。夢が、希望が、光が見えない…
     (舞台中央で震える)これは……絶望…!!」

何かに脅えるように肩を震わせて辺りを見渡すダイアナさんの周りを影達が取り囲む

♪ある日青空を見上げて(悲劇バージョン)

ダイアナ「♪窓を見ている 雨が頬をつたう 空を見ている 雲が心覆う
      もう夢を見ることを忘れていた 水晶宮には太陽が輝かない
     いやぁぁぁああ!!」

悲鳴と共に、その場に崩れ落ちるダイアナさん。
影は、一人傍に残して再び人形の傍へ。(ダイアナの本は、人形が歌の最中に動いて拾い、ぱらりと本を開くものの興味なさそうにすぐにとじてテーブルの上へ)
そこへ、ジェミニが下手から戻ってきて

ジェミニ「ダイアナさん!?(駆け寄って、助け起こす)
     大丈夫?」
ダイアナ「ええ……」(怯えたように立ちあがり、ジェミニと距離をとる)
ジェミニ「(ダイアナを支えて、椅子に座らせてから)お水、持ってくるね」

ドリンクバーの中に入り、コップに水を注いで再びダイアナの隣に寄りそうジェミニ。
ですが、水を受け取って飲んではいるものの、ダイアナの表情がすとんと抜け落ち、心はどこか遠くにあるような様子に不安げに声をかけます

ジェミニ「ねぇ…本当に大丈夫?」
ダイアナ「ええ……たぶん…」
ジェミニ「(空いているイスに腰掛けながら)…あのね、サジータさんとリカの様子がおかしいんだ
     新次郎も見当たらないし……」
ダイアナ「新次郎…さん?……誰の、こと…?」
ジェミニ「(がたっと立ちあがり)新次郎は、新次郎だよ!大河新次郎!」
ダイアナ「大河……さん?(コップをテーブルに置いて、ふらりと立ちあがる)
     誰?…知らないわ……でも、なぜかしら…その名を聞くと、胸が締め付けられるの…!」

胸を押えながら、ふらりとドリンクバーの前に足を進めるダイアナ。
それに近付くジェミニですが

ジェミニ「知らないハズないよ。新次郎だよ!」
ダイアナ「やめてっ!!…何も言わないで……(俯きながら、上手へ向い)
     さようなら。私の運命はもう決まっているの。
     私の命の輝きは、もうすぐ……」

そのまま、消え入るように上手に去っていくダイアナを呼びとめることも出来ないジェミニ。

ジェミニ「みんな、どうしちゃったんだろう……」

そこへ、今度は下手から昴がやってきて、すぐさま人形に気づき

昴「なんだ、この人形は」
ジェミニ「あ、昴さん!あの……」

ジェミニが一連の出来事を説明しようとするのですが、それとかき消すようにドリンクバーの棚にあったグラスがひとりでに割れ、けたたましい音が

ジェミニ「わわっ何!?」

それに気を取られ、ジェミニがドリンクバーに向うと人形が素早く昴と目を合わせ……

人形「忘レテ、シマエ」

他の皆と同様、術にかけると、昴の腕から力が抜けて、だらりと下ろされる。
再び時間が動き出すと、ジェミニが「ああもう、ぐちゃぐちゃ〜」とドリンクバーの掃除を始めるのですが
その場で膝をついた昴のただならぬ様子に声をかけます

ジェミニ「昴さん!?」
昴「…気持ちが悪い……これは一体……(よろめきながら舞台中央へ。その周りにつく影)
  僕は何か大切なことを…大切な誰かを忘れてしまった……?
  頭の中の一部が、どんどん白く塗りつぶされていく……このままでは、忘れていることさえ忘れてしまいそうだ」

♪輝く星座(ピアノアレンジ)

昴「♪何を言えばいいのか 言葉にすれば消える果実(影に背を押され、再び人形と目が合う昴)
   この果てしない孤独の中で 僕の心が届くだろうか」

他のみんなとは違い、自分に明らかな異変が起こっていると把握していた昴ですが、もう一度目があったことで
歌が終わると同時に再び膝をついてしまう

昴「くそっ……」
ジェミニ「昴さん、大丈夫―――」
昴「昴に触るなっ!!
  僕は、誰の助けも受けない!」

近付いてきたジェミニを怒鳴り、手で制した昴は険しい表情のまま足早に上手へ。

ジェミニ「昴さん!」

一人きりになってしまったジェミニ。呆然と立ち尽くすその背後では人形がゆっくりを首を動かし天を仰ぐ

人形「クスクス……隙ダラケノ 心ニ入リコムノハ カ・ン・タ・ン
   クスクスクス(目を開け、ゆっくりと立ちあがる)…サァ、次ハ…キミノバン……」

じっとジェミニの背を見つめ、動き出そうとしたその時。場の空気を一変させるようにラチェットに追われたサニーが上手からやってきます。
悟られないよう、すっと目を閉じて首の位置を直す人形。

