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紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート

  紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート 如月紫水 2012/09/17 11:00:37
  一幕その1 如月紫水 2012/09/17 11:01:23
Re: 紐育ライブ2012「誰かを忘れない世界で」レポート [返事を書く]
一幕その1


サニー「どう思う?」
ラチェット「(少し考えて)頼れる隊長。チームワークの良い仲間たち。いいんじゃない?
      表面的にはね」
サニー「そうなんだよねぇ、表面的なんだよねぇ…」
ラチェット「あら、あなたにしてはハッキリしない物言いじゃない。
      …いえ、違うわね。あなたらしい、かしら」
サニー「さすがラチェット。ボクのことをよく理解してくれている」
ラチェット「不本意ながらね」
サニー「ああ、それなのになぜ!!ボクのこの燃え盛る愛に気づいてくれないのでしょうかっ!」
ラチェット「もう、どうしてそうなるの!つまらないジョークはもう結構!」

ここでサニーとラチェットの様子に気づいたリカとジェミニが「ラチェットの手を取るサニー」のマネをしていたのがかわいかったです(笑)
そして不意打ちで手を取られてしまったラチェットは、星組が様子を窺う中じりじりと押されており…

サニー「ラチェット。ボクの目を見てごらん…この目がジョークを言ってる目に見えるかい?」
ラチェット「ちょ、ちょっと、サニーサイド?」

そのまま、メロディーが流れて歌へ!始まった途端気配を察知してそれぞれの立ち位置へ向う星組がなんだかかわいかったです(笑)
前奏と共に舞台奥、紗幕がかかっていたセリ上がり部分が開き、背を向けてフィンガースナップでリズムをとるプラム、ラッシー先生、杏里の姿が(プラム、杏里はレビュウ衣装。ラッシー先生は黒のスーツ)
立ち位置はこんな感じでした

   プラム  ラッシー  杏里

ダイアナ、サジータ、大河、ジェミニ、リカ、昴
      サニー、ラチェット

♪恋する紐育

新曲!と思ったのですが、妙に耳馴染みしているメロディー……同タイトルのBGMに歌がつきました!
歌として成り立たせるために間奏などでアレンジが入っていますが、メロディー部分はほぼそのままだったのですごく「面白い」曲です。
以下、耳コピーです。ちなみに、私は英語が大の苦手です=間違えてる可能性大
あと、どうしても聞き取れなかった所は穴埋め状態にしてあります(爆)

追記:巴里ライブ会場で先行CDを買い、今回は特にヒドイ空耳具合だったので、省略させてくださいませ……あれがどうしてああ聞こえるのか、謎な耳ですみません…サビだけ残します。


全員
スキップしよう一緒に 夜が二人を抱きしめる
ここは紐育 ここは紐育
Thank you Thank you love

一番のサビからダンサーの方も参加(衣装は、過去のショウでも着ていた黒のトップスに大きな星柄が入ったふわりとしたスカートのやつです)
間奏ダンスでは

プラム、新次郎 ラチェット、サニー 杏里、ラッシー

  紫、ダイアナ     青、サジータ
       赤、ジェミニ
  緑、昴           桃、リカ

と、ペアになって踊っていました。(ダンサーさんはスカートの色で表わしています)
面白いな、と思ったのはスターファイブが全員男性パートを踊ったところですね。


全員
ダンスしよう一緒に
星が二人を照らしてる
恋する紐育 恋する紐育
Love is Love is
Love is wabba follow me

曲が終わりに向うと、すばやくはけるダンサーさんたち。最後まで残っていたプラム、杏里がそれぞれ上手、下手にはける寸前スポットに照らされてポーズを決めるのがかわいかったです!
そして星組たちに囲まれ、舞台中央でラチェットの肩を抱く形でポーズを取ったサニーですが…

サニー「ラチェット……痛い」

ヒールで思いっきり足を踏まれていたようで、甘い雰囲気では終わりませんでした(笑)

