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対降魔部隊SS外伝「全ては海へ」

  対降魔部隊SS外伝「全ては海へ」 夢織時代 2016/09/27 00:01:28
  本編一 夢織時代 2016/09/27 00:02:44
  本編二 夢織時代 2016/09/27 00:03:18
  序章 夢織時代 2016/09/27 00:03:47
   ├あの頃を思い出しつつ まいどぉ 2016/09/27 02:35:25
Re: 序章 [返事を書く]
あの頃を思い出しつつ

「という話があったのだが、お主ら覚えておるか?」
「さあ? 妾は知らぬな」
「そんな昔のこと、覚えてるわけないよ」
「うが・・・」

 ずんぐりとした人に似た体躯と、口元から伸びた人に非ざる牙を持つ男−−上級降魔・猪の問いに、「蝶」と「鹿」と「猪」が答える。

「お主らには聞いておらぬわ!!」
「ひひひひひ」

 激昂した猪に子供のような「鹿」が子供にはあり得ない邪気をまとった嘲笑を返す。

「新参風情が・・・!!」
「遊んであげようか? オ・ジ・サ・ン」

 全身から獄炎の如き怒気を放ち始めた猪に「鹿」は一切怯まず、一歩も退かず、さらに邪気を深めた笑みを返す。いつの間にか両の手の爪が、長い。

「はいはい。じゃれ合うのはそこまで」

 いつ戦いが始まってもおかしくない殺意を、黒い翼を背負った美女が軽くいなす。

「喧嘩するのもいいけど、納期が近いんだから手は止めちゃ駄目よ」

 そう言う美女−−降魔・殺女の手元には一輪の紅い薔薇が咲き誇っている。
 いや、手元だけでなく座した椅子の周囲には、紅く白く黒く・・・黄や桃、青まで含めた色とりどりの薔薇が、ダンボール箱に綺麗に詰められている。

「この一つ一つが叉丹様の大望の糧となる・・・
 ああ・・・なんて美しい」
「そうは言うがな蝶よ。何故に最強降魔たる俺が・・・造花の内職、なんぞ・・・を」
「愚問よの。あの方の為に全てを尽くしてこその黄昏の三騎士。
 そなたも直に名を賜ったであろうに、そのような事もわからぬのか?」
「旧式の霊子甲冑如きに不覚を取り! 不動を失った無能な輩にっ! 三騎士のなんたるかを語る資格などないわ!!」
「なぁんですってぇええええっ!!」

 と再び一触即発の気配を高めつつも、蝶と鹿と「蝶」の手元は淀みなく動き次々と薔薇の花が形を成してゆく。

「うが」
「あら、ありがとう」

 手元に材料が足りなくなった、と思う間もなく「猪」がこまめに補充。出来上がった造花の置き場が足りなくなった、と言う前に「猪」がダンボールに手際よく詰め込む。

「あなたがいて本当に助かるわ」
「うが///」

 殺女の人であった頃のような優しい笑みを向けられて「猪」が照れたような声を出す。能面をさらに簡素にしたような仮面に覆われて素顔は見えないのに、そこはかとなく面が赤くなっているように見えるのは気のせいか。

「で、昔の話がなんだと言うのだ、猪」
「まあどうと言う事もないのだが。
 ふと思い出してな」
「氏綱様のことかしら?」
「あれは、よい時代であった・・・ような気がする」
「そうさな。おぼろな記憶ではあるが、あのお方の御為に我が力を高めようと望んだ・・・ような気はするな」
「叉丹様に勝るとも劣らぬ素晴らしいお方であった・・・ような気もするわね」

 かつての思い出(?)をしみじみと語り合う三騎士。
 残っているのは漠然とした印象だけで、具体的な思い出と呼べる物は長い歳月の間に完全に損なわれてしまっても、何か強い芯のような印象は残っているようだ。