ラチェット「ちょっと待ってサニーサイド!今日こそは、あの書類の山、片付けてちょうだい」
サニー「そう言われてもねぇ、山の高さに反比例してどうもやる気がねぇ…って」

と、サニーが進んだ先にある人形に気づき、イキナリ大声をあげたため、ジェミニも釣られて悲鳴を上げます。

サニー「あーーーー!!!」
ジェミニ「うわーーー!!」
サニー「違う違う、こっちこっち!!!」
ラチェット「もう、誤魔化さないで!」
サニー「ラチェット、ブードゥーの呪い人形だよ!
    しかもこんなに大きな!」

サニーの口から告げられた人形の正体?に思わず目を見開くジェミニとラチェット

ラチェット「まさか。ブードゥーですって?
      (じっと人形を見て)こんなの、誰かがそれを真似て作った、ただの人形でしょう。
      そんな、呪いだなんて…」
サニー「いいや、呪いとか迷信とか、人の負の感情をくすぐる類のものは、そうは無くならないよ。
    人間という存在がある限りはね。さぁ、問題が起らないうちに―――」
ジェミニ「あの、サニーさん、それが……」

ジェミニが一連の出来事を今度こそ説明しようとするのですが、それよりも早くプラムが上手から切羽詰まった声をあげて駆け込んできます。

プラム「サニーサイド〜〜!ラチェット〜〜!!
    大変、みんなの様子が変なの!」
杏里「にゃう〜ん!サジータさん、リカちゃん、ダイアナさん、それから昴さんまで!
   みんなあちこちで倒れ込んでて……!!」

続いて、下手から走ってきた杏里の様子を交互に見て、最後にジェミニの不安げに戸惑う目や表情を見たラチェットとサニーさん。

ラチェット「…もう、手遅れのようね」
ジェミニ「みんな、ここで話していたら急に様子がおかしくなって……新次郎を知らないって…
     そうだ、新次郎!新次郎がどこにもいないんだ!知らない?新次郎」
プラム「見てないけど……」
ジェミニ「サニーさん、これって……」

すがるような眼をサニーに向けるジェミニですが、サニーさんは数回頷いてた後、後ろ手に手を組んで一歩前へ

サニー「ふぅむ……これは、今の君たちに神様が与えた試練かもしれないね」
ジェミニ「試練?意味が分からないよ。お願い、原因がわかるなら助けて」
サニー「いや、助けないよ」
ジェミニ「えぇ!?」

ジェミニだけでなく、プラムと杏里も驚いてサニーを見つめる中、ラチェットだけがその意図を汲んだように頷いています。

サニー「この件は、キミたち星組で解決しなさい。もちろんプラム、杏里。手だし無用だよ」
ジェミニ「そんな……」

ショックを受けてそれ以上何も言えないジェミニ。
その姿とサニーを交互に見て、プラムと杏里はサニーに詰め寄ります。

プラム「ちょっとサニーサイド、この状況を放っておくっていうの?」
杏里「そうですよ、大河さんも行方不明だなんて……」
ラチェット「(二人を制するように)プラム、杏里。考えがあっての判断よ……たぶんね」
サニー「(ラチェットの「たぶん」にこけつつ、二人の背に手を回して声をひそめる)さっきは騒いでしまったが
    あれは本物のブードゥーの呪い人形なんかじゃない。
    まぁ、何かしらの念がこもっているという点では似てるけどね。
    危険性としては急を要する程ではない。それに……本当に危なくなったら、ラチェット
    助けてくれるよね?」

話を振られたラチェットが目をぱちくりさせてサニーを見返し、呆れたように一つ息をつきます

ラチェット「は……本当にあなたって人は……」
サニー「さぁ、ボクは山積みの書類を整理しないと。プラムくん、杏里くん、お手伝いを…
    (肩を抱こうとして、二人に冷たくはたかれる)はい、よろしくお願いします」
ラチェット「(下手に向おうとするサニーの前に立ち、下手を示す)山積みは、あちら」
サニー「おお、ザッツライト」

そのまま、下手へ向うサニーの後を追うラチェット。プラムと杏里は一度ちらりとジェミニを見ますが、それ以上の事はせず二人を追って下手へ。
残されたジェミニは肩を落としてドリンクバー傍の椅子に座りこんで頭を抱えます

ジェミニ「みんな、どうして新次郎を忘れちゃったんだろう……
     ボクは…どうすればいいんだろう……」
人形「クスクス……考エタッテ 無駄ダヨ キミニハ ナニモデキナイ」

そこへ、ようやくジェミニにも人形の声が響き、ゆっくりと頭を上げてこれまでの出来事を悟るジェミニ

ジェミニ「キミ?…キミだね!みんなを元に戻して!」
人形「……ム・リ!クスクス…」
ジェミニ「どうして?」
人形「ドウシテ?ドウシテ?クスクスクス……」

足をばたつかせて笑う人形に立ちあがるジェミニ。
それに合わせて、ゆっくりと人形の首がジェミニの方を向く(合わせて、一人残った影も動く)