ラチェット「!?(慌ててぱっと離れる)あら、ごめんなさい」
サニー「(頬を指さし)キスミー」
ラチェット「は?……やっぱり、あなたの事はまっったく理解できないわ」

離れたのをこれ幸いとすたすたと上手に向って去るラチェット。
それをただただ見送るサニー。遅れて追いかけるも、追いつきません(笑)
ちなみに、この間で星組達はまた上手側に集まって、二人の様子を見ていたのですが、ラチェットが去ったことで話題を変えます。

ダイアナ「皆さーーん、そろそろランチにしませんか?」

ダイアナの提案にサジータとリカが「さんせーい!」と勢いよく返事をし、ジェミニもそれに乗ろうと手を伸ばしたのですがそれと同時に思い出したことがあったようで

ジェミニ「あーーーーーー!!!!ラリーのお昼ご飯用意してくるの忘れてた!!
     (下手に向いながら手を前で合わせる)ごめん、みんな。ボク一回家に帰ってくる!」

返事をちゃんと聞く前に下手へ走るジェミニ。

昴「そんなに走ると転ぶぞ!」
ジェミニ「大丈夫大丈夫〜〜!……ってうわぁああ!!」

そんな姿に昴さんが声をかけるのですが、袖に入った途端悲鳴とどんがらがっしゃん!!と物が落ちる音が…忠告、間に合わなかったみたいですね。
思わず顔を見合わせる星組たちですがある意味いつもの事なので「先行ってるか」とリカが先を促して全員が軽い足取りで下手へ。
ここの台詞が日替わりでした〜!

初日
リカ「何食べる?」
サジータ「何食べようか〜今日はダイアナのおごりだ!」
ダイアナ「えぇ〜!?」

1日昼
リカ「何食べる?何食べる?」
サジータ「ホットドッグだな。今日は昴のおごりだ!」
昴「なんだって!?」

1日夜
リカ「今日はなんにする?」
サジータ「何にしようか。今日はリカのおごりだ!」
リカ「えぇーー!?うそ〜!じゃあ、ちょっとアイツやっつけて来る〜〜!」

サジータさん、食べる気満々(笑)
そんな星組たちを追い、新次郎もランチに向おうとするのですがサニーサイドがそれを呼びとめます。

サニー「あー、大河くん、ちょっと」
大河「はい」
サニー「…確かに、君たちは最近、うまくいってるみたいだね」
大河「はい!」
サニー「では訊こう。君が言っていたとおり、今紐育はたいした大きい敵が来る気配は無い。
    でも明日はわからないよ。
    そんなとき、君たち紐育華撃団はこの紐育を守ることができると思うかい?」
大河「はい!…いつ、どんな敵が襲ってきても紐育の人々は必ずぼくたちが、守ってみせますっ!」
サニー「うん、頼もしいね!じつに頼もしい。だけど……」
大河「だけど…?」
サニー「人々を守る、か…それだけで、本当にこの紐育は平和になるのかな?」

胸に手を当てて、自信と決意を表す新次郎。
それにサニーさんは軽く頷くものの、もう少し切り込んだ話をするりと持ち出します。

大河「え?」
サニー「ああ、言い方を変えよう。では人々を守る、というのはどういうことかね?」
大河「はい…スターに乗って、敵を倒す。つまり、都市を防衛することです
   (小さく頷き、それ以上何も示さないサニーに戸惑いつつ)……他に、なにか?」
サニー「人というのはね上手くいっているときほど、すぐ横にある危機には気づかないものなんだよ。
    さて、キミ達は……いや、紐育星組は『本当に守らなければならないもの』を守ることができるか…」
大河「『本当に守らなければならないもの』とは?」
サニー「自分で考えてみなさい。君ならわかるはずだよ」

問題提起だけをして、そのまま下手へ去るサニーさん。
一方、残された新次郎は「本当に守らなければならないもの……」ともう一度繰り返してゆっくりと下手へ。
それに合わせて暗転した舞台が回り、場面転換。

移動パートでよくつかわれていたBGMと共に転換した先は人通りの多くない紐育の街角。
そんな道端でなぜか木箱の上に様々な日本ゆかりの商品を並べて売っている二人の男性の姿が……前回のショウで日本に帰ったはずのボスと西村!

