新春 如月紫水@一部修正いたしました 2006/01/14 01:22:38 ├歌謡ショウ「跳んでる花組♪」観劇レポート 如月紫水 2006/01/14 01:24:10
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歌謡ショウ「跳んでる花組♪」観劇レポート 第一幕その2 舞台に誰もいなくなったと同時に暗転。舞踏会のような音楽が流れる中、紗幕が上がるとそこは立派な洋館の応接間。 部屋の端左右には真っ白なバラのモチーフ。 壁にかけられた絵は先進的な具象画のものもありますが、部屋の中央奥にある暖炉の上にある絵画は日本の女性を写実的に描いた絵ですね。 舞台中央に置かれたテーブルの上にはフルーツの盛り合わせがあり、椅子が三人分。 下手にも二人掛けの椅子とともに丸テーブル、上手側にはソファーが。 さりげなく置かれた調度品は中国の壺であったり欧州の飾り皿であったりとまぁとにかく豪奢。 カンナ「すっげーーー!!」 そう声を上げたのはテラスにある椅子の上から庭を眺めているカンナ(冬服)!室内下手側の紅蘭(冬服)も周りの調度品に興味深々と見渡しています。 そしてソファーにリラックスして座っているマリアさん(夏服)も、やはり関心している模様。 カンナ「すっげーー!すっげー!も一つオマケにすっげーー!!」 紅蘭「いや、ホンマすごいなぁ〜」 マリア「松平侯爵のお屋敷だったんですって。」 紅蘭「えっ!すみれはん…貴族はんのお屋敷買うてしまったんですか?!」 マリア「(頷いて)すみれらしいわね。」 大帝国劇場じゃないなぁとは思ってたんですが、ここはすみれの新邸宅だったんですか!! はぁ〜〜…納得です。さすがすみれさま。 叫びながら室内に入ってきたカンナをたしなめるべく声をかけるマリアですが、カンナの興奮は収まらない様子です。 カンナ「いやだってすげぇよ、どっからどこまでも全部庭なんだよ!で、その奥が森でよ!!」 マリア「カンナ、落ち着いて。」 カンナ「いやだってすげぇよ…こりゃもう、すみれ王国だな。 (下手側の椅子に座りながら。)あきれ返っちゃって顎外れちまうよ。」 紅蘭「お金があるって、エエですな。(カンナの隣に座って少し茶化すように)」 カンナ「まぁな。でもよ、あるとあるで苦労も多いと思うぜ。」 マリア「そうかもね。」 で、この三人はその新しい邸宅に遊びに来てるんですね。他の皆さんはどうしちゃったんでしょう? 後から来るのかな。(ちなみに、カンナが座っている椅子の背もたれには紅蘭の肩掛けバッグがかけられています。) カンナ「は〜喉渇いちゃったな。ブドウでも食〜べようっと!」 立ち上がって中央のテーブルにあるフルーツの盛り合わせの中からブドウを一房丸ごと掴んであーんと口をあけてそのまま食べようとするカンナですが その様子を見たマリアさんが慌てて止めに入ります。 マリア「あ、もう!下品なんだから…そこの取り皿に取って食べたら?」 カンナ「そうかい?じゃあもう一つ…(ブドウ二房を取り皿に乗せる)」 マリア「もう、一度にそんなにたくさん…」 カンナ「武道家だけに、ブドウが好き!なんつって!」 お、けっこう上手いと思ったんですが親父ギャグの部類なのでマリアさんは「もぅ…」と呆れるだけで終わりました。 で、ブドウを二房もったカンナはその皿を左手で持って、もう片方の手にはまた別のフルーツを。 カンナ「お!洋ナシだ。あたい洋ナシ好きなんだよなぁ〜(テーブルを離れて舞台手前へ) ようなしって、誰のことだ?」 マリア「あなたよ。」 カンナ「ふぇ?(マリアを振り返る際、手を滑らせてしまう)ああ!!」 