とりなべ への返事 |
サクラ大戦TVのリメイクとしての奏組 興味深いのは、サクラ大戦シリーズの新作マンガである「奏組」の主人公・音子の上京目的が、サクラ大戦TVのさくらとちょうど反対である、という事です。 TVのさくらは、戦いのために帝劇に来て、いきなり舞台女優になる事を要求されます。 音子の場合は、舞台女優になれると思って来たのに、戦いが主要目的である事を告げられます。 結果は逆なんですが、構成要素がよく似ているんですね。 他にも…… TVのさくらは理不尽な誤解を受け、悲しみのうちに帝都を彷徨います。 音子は訳も分からないうちに多国籍イケメン集団から「リーダー」として頼られたり、逆に「戦場に出るな」と言われてホ゜カーン。 田舎の少女の上京と、意外な扱いをされた戸惑い、という背景自体はまったく同じであり、またどちらも大神の花組隊長就任とイメージを重ねてはいるのですが、受ける印象はどちらがサクラ大戦らしいか、というと、関係者全体が楽観的で順応の早い「奏組」の方でしょう。 架空世界に於いては、現実世界に似せる事がリアルになるのではなく、その世界の「空気」をきちんと再現する事こそがリアルになります。 サクラ大戦的な「リアル」さで、女性が主人公の話をやるとどうなるのか。 それはまさに、中途半端だったサクラ大戦TVの「リメイク」ではないのだろうか? あの漫画は、サクラ世界としての「リアリティ」はこういうものである、という事を描いているのではないのだろうか。 だからこそ、画面の端々に想いをめぐらせる事が楽しいのではないだろうか。 そんな事を、「奏組」を読みながら思うのです。 |