ボス「いらっしゃいませ〜〜…って全然売れねぇな。だいたい、人っ子一人歩いてねぇじゃねぇか」
西村「噂じゃここ最近は紐育も不況らしいですからねぇ」
ボス「不況だぁ?てやんでぇ、そういう時こそ金は回すべきだろうが。
   ったく、俺達を見習えってんだ」
西村「まぁ、派手に金を回した結果がこれなんですけどね」

ああ、なるほど…なんとなく話が見えました(笑)
二人の会話が途切れたところで舞台の奥、一段高くなっている所から一人の人物が現れます

武田「ったく、おやつぐらい自分たちで買いに行けってんだ」

いつもの服装の上にメイドカチューシャにひらひらエプロンをつけたリトルリップシアター仕様の武田!
その声をいち早く聞きつけたボスと西村は「おい、隠れろ!」と慌てて商品の影に身を隠すのですが…
懐かしい日本のものたちに武田が反応して足を止めます。
だるまやたぬきの置物にテンションを上げてどんどん二人に近づく武田

武田「だるまさんがころんだ!なんてな。あ!たぬき〜〜!たんたん、たぬきの〜」
西村「金曜日〜」
武田「あれ?今なんか…」

うっかり西村、物影から反応しちゃいました(笑)
ここも微妙に日替わりで

1日昼
西村口ぱくで「きんたま」と言う

1日夜
武田「たんたん、たぬきの〜…つづきなんだっけ」

これで二人の存在に完全に気付いた武田「あれ?あれあれあれ?!」と顔を覗きこもうとする武田を避けて、それでもしらばっくれようとボスは
上着を前後ろで着て、そのあたりにあったつけひげをつけて、声色まで変えてとぼけようとします。

ボス「チ、チガウアルネ〜!ワタシタチ、中国カラ来タアヤシイ貿易商ネ〜」
西村「(番傘で身を隠しながら)ソ、ソウアルネ〜正体不明ノ旅人アルネ〜」
武田「いやいやいや、無理あり過ぎるって!どっからどう見てもボスとアニキでしょ!」

ハッキリキッパリ言われてしまい、ボスに至っては「こんな髭なんかつけて!」とつけ髭を武田に取られてしまいました(笑)
ということで、観念して二人とも普通に話すように。

武田「ほら、やっぱり!こんなところで何してんすか。てっきりもう日本に帰ったもんだと思ってましたよ」
ボス「最初はそのつもりだったんだがな…」
西村「せっかくスターファイブさんの舞台を見るためにはるばる紐育まで来たってのに、運悪く休演期間中。
   で、ボスと日本へ帰ろうと港へ向おうとした。そこまではわかるな?」
武田「わかりますよ。それで?」
ボス「ふと周りを見渡せばさすが紐育、他にも興味をそそる舞台やコンサートがいっぱいあるじゃねぇか。
   これを見ずして帰ることが出来ますかってんだ。いや、出来ねぇ!ビコーズ、なぜならば……」
西村「(一歩前に出て)そこに音楽がある限り、歌って踊らずにはいられない!」
ボス「そこに舞台がある限り、見て応援せずにはいられない!それが俺たち……」

西村とボスのお決まりの口上に武田も追随して動き、三人そろっていつものダンス(台本にはダンディダンスとありました)をして

ボス「ダンディ団」

キメポーズでしっかり拍手!