するっと滑らせて見事にお皿は真っ二つ;; あああ…なんだか嫌な予感が…ってかマリアさん、さりげなくひどいツッコミですな。(^^;; マリア「(紅蘭と一緒に立ち上がって)もう、言ってるそばから…」 カンナ「(洋ナシをテーブルの上に置いて割れた皿を拾う)ああ、こりゃあすみれに怒られちまうな。」 マリア「後でちゃんと謝るのよ。」 カンナ「はぁ〜い。」 紅蘭が一緒に落ちたブドウを取ってテーブルにあるまた別の取り皿の上に置いたりしていると、ここの家主さんが 下手の出入り口から颯爽とやってきましたよ。 すみれ「まぁまぁみなさん、お待たせして申し訳ありません〜」 笑顔でやってきたすみれ(夏服)に反射的に割れた皿を自分の後ろに隠してしまうカンナさん。 まぁ、そりゃ言い出しにくいですよね… カンナ「ま、待った待ったいっぱい待っちゃったな〜っと!」 すみれ「(手を顔の前で合わせて)ごめんなさいね、カンナさん。今築地警察の刑事さんがいらしてまして」 マリア「築地警察?」 築地警察、という場所に目を合わせるマリアと紅蘭。花組とは少なからず縁がある場所ですからね。 ですがそれを知らないすみれさんは普通に受け流しています。 すみれ「いえね、たいした用じゃございませんの。なんでも引越しの調査とか。 ふふっ野暮用が多くて困りますわ。さ!後のことはメイドに任せておきましたから もう大丈夫ですわ。」 座ってくださいまし、と手で示したすみれさんが中央のテーブルの真ん中に座り、上手側の椅子にマリアさん。下手側の席に紅蘭が座ります。 カンナはお皿をもったままちょっともじもじしてたんですけど、座らないわけにもいかないので先ほどまで座っていた下手側の椅子に腰掛けました。割れた皿は一見ではわからないようにテーブルの上に置いてあります。 と、ここで下手から親方が登場してきました!親方のお使い先はすみれさんの家だったんですね。 親方「どうも〜!遅くなりまして!(すみれ以外の面々を見て) あれ、マリアさんに紅蘭さん…あ、カンナさんもいらしてたんですか。」 カンナ「う、うん!いらしてたよ!」 マリア「どうして親方がここに?」 すみれ「いえね、わたくしがお電話を差し上げたのですよ。 なんでも親方の御近所に美味しい人形焼のお店があるとかで。」 カンナ「えっ?人形焼!?」 食べ物の話題にには食いついてきますね、カンナさん。(笑) 風呂敷から若草色の箱を取り出して、それをすみれさんに渡します。 すみれさんが蓋を開けると良い焼き色でずらりと並ぶ人形焼が。 親方「50個買ってきました!」 紅蘭「ホンマご苦労はんやなぁ〜」 親方「いえいえ…あ、あったかいうちに食べてください!」 わぁ、と盛り上がる面々。中でもカンナが一番食べたそうです。(笑) すみれさんが立ち上がったので、テーブルの真ん中に座ると早速手を出そうとしまうがマリアにまだダメ!と手を叩かれてしまってます。(^^;; マリアさんがすっかり保護者モードですね。 で、その立ち上がったすみれさん。上手の奥にあった食器棚の上に置いてあった茶色の袋を持って親方のところへ。 すみれ「親方、忘れないうちに…はい、人形焼のお代。」 親方「あ、こりゃご丁寧にありがとうございます。(受け取った途端、表情を変える親方) …す、すみれさん。こりゃちょっと多いですよ。」 すみれ「よろしくてよ。」 親方「いやいや、よろしくないですよ!」 さすが律儀な親方、そんな親方ではとてもじゃないけど受け取れる額じゃないお金がその袋の中には入ってるのですね。 うろたえる親方に、すみれさんはただただ笑顔を浮かべています。マリアと紅蘭もそれを見守って……カンナだけは人形焼の方も気になるみたいですね。(^^;; マリア「御祝儀よ。」 親方「で、でも…いくらなんでも多すぎですよ。」 