[サクラ大戦BBS]

MAKING APPEND NOTE
とりなべ への返事
蒸気灯について

 蒸気灯は、蒸気都市の家電(家庭蒸気なので家蒸?)製品の考察としては加熱器具やモーターに比べても難度が高いものでしょうね。現実世界では蒸気は光りません。
 以前某雑誌で解説しようとしていた記事が「水蒸気が燃えます」というトンデモだった(それでは生物も簡単に燃えるので人類は火が使えず滅亡するだろう)のですが、こういうのはうかつに公式設定があると後から真実味のある理屈をつけられなくなってマズいことがよくあるため、曖昧なままユーザー側の楽しみにとっといてくれ、と思うところです。
 ここでは、そのユーザー側の楽しみとして理屈を考えてみます。

 まず「蒸気」の基本的な性質として。
 水蒸気、つまり水の分子には可視光域の吸収や放射が小さい(ほとんど無い)性質があり、このため水も水蒸気も光を通す上に色がなく「透明」になっています。
 発光現象の原理としてよく出てくる分子の振動や励起の際に電磁波が吸収・放射されるとしても、可視光ではなく赤外線や紫外線です。チェレンコフ光みたいな特殊(というか危険)な状況では光ることはありますが、人間の生活圏の範囲では、水が光ることはありません。

 このため、水に発光させるためには、太正世界に特有の理屈を考える必要があります。

 ゲーム中で照明の話が出てくるのは中庭の街灯なので、旧式のアーク灯と新型の蛍光灯、というイメージでしょう。
 特に太正29年に相当する1940年なんて、まさに蛍光灯が日本で初めて使われた年ですね。
 これを史実と関連づけして「蒸気灯の歴史」を考えてみます。こんなところでしょうか。

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 水蒸気が「発光」する、という現象の発見は、紀元前にまで遡る。
 霊力を使う人間の周囲が薄く光って見える現象が古くから知られていたが、これが霊力と水蒸気の相互作用であることは、霊力者の周囲に霧や湯気がある状態で光が強くなることから判っていた。
 この蒸気と霊力による光は、宗教画に描かれる「光輪」や「後光」という形で記録が残されている。

 高温・高圧の蒸気を細い石英管中に通すと発光現象が起きる。これは1802年にロシアの科学者ペトロフによって発見された。
 当初は原理が謎だったのだが、後に霊力研究の発展により判明したのが、天然の石英に含まれる微小な霊力によって励起状態の電子が虚数空間にエネルギーを奪われることで基底状態に戻り、同時に静的な霊力場によって一定方向に電子軌道が抵抗を受け、本来なら紫外線のみであるはずの電磁波のスペクトルに複数のピークが発生、そのうち長い波長のものが可視光として知覚される、というものであった。
 この原理を使ったのが蒸気アーク灯である。1800年代後半より各国の都市で高圧蒸気設備が普及した際に、街灯として多く使われている。
 特定の波長の光が多く含まれるため、光の色の偏りがある(演色性が低い)という特徴がある。このため、当時の家庭用の照明器具では燃料を使う旧式の石油ランプも併用されていた。

 写真やTVの撮影など、演色性が必要な分野では、高温の金属をさらに蒸気の圧力と摩擦で温度を上げ、3000〜6000度に加熱して可視光域の放射を得る、という照明も作られた(蒸気白熱灯)。
 ただしこれはほとんどのエネルギーが熱に変換されているため、光源としての効率は非常に低いものであった。

 蒸気アーク灯が紫外線を多く含むことに注目し、蛍光粉末を蒸気ランプ内に封入することで演色性を向上させる試みは、1856〜1926年にかけて段階的に行われた。
 この新型蒸気灯は、日本では1940年の紀元2600年事業に合わせる形で技術が輸入され製造・普及している。

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 この原理によれば……霊力のある花組隊員のお風呂をのぞいた時に湯気が妙に邪魔で見えない現象も説明できますね(笑)。

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