武田「いやいやいや、相変わらずキメちゃいましたけど、結局何がどうしてこうなったんですか?」
ボス「それでついつい、気になった舞台なんかを片っ端から見て回ったんだよ。
   そうしたら、帰りの船賃までなくなっちまった」
武田「はぁ!?」
西村「食うものも食えず、困り果てて街をさまよっていたら、ミッドタウンで「ROMANDO」って
   奇妙な店を経営している男に助けられたんだ。
   で、一宿一飯の恩義に報いるために、こうしてその店の商品を出張店舗で売り歩いてるってわけだ」
ボス「お手伝いと、船(チーン!と置いてあった広丸リンを鳴らすボス)稼ぎも兼ねてるってこと」

ボスの会話の締めにひゅおぉおおぉぉぉ〜〜〜〜…と真夏なのに寒い風が吹き抜けます(笑)
武田がぼそっと「船、チン(賃)」と意味の解説をしていました。
しかし、その拾った店の男は……!!!!だから下手の端に置いてある台車にそのロゴがあったんですね!!
その寒風が収まると事情を理解した武田が二人に不満げな声を上げます

武田「なんすか、もう!そんなことがあったんなら、俺に相談してくれりゃよかったのに!
   狭くて汚ねぇっすけど、俺んちなら雨風しのいで芋かじるくらいはできたのに!」
ボス「そういうわけには…いかねぇだろ」
西村「はい」

言葉を濁して、西村と目を合わせるボス。
前回、武田とは距離を置くと心に決めたので、複雑な気持ちのようです。
けれど、そんな気配を微塵もくみ取らない武田はただただ拗ねます。

武田「なんすかなんすかなんすか!もう!水くせぇなぁ〜」
西村「(ぼそりと)親の心子知らずたぁ…お前〜〜!!」

拗ねて背を向けた武田の背中に、西村の飛び蹴りが炸裂(笑)
さぁ、この後どう展開する?というところで、上手からジェミニがお尻をさすりながら登場。

ジェミニ「いたたたた…ラリーってば、ちょっとご飯の時間が遅れただけなのに、あんなに怒らなくても…」

前々から思っていましたが、ラリーは食には厳しそうですよね。
と、ここでお互いに気づくジェミニとダンディ団

ジェミニ「あ!こんにちは。えっと……確か…ダンシング団の!」
ボス「そうそう、俺達は(西村、武田と腕を組んで)歌って踊れるダンシング団♪(ラインダンスと決めポーズ)
   …って惜しい!惜しいけど違いますよジェミニさん。
   俺達は、ダンディ団、です」
ジェミニ「あ〜そうだった…ごめんなさい〜」

てへへと謝るジェミニですが、ふと顔を向けた先にある日本グッズを見つけてぱっと眼を輝かせます。
と、ここで中央に積まれていた木箱の裏から、すっと音もなく上手側に現れる影が……

ジェミニ「うわぁぁぁ〜!すごーい!これ全部ニッポンのものだよね!!あ、ダルマ!かっこいい〜〜!」

ダルマ、扇子、お面……と次々に眺めてテンションを上げて行くジェミニですが、突然現れた影…大きなボロボロの人形を見て
少し驚きダンディ団に尋ねます。

ジェミニ「ねぇ、これもニッポンのお人形?」
武田「うわっ!なんだこりゃ!?気持ち悪ぃ人形だな…!」

台本には「麻袋を縫い合わせて作られたような、身の丈150cmはある大きなブードゥー人形(っぽいもの)」とあり
その通りにつぎはぎだらけの粗い縫い目。髪の毛はドレッドヘアのように一本一本が太く、それが数本間隔をあけてつけられており、閉じられた右目の周りが赤くなっていて…確かにダンディ団が気味悪がるのも無理は無い風貌をしています。
武田が気味悪がったその人形にボスと西村も驚きを素直に顔を出します。