すみれ「お休み中の親方に無理言って買ってきてもらったんですもの。当然のことですわ。」 すみれさんに笑顔で手を握られていても それでもまだ躊躇する親方の背中を、マリアさんが後押しします。 マリア「貰っておいたら?」 カンナ「いただきまーす!」 マリア・紅蘭「あ…!」 いやカンナ、そのお許しじゃないから!(笑)目にも止まらぬ速さで人形焼を一つぱくっと口に入れると素早く立ち上がって先ほど座っていた下手側の椅子に向かいます。 で、その前では親方がようやく頷いてくれましたよ! 親方「そ、そうですか……じゃあ、ありがたく!(頭を下げて袋を頭上に上げる) (袋を大事そうに懐にしまう)それじゃあ、あっしはこの辺で!」 すみれ「あ、親方…よろしかったらお庭でも見ていってくださいましね。」 そのまま帰ろうとする親方を下手側の庭へと出る出入り口へ案内したすみれさん。 この間にカンナさんは完全にもとの位置に戻っています。 親方「そうですか?じゃあ、失礼して…見させてもらいますね。」 豪邸の庭の意匠というのは、裏方として興味があるのかこちらは嬉しそうに行きましたね。 下手の出入り口から庭へ出た親方は「すごい庭だ〜〜!!」と言いながら上手へと下がって行きました。 舞台には再び四人だけになったところで、マリアさんが一言。 マリア「…さすがね。(なんのことですの?とすみれさんが顔を向ける) 親方は劇場お休みだと、お給金出ないんですものね。」 すみれ「あら…そうでしたかしら?」 そらっとぼけようとしたすみれさんですが、マリアさん相手に今更ですわね。と目を合わせてすぐに笑みを交わしてました。 紅蘭「でも、ホンマすごい家ですなぁ〜… (立ち上がって上手の奥にある壺を指す)あ!これなんか、明の時代のものですね!」 すみれ「(同じく立ち上がって)ええ、そうですの。新しく中国で買いましたの。 もう、前の家のものじゃこの家に似合いませんでしょう?もう、ぜ〜〜んぶ新調しなくてはならなくて (一度座って、戻った紅蘭とマリアの顔を見る)大変なご苦労でしたの。」 カンナ「へっ自分で自分のことご苦労って言うかよ。」 思わずいつもの調子でつっこんでしまったカンナ。 ですが、それを気にする事無くすみれさんはさらに喋ります。 すみれ「あ!カンナさん!!(テーブルに割れたお皿があるからビクッとなるカンナ) その絵!(下手側の壁にかけられている具象画の絵を見て) ピカソという若き天才画家の絵なんですのよ、カンナさん!(カンナの肩に手を置く) (にこにこした顔で絵を見上げる)最近神崎重工がパトロンになりまして そうしたらピカソさんがわざわざ送ってくださいましたの〜!」 カンナ「こ、この変な絵お前が描いたのかと思ってたよ!」 すみれ「そうそう(カンナの所から途中にいた紅蘭の手を取って上手奥の食器棚へと) この食器類も全て英国王室から買い取りましたの。 (手をいっぱいに広げて)この家より高くつきましたわ〜〜!!」 紅蘭「食器が…!この家より、高い!!?」 すみれの高らかな宣言にさっと青くなる三人。だって… カンナ「あーーーーーーー!!!」 さっきカンナが1枚割ってしまいましたものー!!(汗) 思わず立ち上がってこれが家より高い!?と割れた食器を手に持って高く上げてしまうカンナさんですが すぐに手を下ろして先ほどは咄嗟に、でしたが今度は意図的に食器を隠して挙動不審はいりましたよ。(^^;; で、すみれさんはカンナの大声に驚いて振り返ったので割れた食器には気づいていません。 すみれ「なんですの?」 カンナ「あ、あ、あの…!(後ろに隠しながら横歩き) も、もう一度お庭を見てこようかなぁ〜〜って;;」 すみれ「お庭って…もう、カンナさん。 