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蒸気工廠USA単行本が発売になりました(内容バレ)

  蒸気工廠USA単行本が発売になりました(内容バレ) 夢織時代 2006/06/02 00:49:41
  注目点とか感想とか(内容バレ) 夢織時代%(修正一回) 2006/06/02 01:05:12
  やっとみつけました。 まいどぉ 2006/06/08 21:12:44
  ファーレンハイト鋼の設定を見て思う とりなべ(修正三・燃料とアンテナについて追加) 2006/06/10 15:21:33
Re: 蒸気工廠USA単行本が発売になりました(内容バレ) [返事を書く]
ファーレンハイト鋼の設定を見て思う

 ・・・ああ、これ、エネルギーが送れるんなら、そのエネルギーを「変調」しとけば、通信もできるじゃないか、と。
 キネマトロンのさらに高度な応用なんでしょうか。

 少なくともラチェット機のアンテナは不要、というかめちゃめちゃ邪魔だと思いました。戦闘時の通信用というよりは、世界でも紐育にだけある「蒸気TV放送」を受信するものに見えます。

 ・・・はっ?!
 ひょっとしてあのアンテナって、ラチェットさんが「TV見たい」って言ったから付けられたのか?


 なお、あのアンテナが電波を送受信するものだと仮定して技術的なツッコミをさせていただくと、金属ボディの霊子甲冑に付けるアンテナは、ダイポールアンテナじゃなくて「1/4波長接地型垂直アンテナ」が好適ですね。
 ダイポールだとアンテナの長さが倍になるし、ボディの金属が干渉するので特性が悪くなります。
 このあたりの技術は大正時代には既にありましたし、TVが発明されたのがちょうど大正末期なので、考証の際には取り入れておく方がいいんじゃないでしょうか。



 えー、発売日の翌日に浪漫堂になかったので、アマゾンで買ってしまいました「蒸U」。<じょうゆう?
 前倒しで出荷するモンかと思ってましたが、本が出来上がるのが遅かったんですかねぇ?
 まあ、急いで出荷して接着剤が固まってなくて読んでいくうちにバラバラになるという、昔のアニメックみたいな事になるよりはいいんじゃないか、とか、まずは読む前の心の許容力をウォームアップしてから本文に臨んだワケですが・・・・


 えーと、まず、良かったところです。<小学生の感想文っぽいな

・ペーパークラフト素敵。
 これ、でっかく作ってヘリウム風船とか入れて浮かばせたい!

・上から見たニャンニャンの図。
 衝撃を受けました。もともと裏表すらよくわからん連中ですが、角度を変えて見た場合に、なんて抑揚のない体つきをしているんでしょう。

・意図的に「電気」の存在を隠している「蒸気のある生活《新大陸篇》」
 さすがに「ネオン」の説明には苦慮してる模様ですが、「蒸気の時代」を拡大解釈しようという伏線になってるあたりは考えてるな、と。
(ただし、ネオンサインに使う希ガスは蒸気とは言わないと思います。金属の蒸気が入ってる水銀灯とか蛍光灯と混同してるのかもしれません・・・いや、現実世界と違って、蒸気灯以外はネオンとひとくくりに呼ばれてるのかもしれませんが。)

・ラチェットカー
 支給品なのかッ!さすがはサニー華撃団。というか目立ち過ぎでしょう、この車。目立ってナンボのラチェットさんならではの仕様です。脱出装置が作動するシーンも見てみたいですね。


 悪かった所です。

・蒸気は燃えるのか?
 蒸気を使う話が、「蒸気のある生活」では「燃焼」の際に燃料と混ぜるものとして、エンジンの解説には「噴出」するものという形で出てくるのですが、そのままでは矛盾に満ちた非常に気になる記述です。燃える前と後が同じという事になってしまいます。
 まず、燃えるという事は普通の水蒸気ではありえません。
 燃焼に必要な要素のうち、燃料は別に準備されています。つまりこの「蒸気」は「酸化剤」という事になるのですが、そんな蒸気への加工をしなくても空気には酸素が含まれています。水蒸気でなければ、何の蒸気の事なんでしょうか?