西村「こんなもの、持ってきてないっすよね、ボス」
ボス「誰かのイタズラかぁ?」
西村「わかった…これが原因で客が寄りつかなかったんじゃ」
ボス「そうかもしれねぇなぁ…おいお前ら、これをどっかへ捨ててこい!」
西村・武田「へい!」(人形を掴もうと近づく二人)
ジェミニ「ねぇ、待って!捨てるなんてかわいそうだよ。ほら、人形には魂が宿るっていうし」
ボス「(戸惑いがちに)そんなこと言われましてもねぇ…だったら、ジェミニさんがなんとかしてくだせぇ」
ジェミニ「(自分を指差して)え!?ボク?」
ボス「こんな不気味なもんがあっちゃあ、商売あがったりですよ。
   捨てられねぇなら、せめてどっかへ持っていってください」
ジェミニ「うーん…じゃあ、とりあえずシアターに持ち帰って、サニーさんに相談してみる。
     (下手にあった台車を指さし)その台車借りてもいい?」
ボス「もちろんです!おい、西村!武田!」
西村・武田「へい!」

ボスの指示に二人が素早く動き、武田が台車を人形の前に持っていき、西村が人形を抱えて「結構重いぞこの人形」と呟きつつ丁寧に台車の上に座らせます。

ボス「武田、シアターまで運ぶのをお手伝いしてさしあげなさい」
武田「へい!じゃあ、ジェミニさん行きましょう」
ジェミニ「うん!」
ボス「お気をつけて」

そのままシアターに向けて二人は出発…かと思ったのですが、くるりと振り返ったジェミニが笑顔でボスの手を握り

ジェミニ「あの、今度ダンディさんたちもシアターに遊びに来てね!
     バッキューン!」

キメポーズでボスのハートを撃ち抜きました!(笑)
で、やるだけやって笑顔で手を振るジェミニです(笑)

ボス「ジェ、ジェミニさ〜〜ん…!」

見事にハートを撃ち抜かれたボス、でれでれのまま後ろに倒れそうになったのを西村に慌てて支えられていました(笑)
下手にはける寸前、武田が振り返り「バッキューン!」と撃ったのでジェミニも便乗してもう一発「バッキューン!」と撃ったらまたまた命中(笑)
さくらさんに手を取ってもらいでれでれになったボス、紐育ではジェミニファンになりました(大笑)
そんなボスと西村を乗せたまま舞台が回り、暗転して場面転換。

舞台の裏はシアターの入口、ドリンクバー。
カウンターを掃除するプラムに、手伝いでテーブルを拭いている杏里。
ですが、杏里はテーブルを拭き終わると顔がにやけるのを押えられない様子で無意識のうちに椅子に腰かけて頬杖をついて遠くを見つめます。
それに気付いたプラムがナプキンをひらひらとかざすのですが、杏里は気付かず。その様子に杏里とはまた質の違う笑顔を浮かべるプラム

プラム「杏里ちゃ〜ん?なにぼーーっとしてるの?」
杏里「(はっとなって慌ててテーブルを拭く)ぼ、ぼーーっとなんかしてません〜!」
プラム「(素早く杏里に近づき、顎に手を添えて顔を自分に向けさせる)今…タイガーの事考えてたでしょ?」
杏里「(ムキになって立ち上がる)ちがうぅ〜〜!!」
プラム「ず・ぼ・し?きゃふ〜ん!」
杏里「だから、違うって〜〜!」
プラム「(つついて)きゃふん」
杏里「(つつきかえして)にゃうん」

思いっきり女子トークですね(笑)
二人がじゃれ合っていると、下手から武田とジェミニがシアターに到着!
その姿に気づいたプラムが武田に近づくのですが…

プラム「ベロちゃん、頼んでたお使いはどうしたのかしら?」
武田「んなもん自分で買いに行ってくださいよ!」

武田は返事もそこそこにジェミニと目を合わせ人形をどうするか相談しはじめると、プラムと杏里も人形の存在に気づきお互いの顔を見合わせます。

プラム「(小声)ジェミニ…ちょっと……!」
ジェミニ「ベロさん、とりあえずこの子ここに座らせよう」
武田「へい!」
プラム「(小声)そんなとこ置かないでよ!」

下手に一番近いテーブルの椅子を引いたジェミニの指示通り人形を持ち上げ、座らせる武田。
そのまま武田は「じゃあ、俺台車返しにボスんとこ戻ります!」と足早に再び下手へ。
それを笑顔で見送ったジェミニに、プラムと杏里が肩を寄せ合いながら改めて声をかけます。