こちら(先ほどまで紅蘭が座っていた席)におかけになってくださいまし。 人形焼はお嫌いですか?」 カンナ「う、ううん、すきだよ…」 すみれ「それでは、はい。(人形焼を一つ手にとって)あ〜〜ん。(言われるままに口をあけて食べるカンナ) まだお飲み物もお出ししていないのに。お庭はお茶を召し上がってから。 (暖炉の上にある呼び鈴を手にして)誰か〜〜!」 すみれさんが背を向けて、下手から現れたメイドの一人のもとに向かったところでカンナは立ち上がって 割れたお皿を形だけは割れてないように合わせて、それをハンドルに見立てて舞台を横移動。 マリアの横に立ったときに、ブレーキをかけてギアを戻してはいどうぞっと自然な動きでマリアにお皿をパスすると、脱兎のごとく真後ろの上手側の庭へ出る出入り口の壁へと走る! 渡されたものを一拍置いて理解したマリアさんは明らかに動揺して、慌てて立ち上がると、ソファーに腰掛けていた紅蘭にパス!(笑) すみれ「皆様に何かお飲み物を。今日は…東インド会社の王室御用達ので。」 メイド「かしこまりました。」 カンナ「おう!あたいは泡盛がいい!泡盛!」 すみれ「泡盛はございませんわ!」 手があいたカンナは楽〜な気持ちで飲み物をリクエスト。振り向いたすみれさんにも笑顔です。 マリアさんは間一髪席に戻ったのでムダにカッコつけてます。(笑) そして、只今貧乏くじを引いてしまった紅蘭は… 紅蘭「あー!!(立ち上がって客席方面の上を指差す。皿は胸に抱えて見えにくく) あんなところに青い鳥が!!」 カンナ「えっ!?どこどこどこどこ?!」(一番のりで紅蘭の横へ駆けてくる) 紅蘭「こーこ!」(隣のカンナの手にぽんっとお皿を乗せる。) カンナ「ありがと。」 紅蘭「あっれ〜?見間違いやったかなぁ〜〜(ぱちんと指を鳴らして)ざーんねん!」 全員の視線が紅蘭の見ていた方向に注がれてる隙に、ささっと後ろに下がる紅蘭。 うまいことやりましたね。(笑) 巡り巡って自分の手に戻ってきたお皿に気づいたカンナは慌てて誰かに渡そうとしますが、今度はマリアさんも紅蘭も受け取りません。(笑…紅蘭はあっかんべー!までしてますし。) そのまま三人は中央のテーブルの側に行ってしまったので、カンナは一人上手側であわあわと割れたお皿をもてあましています。(^^;; そしてまったく気づいていないすみれさんは楽しそうに手を合わせてマリアの方を見ます。 すみれ「そうですわ!マリアさんにはチップトリーのブラックカラントをご用意いたしますわ。」 チップトリーというのは英国の高級ジャムのブランド名。ロシアンティー用ですかね。 マリア「ありがとう、すみれ。でも…(下手側の椅子に腰掛けて) 正月早々私たちを呼び出すなんて、何か重大な話があるんじゃないの?」 今までくつろいだ雰囲気でしたが、マリアさんの確信を付く言葉に、上手側の椅子に座った紅蘭も中央に座ったすみれさんの顔を見ます。 で、ちなみにこの間カンナは何をしていたかというと、上手側のバラのモチーフにお皿を刺して、同化させようと頑張ってました。(笑) すみれ「…流石はマリアさん。おっしゃるとおり、重大なお話が―――」 カンナ「あぁーー!!」(上手くカムフラージュしようとして玉砕!お皿が音を立てて落ちました;;) すみれ「カンナさん?」 お皿の落下音に話の腰を折られたすみれさん。ようやくカンナに気づきましたが、軽くパニック状態に陥ったカンナが取った行動は カンナ「コケッ!!」 右手に持ったお皿を頭に立てて鶏冠に見立て、左手に持ったお皿を尾に見立てて、ニワトリのマネでした。(^^;; そのまま、上手から下手の階段前へと鳴き真似をしながら横断!! カンナ「コケーッコッコッコ!!」 