 非常に大胆にサイエンスフィクションの設定として「水蒸気が燃える」「燃えた後また水蒸気に戻る」としてしまうと、永久機関が実現できそうですね(笑)。(科学/化学の基礎としてそれはダメですけど)
 ただし、水蒸気が燃えてしまうと、湯気のたなびく帝都の街は、あっちこっちで爆発事故が起きる非常に危険な街、という事になるんじゃ?
 ていうか、人体に火を近づけたら燃えてしまうので、タバコすら吸えないという事に・・・
 
 エンジンについてはさらに問題があります。
 まず問題なのが、どう見てもジェットエンジンであるスターの後部ノズルの説明が「蒸気併用霊子機関」になっている事。なんだそりゃ、という感じが否めません。「甲冑やファンを動かす」エンジンが「気体を吹き出しつづける」エンジンと同じものですって?
 それが単純に、空気を取り込んで圧縮するためのファンを「蒸気併用霊子機関」で回してる、というのならまだわかります。やみくもに「蒸気を吹き出す」と説明してしまっているため、問題が拡大してるんですね。燃焼ガスでもなく、圧縮された空気でもないなら、何を吹き出して推力を得ているんでしょうか?
 少なくとも、吹き出してるのが「水蒸気」なんてことにしてしまうと、設定が無茶苦茶なワケで、大量に水を積んでいたり、空気中からちびちびと水を集めて、溜まった所で噴射、などという、とても高い機動性が必要な空戦に使うような機体ではなくなってしまいます。

 これが、燃焼の際に使われるのが水蒸気という事になると、もはや非常に考え難いのですが、あえて可能性を探ってみるなら、燃焼剤の「灯油」と呼ばれるものは現実世界の灯油と違って、実は酸素より反応性の高い元素が含まれてて、それが酸素や水素と結びついて「燃焼」する、という考え方もできなくはないかもしれません。
 ・・・もっともそれだと、とてつもなく危険なものになりますね。あらゆるものと激しい化学反応を起こす物質となると、保存することすらままなりません。ちょっと漏れたら大事故です。(現実世界の液体ロケットでも、燃料の反応性が高すぎて扱い辛い事による爆発事故はよく起きるのです。)

 「蒸気」という言葉の範疇を拡大させるのはいいんですが、たとえば既に広く普及している家庭用蒸気は、高温高圧であるだけで充分に炊事洗濯風呂掃除など日常に使えて実用的で、冷めれば安全に大気に放出できる、というエコロジカルな利点があるのに、それを無視してはいままでの太正世界が成り立たないと思います。
 蒸気灯の設定など、どう考えても「蒸気」という言葉なのに天然ガスみたいな「燃料」のイメージがありますが、たとえば単なる石炭ガスを「蒸気」と呼んでしまっては、浪漫も何もあったものではありません。金子さんはこういうのを考える役目の人だと思いますから、なんか考えていただきたいな、と思う所です。

・技術長と整備士
 今まで書いたこともそうなんですが、記事の随所にツッコミ所があるので、サクラ世界が好きな理系の人にはウケが悪いでしょうね・・・。
 とりあえず、「太正時代」と「科学」の両方が欠けてるのが問題なんじゃないでしょうか。どっちか片方でもしっかりしていれば、読んでて首をひねる事も少ないと思うんですが。
 今の書き方は、あんまり技術的な事を知らない文系アニメファンがアニメから得たいいかげんな科学知識の話をしてる、という感じです。技術者でもなく、太正の住人でもない人が一体なぜそこに居るのか?
 空想科学は理系の素養も必要ですが、特にサクラでは一貫した世界観がないとねぇ・・・いいかげんなアニメ科学の切り貼りではまったくダメです。
 せっかくの結原りんさんのイラスト付きですが、技術者だと言うのなら「アニオタ」じゃなくて「サクラ世界に住む技術者」にキャラの中身を入れ替えるべきだと思います。

・対談
 今回一番気になった記事です。ノリで口にした事ならいいんですが・・・シャレバカ感覚?いや、おそらくそれは本気ですね?
 なんていうか、今後の行く末が非常に不安です。

 「蒸気の世界」「蒸気の時代」である太正世界。
 「水蒸気」によって世界が変わった、というのがまず重要だと思います。蒸気だけでどうやって文明を支えるのか。それは説明用語の中に「蒸気」と書けばいいというものではないと思います。
 水蒸気によって灯る光、水蒸気によって動く車、水蒸気によって伝わる通信、水蒸気によって写るTV・・・
 水蒸気を有効活用するためだけに発明された、現実世界にはないアイテムやオブジェクトが楽しいのです。
 そのために体系付けられた科学技術があってほしいのです。
 そのために発見された物理法則があってほしいのです。
 
 霊力という設定がなくても、太正の人々は蒸気と共に生きているのです。その空気感をうまく出して欲しい、と思います。
 せっかく独自の世界が既にあるのに、何か加えるたびにどんどん現実世界に近づいてきてしまうのは、想像力の不足だと思います。
とりなべ(修正三・燃料とアンテナについて追加) <nzmcvjfgzr> 2006/06/10 15:21:33 [ノートメニュー]
  混乱、混乱、大混乱。 螢ジロー 2006/06/13 01:12:20

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