プラム「ちょ、ちょっとジェミニ、何なのこれ」
杏里「なんだか、怖いです〜!」
ジェミニ「(両手を顔の前で合わせて)プラムさん、杏里さんごめん、サニーさん呼んでくるから
     少しだけここに置かせておいて」

言いながら、ジェミニは返事を聞かずに足早に上手へ。
なりゆきで置いてかれてしまった二人はどうしようと再び顔を見合わせ

杏里「少しだけって…えぇ〜…どうしよう……」
プラム「な、なるべく目に入れないようにして、さっさと仕事を終わらせちゃいましょうよ、ね」
杏里「う、うん…」

不安にかられつつもプラムの対応に返事をする杏里。
そそくさとドリンクバーへ戻ったプラムに対し、杏里は人形に背を向けたままゆっくり動こうとするのですが…その背後でうなだれていたはずの人形の首がゆっくりと動き、杏里やプラムを見つめる形に…

杏里「ねぇ……プラムぅ……なんか、視線感じない?」
プラム「ちょっと、やめてよ…あたしだって、怖くないわけじゃ、ないのよ?」
杏里「だってぇ……!」

トーンが落ちた照明の中、杏里が手にしていたナプキンを顔の前にぱっと広げて、振り返り……意を決してナプキンを外して人形を見た瞬間、目があってしまい

杏里「きゃあああああああ!!」(プラムに助けを求めるように振り返る9
プラム「きゃぁぁぁああ!?」(その声に驚いて、拭いていたグラスを杏里に向ける)
杏里「きゃーーー!!」(それに驚いてもう一度悲鳴を上げる)
プラム「って、やだもう!急にビックリ顔しないでよ〜!」
杏里「(震える指で顔をそむけたまま人形を示す)にににに人形の首が、いつの間にか、こっ、こっち見てるぅぅ〜!!」
プラム「(グラスやナプキンを置いて)人形がひとりでに動いたっていうの?
    (杏里に近づき、肩をぽんと叩く)悪いジョークはよしてよ……
    (人形と目があって)……さっき、置いた時から(人形から目を反らしつつ)こっち見てた、かな…たぶん……」
杏里「うぇ〜ん!もうわたし無理、こわい〜!」
プラム「やだ!一人にしないでよ、杏里!」

半べそかきながら上手に走っていった杏里を追うプラム。
誰もいなくなり、ぽつんと人形だけになった途端、人形の首がまたゆっくりと動き、どろどろと照明が動く中今度は天を仰ぐように上向きに

人形「ココハ、ユメ、キボウ、イッパイ……キライ……ニクイ……」

口は動かさずそれだけを告げると再び首が下がり、最初に置かれた状態へ。
照明が戻ると、下手から眉を寄せて思案顔の新次郎がやってきます。人形には気づかず、そのまま舞台中央へ

大河「サニーさんはなにが言いたかったんだろう…本当に守らなければならないものって、一体…?」
人形「(動かず、声のみ)キミハ、ナニヲマモル……?」
大河「(ぱっと顔をあげて)紐育の平和と、そこに暮らす人たち皆の……って
   (振り返り、人形の存在に気づく)あれ?人形?……今喋った?」
人形「…………」
大河「まさかね(人形に近づき、身を屈めて顔を横から覗き込むように)ねぇ、聞いてくれる?
   (テーブルを挟んだ向かいの椅子に座り)ぼくの夢なんだ。皆が笑顔で居られる世界。
   そのために毎日みんなと一緒に訓練に励んでいるんだけど、それだけじゃダメみたいなんだ。
   でも、何が足りないのかわからなくて……」
人形「(ゆっくりと顔を上げて)クスクス…ムダダヨ……カンガエテモ……」
大河「(立ちあがって)うわぁーー!!やっぱり喋った!人形が喋った!!」