すみれ「いったい何のマネですの?」 カンナ「青い、鳥…?」 三人「はぁ?」 苦し紛れのカンナ。ここまでくるともう正直に言うしかないですね;; カンナ「あ、あのな、すみれ……こ、これ…」 すみれ「なんですの?」 カンナ「ウィーーンッガショッ!!(二つのお皿を合わせて)パリーーンッ!!(割った!という事実を見せる。)」 すみれ「………………あーーーーーー!!!!」 思わず立ち上がってのすみれさんの叫び声に驚いて、マリアと紅蘭も釣られて叫び声を上げてしまいます! とうとうばれた!その声にカンナはお皿を舞台中央に置いて、精一杯の謝罪の言葉を並べます。 カンナ「ご、ごめんすみれ!!英国王室から取り寄せた高い皿なんだろ、わかってる! 弁償する!毎月のギャラから必ず払うから!! すみれ〜〜!!ごめんよぉぉ〜〜!!!」 最後は土下座してとにかく謝るカンナさん。そんな様子をすみれと交互に見ていたマリアと紅蘭ですが、すみれさんはやれやれ、といった顔の次には笑みを浮かべていました。 すみれ「おっほほほほ…そんなことでしたの。(え?と顔を上げるカンナ) (カンナとお皿の前に移動して、割れたお皿を手に持つ)お皿なんて使っていれば 割れもしますし、壊れもします。お気になさらないでよろしいのですわ。 (カンナを立たせて)それより、どこもお怪我はございませんでしたか?」 カンナ「……怖い…」 終始優しい、人の出来た発言をするすみれさんに思わず本音が出てしまったカンナさん。(^^;; すみれさん、まるくなりましたねぇ…マリアと紅蘭もちょっと意外そうな顔してましたし;; もちろん、すみれさんがむっとしたのは言うまでもありませんね。 すみれ「なんですって!?」 カンナ「くらい、優しいなぁ〜って!」 すみれ「んもう、一言多いのですわ!!」 あはは、と笑う紅蘭に和やかな雰囲気となった中、二人のメイドさんが下手の出入り口からトレイの上にティーセットをのせて入ってきました。 よかったぁ〜〜と心底安心したカンナが先ほどまですみれの座っていた中央の席に座ったあたりでメイドたちがお茶の準備を整えていきます。 その一人にすみれさんは割れたお皿を手渡します。 すみれ「これ、わたくしが割ってしまいましたの。 あとで純金で繋ぐよう、手配しておいてください。」 メイド「(お皿を受け取って)かしこまりました。」 紅蘭「さすがやね。割れた皿は純金で繋ぐと、景色が良うなるんや!」 昔から焼き物の欠けや修繕に口に含んでも害の無い純金を使用してその傷すらも味として活かす粋という、そいうい意味合いですね。 すみれさんもそのとおりですわ。と紅蘭と頷きあっています。 マリア「…ねぇ。大事な話って?」 ここで、話が一段落したタイミングを見計らってマリアが当初の話題へと戻します。 話を切り出されたすみれさんは一拍置いてカップをそれぞれの目の前に配り終えたメイドの二人へ声をかけます。 すみれ「……あとはわたくしがやりますから、下がっていてください。(メイドの二人、一礼して下手へ) ………実は…昨年、大帝国劇場を襲撃した根来幻夜斎が、生きているという情報です。」 下手の階段前でそう告げたすみれさんにスポットが当たり、予想もしていなかった話に三人は顔を見合わせます。 カンナ「だって、あいつは隊長が切ったじゃねぇか。」 マリア「どういうことなの?」 すみれ「(テーブルに近づき)驚かないで聞いてくださいましね。 …(上手へと歩きながら)わたくしも、最初この話を聞いたとき、正直自分の耳を疑いましたわ。 我が神崎重工も、月組とまではいかないまでも情報機関をもっています。……独自に調べさせました。 (振り返って)あの根来幻夜斎は、百数十年前に…死んでいるのです。」 