ジェミニ「もしかして……新次郎が居ないのは、キミが…?
     (無言の人形を、肯定ととらえ)なんでこんな事するの!?」
人形「カレラガ望ンダ事ダヨ」
ジェミニ「(ショックでよろめいて、人形から目を反らす)そんなわけない!」
人形「ナンデ?」
ジェミニ「だって、みんなこんな事望むわけない!
     だから……元にもどしてよ!」
人形「(ゆっくりと立ちあがり)………ム・リ!クスクスクス……」
ジェミニ「(人形を再び見て)どうしても、戻してくれないんなら……」
人形「ナラ ドウスルノ?」
ジェミニ「(戸惑い、人形から背を向けて距離をとる)君を……どっか、遠くへやるとか」
人形「キミモ同ジ……ステル……ステル……ワスレル…」

膝を抱えて蹲った人形に、慌てて振り返り「ごめん!ごめんね!」と謝るジェミニ

ジェミニ「でも……どうすれば…どうすれば…皆を元に戻すことができるの?」
人形「ボクヲ…(しゃがんだまま顔をあげる)バラバラニ切リ刻ム
   デキル?優シイキミニ……デキル?」

問われ、何も言えず目を反らして再び人形に背を向けるジェミニ。
苦しむその姿に、人形がまた笑い声を上げる。

人形「クスクスクス……サァ…諦メテ……忘レテシマエ」
   …ユメ、キボウ、ナニモカモ。楽ニナルヨ」
ジェミニ「楽に、なる?……どういう、意味…?」
人形「ワズラワシイ人間…変ワル心…ウラギリ……」
ジェミニ「みんなが、裏切ったっていうの…?!」
人形「サァ?」(可笑しく笑いながらステップを踏むように下手へ)
ジェミニ「(悪い考えを振りきるように上手へ)そんなこと、絶対にない!」
人形「ゼッタイナンテ、ナイ」
ジェミニ「君は…なんでそんな哀しいことを言うの?」
人形「キミモ、ワカル…忘レテシマエバ、楽ニナル……サァ、諦メテ……」

ゆっくりと振りかえったジェミニと人形の目が真直ぐに合う

人形「忘レテ、シマエ」

金属音が響き、ジェミニも人形の術中に落ちたかと思われたのですが影は動かず、ジェミニもしばらく反応しなかったのですが…

ジェミニ「ボクは、忘れない……」

ハッキリと、自分の意思を口にしました。
それにより、一歩、二歩と後ずさる人形と影

ジェミニ「ボクは、絶対に諦めない!今までだって、何度もくじけそうになった。
     でも乗り越えられた。それは、皆がいてくれたから。
     一人で考えてダメだったら、みんなで考えればいい」

下がった人形が影と共にセリで奈落へ下がり、ドリンクバーのセットが暗がりの中上手に運ばれていく間もジェミニにスポットが当たり、まっすぐ前を見つめながら心を語ります

ジェミニ「みんなの心から、新次郎が完全に消えたわけじゃない。
     きっと思い出せる……ううん、絶対に思い出してくれる!
     …ボクには夢があるんだ。そこにはみんながいる。
     だから、ボクは諦めない!」

♪Stand up for Love

ジェミニがサビの部分を歌い出すと、紗幕の向こう、せり上がった舞台の部分にサジータ、リカ、ダイアナ、昴が並び続けて歌い出す。
ジェミニの中のみんなは「手を繋ぎ離さない みんなの思い」と歌い、そのままジェミニと共に歌うのですが

ジェミニ「♪Stand up わたし達未来信じて Stand up―――」

突然、硝子が粉々に割れるような音が響き、舞台が再び暗闇に。
ジェミニにスポットが当たり、舞台の奥の四人は手足から力が抜けて項垂れる中、人形の声だけが響く

人形「強イ心、大キナ夢……デモ、スグニワカルヨ
   キミニモ………クスクスクスクスクスクス………」

オルゴールの音色が響き、ジェミニが不安げな表情を浮かべる中で幕が下ります。
……これにて、今回の一幕は終了です。
如月紫水 <rxqkycrwxn> 2012/09/17 11:01:55 [ノートメニュー]
  幕間 如月紫水 2012/09/17 11:02:28
  二幕その1 如月紫水 2012/09/17 11:03:33
  二幕その2 如月紫水 2012/09/17 11:04:16
  二幕その3 如月紫水 2012/09/17 11:04:55
  千穐楽ダイジェスト 如月紫水 2012/09/17 11:05:32
   └終わりに 如月紫水 2012/09/17 11:08:00
    └読み終わりました(+10/14_00:15) 夢織時代 2012/09/19 00:26:49
     └ゆっくりお読みください(10/16追記) 如月紫水 2012/09/25 22:32:45

[サクラ大戦BBS] [EXIT]
新規発言を反映させるにはブラウザの更新ボタンを押してください。