「あーーー君たち年寄りくさいよ?」
「ほうっておけ「鹿」、所詮は古代の遺物。
 出番もなくなった者どもには昔話がお似合いよ」
「う、うが;;;」

 その姿に白けた目を向ける「鹿」と「蝶」
 唯一「猪」は慌てた風な反応をしているが、意に介する二人ではない。

「きっさまぁああああああああああああ!!」
「出番がないだとぉおおおおおおおおお!!」
「い、言ってはならない事をぉおおおおおおおっ!!」

 冷たいツッコミが逆鱗に触れた。
 もう止まらない勢いで三騎士の妖力が跳ね上がって行く。

「ほほほほほほ、遺物が一人前に切れおった!」
「殺る気だね! いいよ、やろう!!」
「うぅがぁああああああああああああ!!」

 二組の「三騎士」達が造花を蹴散ら・・・さないように気を配りつつ、全能力を発揮出来る場所を求めて飛び出してゆく。
 一人残った殺女は、ふう、と小さなため息をつきつつ、薔薇の花を詰めた大量のダンボール箱に順に封をしてゆく。

「なにやら騒がしいが仕事は終わったのか?」
「あら叉丹様。ちょうど今、数がそろったところですわ」
「そうか・・・」

 部屋には二人きり。状況としては別に珍しい事ではないが、珍しく叉丹の雰囲気が普段と違う。

「どうされました?」
「いや・・・猪の話が、聞こえてな」
「あら」

 照れたような、惑ったような、常にない表情は、葵叉丹ではなく、そう名乗る遙か以前の「山崎真之介」に近い。

「私はお前に降魔の種を植え付けた。
 その種が氏綱のかつての想い人であったのなら、お前は・・・」
「叉丹様」

 つ、と殺女の細い指先が叉丹の唇を押さえる。

「わたしの想いはわたしの物。
 かつての誰かの想いを受け継いでいたとしても、今抱いているのはわたしが育てた物。
 誰かの影を重ねて、あなたを想っていた訳ではありませんわ」
「・・・・・・・・・・」

 優しく語りかけるその顔に、叉丹は真之介は氏綱は、殺女のあやめの綾姫の面影を重ねずにはいられなかった。

「それはあの者達も同じ」

 遠い記憶を見つめるような叉丹に気付いたのか気付かないのか、殺女は外から聞こえる爆音に目を向ける。

「どちらの者も皆、叉丹様のために、今のあなたの力になろうと想っています。だから・・・」

 唇に触れる殺女の手を叉丹の手が優しい動きで包む。

「わかった、もう何も言うな」
「はい」

 外でぶつかり合う強大な力も、内にある強固な想いも、全ては過去から引き継ぎ今の己が選び取った物。
 であるならば・・・

「次こそは、我らが勝つ!!」

 この意思を、想いを束ね。
 予定された敗北でも、天使の救済でもない、新たな未来を掴み取る。

「猪よ! 鹿よ! 蝶よ!!
 「猪」よ! 「鹿」よ! 「蝶」よ!!
 忠実なる全ての降魔どもよ!!
 来たるべき最後の戦いの為に、持てる全ての力を我に捧げよ!!」

 その強い言霊は、ぶつかり合う二組の三騎士を貫き、決戦を控えたあらゆる降魔に轟き渡った。

 地鳴りのような鬨の声が周囲を包む。
 彼らは待っているのだ。
 繰り返される決戦の新たな展開を。
 漫画版の完結を、そして「もうひとつの第十話」の新編を!!

「さあ・・・征くぞ、帝国華撃団!!
 次こそは我らの勝利だ!!」












「じゃあ、これお願いね。
 大切な商品なんだから、運搬は丁寧に。
 美味しそうな子がいても襲っちゃダメよ?」
「ぎー」

 ダン−ル箱を抱えて小型の降魔達が向かうのは銀座。
 宛先は「大帝国劇場小道具係御中」。
 そう、それは次の演目で舞台を飾る薔薇の花園の素材なのだ!!


(完)






 えーと。

 超即興ですが、読んでたら久々にスイッチ入ってしまったのでw
 最近はサクラとの縁も薄くなってかなり記憶が曖昧になってますが、まだ、心の芯に残ってる物はあるんだな、と。
 今回の作品を読んで思い出させてもらいました。

 ありがとうございます。
まいどぉ <kklvikzqqe> 2016/09/27 02:35:25 [ノートメニュー]
   │└くるくると回る 夢織時代 2016/09/28 00:58:05
   └逢坂の関からアッチが Rudolf 2016/10/17 21:46:45
    └私も実は 夢織時代 2016/10/21 00:48:42

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