カンナ「……ど、どういうことだよ…」 紅蘭「ゆ、幽霊って事ちゃいます?」 カンナ「(立ち上がって)冬の幽霊…ふゆうれい〜…」 ちょっとおどけてみせるカンナですが、事態が深刻なのは重々承知。 それがどういうことなのかをこれから話し合うのかと思ったところで突然がっしゃーーん!!!と物凄い音が!! それぞれに悲鳴を上げながらすみれさんはしゃがみこみ、カンナ、紅蘭は下手側へ飛び去り、マリアは上手側のテーブルの影に位置取りをしますが… アイリス「さくらがまた転んだ〜!」 明るい声と笑顔で下手から入ってきたのはアイリス(夏服冬仕様)!舞台の照明も通常に戻りました。 続いて入ってきたさくらさん(冬服)はわざとらしいまでの笑顔で行進して舞台の中央、やや下手側で止まります。 そしてそのさらに後ろ、最後に入ってきたレニ(夏服冬仕様)は心配顔です。 カンナ「なんだよ、脅かすなよ〜!」 レニ「さくら…大丈夫?」 さくら「…(ちらっとレニを見て右ひざをさする)さすがに痛い;;」 すみれ「まったく、相変わらずのドジっぷりですこと。(さくらに近づきながら) 田舎の方にはペルシャの絨毯が足に馴染まないようですわねぇ。」 いつもの調子でそう言ったすみれさんですが、さくらんはあからさまに機嫌を損ね… さくら「はい、そうです〜!!(え?とすみれさんが顔を上げる。) なにも家中にこんな分厚い絨毯をひかなくてもいいと思います! 絨毯にはほこりがたまりますし、日本人には畳の方がいいと思います!!」 カンナ「賛成〜!」 最初はそう返されるとは、とちょっと気にしてた風のすみれさんですがさくらの猛反論とカンナの妙な横槍に徐々に険しい顔になって、最後にはふんっと顔を背けてしまいました。 さくらさんも言うようになった…ということでしょうか;; マリア「ねぇ…今大事な話をしてたんじゃないの?」 レニ「大事な話って?」 見かねたマリアさんが再び会話を軌道修正させると、そのやや後ろでマフラーを取ったレニが聞いてきます。 紅蘭と一緒にソファーに座ったアイリスも、さくらもマリアに視線を注ぎます。 マリア「実はね………かくかくしかじか!」 出た、究極の省略法!(笑) でもちゃんと伝わって、深刻な内容なので全員真面目な顔で話し合いを進めます。 レニ「でも……まさか幽霊だなんて。」 さくら「もしその話が本当なら、幻夜斎は悪霊じゃないでしょうか…」 マリア「悪霊?」 さくら「はい。悪い恨みの念がたまった幽霊です。 悪霊はとてもやっかいなものだと、祖母から聞いています。」 マリア「ということは…支配人に切られて恨みの念が強くなったということかしら。」 すみれ「たぶんね。」 紅蘭「そら逆恨みやで!」 アイリス「幽霊……怖いよぉ〜!!(隣の紅蘭を掴んでぶんぶんゆする)」 紅蘭「だ、大丈夫やアイリス!」 マリア「とにかくこの事を支配人に知らせないと。」 さくら「あ、あたしが行きます!」 挙手をして、下手へと駆け出そうとするさくらを、カンナが呼び止めます。 カンナ「行くってどこにだよ!支配人、昨日の夜からどっか行っちまってるぞ!?」 さくら「とりあえず、劇場に行ってみます。」 カンナ「よし!あたいも行こう!」 マリア「私も行くわ。すみれ、後のことはお願いね。」 すみれ「わかりました。」 バタバタと走って下手へと去っていく三人。って大神さん、あれから劇場に帰ってないんですか!? 大丈夫でしょうか……マリアに後を任されたすみれさんは頷いて残ったレニ、紅蘭、アイリスを見ます。 アイリス「……大丈夫かな…」 紅蘭「心配あらへん、こっちが先に情報を手に入れたんや。十分、対処できる!な?」 不安げなアイリスを、いつもの笑顔で和ませる紅蘭。