閉じていたはずのエニアンの目が開き、新次郎をじぃっと見つめる。

人形「キミノユメ…ミンナトマモル」
大河「そ、そう…ぼくは…ここで、この場所で、みんなと一緒に紐育を守る…」
人形「クスクス……マモル…ミンナトイッショニ……クスクス…」
大河「どうして笑うんだ?」
人形「ニンゲン、ココロヨワイ」
大河「え?」
人形「ユメナンテ、ワスレテシマエ」
大河「(人形から目を外し、正面を向く)忘れたりなんてしない!
   ぼくの夢は紐育星組みんなの夢と同じなんだから」
人形「(新次郎を見つめたまま静かに立ち上がり)ホントウニ、ソウ?」
大河「本当だよ!…それに、ぼくは隊長なんだ。ぼくが夢を忘れるわけにはいかない!」
人形「タイチョウサン? クスクス」
大河「みんな、ぼくを信じてついてきてくれてる…」
人形「ソウカナ……キミハココニ、ヒツヨウナイヨ」

新次郎を追いこむように、隣に立つ人形。
知らず知らずのうちに人形の術中にはまる新次郎の回りには、いつの間にか人形の分身とみえる影たちがぞろぞろと湧き上がり照明も落ちて二人にスポットがあたる

大河「そんなこと……ない…」
人形「キミハココニ、必要無イ」
大河「(人形を思わず振り返り)そんなことない!絶対にない!」
人形「ゼッタイ…?」
大河「(また目を反らして)そうだよ…絶対に……そんなこと…」
人形「(ステップを踏むように、可笑しく笑いながら一気に新次郎に近づく)自信無イクセニ」
大河「いや!……ぼくはみんなを信じてる!」
人形「ナラ、試シテミル?
   ボクノ目ヲ、マッスグ見テゴラン……」

おそるおそる、言われるまま人形と目を合わす新次郎。
それが決定打となり、影達が新次郎を覆い隠すように集まりくるくると回る
人形が口元をにぃとゆがめ、飛び石を渡るようにステップを踏む中、新次郎は影に囲まれたまま操られたようにおぼつかない足取りで奥へ。
影が一斉に手をかざすと、身体の芯が抜けたようにくず折れた新次郎は、そのまま奈落へ。

人形「クスクスクス……」

突如音楽が止まり、人形の笑い声が響くと、それをキッカケに残った人形と影が流れてくるオルゴールの音色に合わせて、ダンス。
機械仕掛けの人形のような、はたまた糸でつるされた人形のような踊りなのですが、影も人形も視線がずっと一点の虚空を見つめていてすごく、得体が知れない感じがして不気味でした。
最後に恭しくお辞儀をした後、人形は影をひきつれて最初に座っていた椅子に同じ姿勢で戻ったところで舞台の照明も元に戻る。
如月紫水 <rxqkycrwxn> 2012/09/17 11:01:23 [ノートメニュー]
  一幕その2 如月紫水 2012/09/17 11:01:55
  幕間 如月紫水 2012/09/17 11:02:28
  二幕その1 如月紫水 2012/09/17 11:03:33
  二幕その2 如月紫水 2012/09/17 11:04:16
  二幕その3 如月紫水 2012/09/17 11:04:55
  千穐楽ダイジェスト 如月紫水 2012/09/17 11:05:32
   └終わりに 如月紫水 2012/09/17 11:08:00
    └読み終わりました(+10/14_00:15) 夢織時代 2012/09/19 00:26:49
     └ゆっくりお読みください(10/16追記) 如月紫水 2012/09/25 22:32:45

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