このまま何事も無く終わるかと思った次の瞬間 メイド「大変です、お嬢様!刑事さんが……刑事さんが…!!」 すみれ「どうなさったの?」 動転した一人のメイドさんが下手でそう叫ぶと、その後ろから胸を押さえて苦しそうな川岡刑事が部屋に入ってきて 紅蘭「川岡はんや!(レニとアイリスと目を合わせる)」 メイド「お話をしていたら、急に苦しみだして…!」 そのまま上手のテーブル前で倒れる川岡刑事!!慌てて全員が川岡刑事のもとへと駆け寄って容態を確認します。 紅蘭「川岡はん!大丈夫かいな!?」 レニ「(左手首を持って)……脈は正常。」 ということは、命に別状は無いだろう。と頷いた紅蘭たちですが、アイリスがあたらな気配に気づいて顔に緊張を走らせます。 アイリス「はっ……」 レニ「どうしたのアイリス?」 アイリス「感じるよ…あいつを……!!」 すみれ「なんですって!?」(レニ、紅蘭も息を呑んで警戒) アイリス「うわあぁぁ!!この部屋にいるよぉ!!」 中央のテーブルに両手をついて怯えるアイリス。その叫びにあわせるかのごとく、アイリスの隣にいたメイドが隠し持っていた小刀でアイリスに切りかかります! メイド「ええぇい!!」 レニ「危ないっ!!」 咄嗟によけたアイリスは次の攻撃もかわしつつレニの側へ。メイドの隙をついて反撃するレニ。 すみれ「おのれ曲者!!だれか、薙刀を!!」 その間にすみれさんは部屋の奥へと下がり、暖炉の前を通って上手へと移動。途中、上手から素早く薙刀を持ってきた男の使用人から己の武器を受け取ると「下がってなさい。」と使用人を下げさせて上手の階段前で構えます。 紅蘭も肩掛けバッグから銀色の金網みたいなもので作られた団扇のような形のものを取り出して構え、アイリスを後ろでかばうレニが舞台中のテーブルの前で項垂れているメイドに告げます。 レニ「お前……幻夜斎だな!」 幻夜斎「くっくっく…(ゆっくりとした動きでテーブルを回り、暖炉の前へ。) その小娘の霊力を貰う!(刀の切っ先でアイリスを示す) そうすれば、俺の力は最大になるのだ!」 不気味にエコーがかかる声。それは女の声ではなく、間違いなく幻夜斎の声! すみれ「我が家での狼藉…許しません!」 すみれが一歩踏み出し、メイドに乗り移った幻夜斎を打とうと動き出した瞬間、メイドの肩がびくっとすくんで喉を押さえて苦しみだしました。 メイド「お、お嬢さ…きゃああぁぁぁっ!!」 メイドさん本人の声でそう叫ぶと、ふっと気を失って倒れてしまいます。それと同時に、暖炉の上から煙が吹きだして、暖炉の上に幻夜斎が表れる!! (舞台の機構としては回転戸です。煙に乗じて壁を回転。その裏から登場しました。) 登場と共に、照明が暗くなり異様な雰囲気を表しています。 レニ「幻夜斎…!!」 真っ白い死人の顔に大きな傷跡で一同を見渡し、すっと暖炉から飛び降りる。 幻夜斎「ふふふ…(足元に転がっているメイドを踏みつけて)この女の体を借りたが… (軽く蹴飛ばして、下手側の椅子に足をかける)どうにも、動きが悪いっ」 すみれ「ええぇーーい!!!」 なるほど、だからご自分の姿で現れたと…そう理解すると同時に切りかかったすみれさんですが、幻夜斎は薙刀をするりと交わしてそのまま戦闘開始!! 舞台の前方で一騎打ちをしているすみれと幻夜斎の様子を注意深く見つつ、アイリスは倒れたメイドに駆け寄りますが、その後に続いたレニに「アイリス逃げて!早く!!」と押され、そのまま下手へと走っていきました。アイリス自身はメイドが気になっているようですが…アイリスを避難させたレニは部屋の隅にあったステッキを臨時の武器として手にとって応戦。 すみれ、紅蘭とともに幻夜斎を囲みます。 すみれ「……一歩も行かせません!!」 すみれが薙刀を振るい、レニがステッキを突き出して幻夜斎に膝を付かせた瞬間を見逃さずレニが紅蘭を呼びます。 レニ「紅蘭っ!」 紅蘭「しびれん棒くんーー!!はい!!」 と、先ほどから防御にも使っていた発明品を幻夜斎の肩に当てると…幻夜斎の体に電撃が走る!! 紅蘭「科学の力や〜!!…どないや!?」 ある程度電撃を浴びせた紅蘭は、様子を伺いつつ三歩分の間合いを取り幻夜斎を再び囲む。 レニが攻撃を繰り出し、すみれが薙刀を突き刺して勝負あり!! 幻夜斎「くっ…おのれぇ!!」 この場は不利と判断したのか、幻夜斎は再び暖炉の前へと移動し、気合の声と共に再び噴出した煙に乗じて消えます。 (今度は暖炉の中、火が燃えている様子が描かれた布をめくって裏に消えた模様) 辺りの空気が落ち着いてきたのか、照明も元に戻る中、構えをとく面々。 紅蘭「あ、あぶないとこやった…」 レニ「たぶん…あいつはまだ生きている。」 庭先を覗き、警戒するレニ。ですが、周囲にはもうすでにいないようです。 倒れたメイドの肩をゆする紅蘭を一瞥してすみれさんは薙刀を持ったまま下手の階段前へ。 すみれ「皆さん…注意してください!」 まだまだ油断がならない警戒態勢のまま、暗転。紗幕が下ります。 でも、幻夜斎は相当に弱っているのかもしれませんね。 それともすみれさんは光武に乗れるほどの霊力が無くなっても、それでもまだ常人よりははるかに強い霊力を持っているということでしょうか…でも一先ず撃退できてよかったです。 |
如月紫水 <pphxugfhew> 2006/01/14 01:24:10 [ノートメニュー] |
├第一幕その3 如月紫水 2006/01/14 01:27:17 ├第一幕その4 如月紫水 2006/01/14 01:28:45 ├第一幕その5〜二幕冒頭(大喜利1) 如月紫水 2006/01/14 01:30:14 ├第二幕その2(大喜利2) 如月紫水 2006/01/14 01:33:48 ├第二幕その3(大喜利3) 如月紫水 2006/01/14 01:34:46 ├第二幕その4(大喜利4) 如月紫水 2006/01/14 01:35:48 ├第二幕その5(大喜利5) 如月紫水 2006/01/14 01:37:09 ├第二幕その6(大喜利6) 如月紫水 2006/01/14 01:38:01 ├第二幕その7(幕間コント〜) 如月紫水 2006/01/14 01:39:05 ├第二幕その8(妄想3分間ショッピング中盤... 如月紫水 2006/01/14 01:40:12 ├千穐楽アドリブ集その1 如月紫水 2006/01/14 01:41:06 ├千穐楽アドリブ集その2 如月紫水 2006/01/14 01:43:17 ├千穐楽アドリブ集その3 如月紫水 2006/01/14 01:43:37 ├お疲れ様でした! モギリ二式 2006/01/14 07:40:25 ├お疲れさまでした! 折笠優菜 2006/01/14 20:00:30 ├如月紫水さんに敬礼! 暁雷牙 2006/01/15 08:17:11 │└☆皆様へお返事 如月紫水@5日4時:アッキーさん追記分まで完了 2006/01/15 23:39:45 ├お疲れさまです! BAKO@九州華撃会No.12 2006/01/16 19:00:11 ├お疲れ様でした。 まれみ大すけ 2006/01/17 13:16:01 ├すごいとしか言いようがありません!!(追加... 朱天 2006/01/19 19:13:42 ├お疲れ様でした。 KURAGE 2006/01/20 19:44:49 └お疲れ様でした!! アッキー@1/30追記 2006/01/23 12:45:24